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恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第四章 力を合わせて

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4.手紙を隠す

 思ってたよりも、ずっと早く手紙は渡されちゃったし。別の意味で抗議の声を上げ始めたビアンカに八つ当たりされない内に、とりあえずボクはお家に帰ることにした。

 だってほら、早くセレーナにフィリベルトからの手紙を渡してあげたいからね!


『じゃあ、またね』


 手紙を口にくわえたまま、一応ちゃんと挨拶だけはしておく。


「よろしく頼んだよ」


 寝室に続く扉を開けてから、要求されるままビアンカの頭を撫でてたフィリベルトがボクの背中に向かって、そう声をかけてきたけど。あえて振り返らずに、ボクは部屋をあとにした。

 ここでボクがフィリベルトの気を引いちゃったら、ビアンカがちょっと不機嫌になるような気がしたんだよね。

 それに、せっかく早く手紙を書き上げてくれたんだから、あとの時間はゆっくり過ごせばいいと思うんだ。きっと少ししたら、またフィリベルトは部屋の外に出てっちゃうんだろうし。


(忙しそうだよねー)


 やっぱりニンゲンのボスになるって、大変なことなのかな? セレーナと比べると、フィリベルトはホントに毎日忙しそうなんだもん。

 同時に、ボクは思っちゃったんだけどね。ボクの一番がセレーナでよかったって。


(好きな時に会えないなんて、ボクだったら寂しすぎてムリ)


 塀の上や屋根の上を伝って、お家へとまっすぐに向かいながら。長い間一緒にいられない状況に耐えられるビアンカって、ホントにすごいなって考えてた。

 だってしばらくの間ってことは、一日とか二日とかじゃないってことでしょ? しかも、それだって珍しいことじゃないっぽい反応をビアンカはしてたし。


(セレーナと一日会えないって考えただけでも、ボクは耐えられないよ)


 今までそんな日はなかったけど、もしそんなことがあったらって想像しただけで、悲しくて寂しくて。思わず尻尾も下がっちゃう。

 そのくらい、ボクはいつでもセレーナに自由に会いに行けるのが普通だから。もちろんセレーナが忙しそうな時は、さすがのボクでも遠くから見てるだけにするけどね。

 なんてことを考えながら、誰にも見つからないようにお家の庭へと戻ってきたボクは、急いでセレーナの部屋に向かう。


(とりあえず、まずはベランダから様子見かな)


 他のニンゲンに手紙を取り上げられないようどこかに隠しとくか、それとも今セレーナにだけ気づいてもらってベランダに手紙を置いとくかとか、毎回セレーナの部屋を覗いて色々確認してから決めてるんだよね。

 道中誰にも見つからないっていう意味で一番安全なのは、ボクの部屋に隠しておくことなんだけど。それでも定期的に掃除されちゃうから、完全に安心できるわけじゃないってところがつらいし、ホントに毎回迷うんだ。


(どうかなー?)


 ひょっこりと目元までだけ出して、中の様子を見てみれば。珍しく、そこには誰もいなくて。

 ということは、ボクが今ここで動いてても問題ないし、逆にこれ以上手紙を持ち歩くと見つかる可能性が高いってこと。だって、どこにセレーナたちがいるか分からないからね。


『んー……。カーテンで見えない場所に隠しておいて、寝る前にセレーナに窓開けてもらおうかな』


 今日は風も強くないし、革袋に入ってるから簡単に飛んでいくことはないと思うけど。念のため石を持ってきて、一応の紛失防止だけはしておくことにした。

 この部屋の場合、掃除するとしたらお昼にセレーナがごはんを食べに行ってる時って決まってるからね。今日その時間も過ぎてるから、もう誰もベランダには出てこないはず。


『これでよしっと』


 庭からちょうどいい大きさの石をくわえて持ってきて、手紙が入った革袋の上に乗せておく。これで、夜まで安心。

 今日は雨が降る気配もないし、あとは寝る前にセレーナに回収してもらえばいいだけだからね。ここまで終わってれば、もうなにも問題はないよ。セレーナならボクの言いたいことすぐに理解してくれるし。


『なんか、お腹すいたな』


 そこまで重くはないけど、手紙ってやっぱりちょっと大きいし、ずっと口にくわえてるのも疲れちゃうんだよね。手紙を隠すっていう最後の難関を無事にクリアできたから、安心しちゃったのもあるかもだけど。

 とりあえず部屋に戻ってごはんを食べて、一回寝てこようっと。


『今日はこのあと、どうしよっかなー』


 セレーナに撫でてもらうか、厩舎に遊びに行くか。それか少しだけ、クロのとこに遊びに行くのもいいかも。

 起きた時間によってどれにするか決めることにして、まずは空腹を満たすために自分の部屋に向かうことにしたんだ。



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