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ゆ   き  作者: 気衒い
1/10

1.その男は全てを失った

その男は全てを失った。家族も職も夢も金も地位も名誉も何もかも…………。特段、男が何か悪いことをしでかしたという訳ではない。それらに関してはただただ、運が悪かったとしか言いようがないだろう。それからの男の日々は抜け殻のようだった。何をしていても心が動くことはなく、まるで自分がこの世に存在しておらず、何の為に生きているのか分からなくなる程だった……………と、そんな時だった。男が1人の怪しげな占い師に声を掛けられたのは。


「そこの人」


「…………はい?」


「あなた、まるで何もかもがどうでも良くなったという顔をしているわね」


「……………そうですね」


「だったら、とある場所へと行ってみない?」


「とある場所?」


「そう。そこは幻灯町(げんとうちょう)と呼ばれる町でね……………何でも不可思議な現象が起きるんですって」


「不可思議な現象?」


「ええ。その町に住む人の5人に1人は"雪見病"という病に罹るそうよ。それでいつ治るかも分からないその病と向き合って生きていくんですって」


雪見病(ゆきみびょう)……………」


「雪見病に罹った人は幻覚を見るようになってしまうらしいわ。回数や強弱の個人差はあるんだけど、中にはそれを本当の現実として数十年もの間、過ごしてしまう人もいるそうよ」


「………………」


「全てがどうでもいい今のあなたにとってはちょうどいい場所じゃない?で、居心地が良ければ、そのまま住んじゃえばいいんだし」


そう言って、占い師は片付けをし始めた。どうやら、仕事が終わる時間のようだ。


「あ、そうだ。もし、それでもこっちの方が良いと思って帰ってきたのなら、是非あっちでの感想を聞かせてちょうだい」


最後にそう言葉を残して、妖しい笑みを浮かべながら、去っていく占い師。彼女の口振りからすると、男がその町を訪れることはほぼ確定しているかのようだった。









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