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第五話「思惑」

続ルビカント・ドゥーカ=ソァーヴェ視点

 そうこうする内に今度は流行り病がシスティナを襲う。さすがに同じ病気で娘まで失うのは御免だ。王都から医者を呼びよせて慌てて部屋に入る。


「システィナ・・・っう!」


 部屋には亡くなったハズの前妻フランカが俺を見降ろしていた。それも物凄く整った表情で。その眼差しは俺を警告しているようだった。俺は思わず目をそらしてしまう。


 しかしよく見るとフランカは瞬きすらしない。これは・・・絵なのか?先に部屋に入って面倒を見ていたメイドに尋ねる。


「おい、これはシスティナが描いたものなのか?」

「は、はい・・・お嬢様は大変絵がお上手でいつもお描きになられていました」


 知らなかった・・・まだ9歳の娘にこんな才能があったなんて。やはり実の母親を忘れる事は出来ないか。しかし見れば見るほどフランカに生き写しの絵だ。

 同行していた医者に向かって一言。


「先生、システィナを・・・娘をどうか頼む」

「ご安心を、今となっては特効薬がございますので・・・」


 その場を医者とメイドに任せて部屋を出る。システィナは治療の甲斐あって後遺症もなく助かったが、俺はこれ以降フランカのいるシスティナの部屋に入る事が出来なくなってしまった。なので見舞いにも行く事が出来ない。


「あ、わたしの好きな鴨肉のソテーだぁ!!」

「もぅラウレッタは・・・でもホントにおいしいわね?」

「ははは、二人とも遠慮しないで食べなさい!」


 それからの食事はパトリツィアとラウレッタと取ることになっている。今まではマナーの完璧なシスティナがこの場にいたからか2人とも緊張していた。前妻フランカがマナーを教えていたようで俺から見ても教師いらずの出来だった。


 しかし三人だけの食事は気兼ねなく楽しむ事が出来る。この幸せな雰囲気を壊したくないのでシスティナには自室に食事をとどけさせよう。我々と同じものを運ばせるんだから問題はない。



 マナーを修得しているシスティナには勉学の家庭教師が就いている。教師曰くシスティナは優秀だそうな。さすがは俺の娘だ。


 一方ラウレッタは幼いころから自由奔放に育っていたためマナー教育をさせた事がない。いづれ必要に応じて教育を受けさせればいいだろう。



◇◇◇



 三年後、領地経営が立ち行かなくなってきた。新しい経営人達は広大なソァーヴェ領を前に勝手が分からず未だに悪戦苦闘している模様だ。しかしよく考えると代々続く経営人達を追い出したのは他ならない自分なのだからそれも当然か。

 とは言え早急に手を打たないと生活にまで影響しそうだ。



 王城の廊下を歩いているとこんな声が聞こえてくる。


「貴公はアルカンジェロ王子をご存知かな?先週の式典におでましになったとか」

「ああ、まだ幼いのになかなかご立派な方だ・・・陛下も優秀な跡取りがいてさぞ安泰であろう」

「ほぅ、それはそれは・・・是非ともお近づきになりたいところだが我が家にはむさい男子どもしかおらん・・・それも10歳も年上のな」

「ははは、私の家は娘ばかり・・・しかしどれもこれもすでに婚約済みよ、今更変更する訳にも参らん・・・上手くいかぬものよ」



 アルカンジェロ王子か、諸外国と諍いを起こしてばかりいた戦争好きな国王陛下が待ちに待ち望んだ男子だったか。いくら優秀でも所詮はまだ子ど・・・そうだっ!


 確か王子はまだ12歳だったと聞く。ならば来月に誕生日を迎えるシスティナとはちょうど良い年頃じゃないか!

 我が家から王太子妃を出せば王族と外戚となり他の貴族とのつながりもより大きく増やせるハズ・・・これなら我が領地も立て直せるだろう。


 おまけに外戚になれば新たな爵位を得られるかも知れない。ソァーヴェ家当主代理と言ういつ失うか分からない立場からも解放される!


 よし、さっそく国王陛下にお願い申し上げよう!今の会話を聞いていると年頃の娘を用意できる家は少ないようだ。公爵の身分ならば多少のゴリ押しは利くハズ。


 王家の外戚ソァーヴェ家の誕生だ!

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