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第三話 推薦

「ぅ・・・ここは・・・ベッド?」


 目が覚めるとベッドの上にいた。あの負傷者の方を祈っていたら急に力が抜けて倒れるなんて。


 私が起きたのと同時に部屋にいる若い兵士が声を掛けてくる。


「ぉ、お目覚めですか!今王太子様を呼んできます!!」

「え?あ、あのっ」


 私の問いかけにも答えず横っ飛びで部屋から出て行った。また殿下にご迷惑をお掛けしてしまった。

 数分後、ノックの音とともに入って来たのは殿下と・・・国王陛下???


「お前・・・あれは一体どういうことだ?!説明しろ!!」

「な、何を・・・」


 突然険しい顔をして問い詰めてくる殿下に応答できない。陛下が殿下に声を掛ける。


「よさんかアルク、事態が事態だから興奮するのは分かるが婚約者にする態度ではないぞ?システィナ、その方は先程の事は覚えておらんのか?」


 先程の事??


「わ、私はただ・・・負傷された方が安らかになるようお祈りを捧げただけです・・・そう言えばあの方は?」

「やはり記憶にないか・・・その者なら安らかになったよ、入るがいい」


 陛下の呼びかけに一人の兵士が入って来た・・・大柄で角刈りの髪形のこの方は!


「うっす、アンタのお蔭で俺っち助かったぜ!ほれ、モンスターにちぎられた右腕は元通り生えてきたんだぜ!!」


 そう言って右腕を振り回すこの方はさっきの負傷兵?でもどうして・・・あの時は右腕が無くなっていたのに!!


「俺っちもびっくらこいたっての!とにかくアンタは命の恩人だ、このアリキーノ様はご恩を死んでも忘れね・・・いたたたたた!」

「おい貴様!なんだその態度は・・・説明はもういいから部屋から出ろ!!」


 まくし立ててしゃべる負傷兵の耳を引っ張って部屋から追い出したのは殿下?さっきよりも怒っているようだ。そばで見ていた陛下が殿下を諭す。


「落ち着け、一兵卒はマナーを知らなくて当然だ・・・それよりシスティナ、その方には理鬼学(りきがく)の才能があるとしか思えん」


 理鬼学?一体何の事やら・・・


「父上、王太子妃教育はともかくコイツは理鬼学なんて知りませんよ・・・いいか、理鬼学ってのはだな・・・」


 いつもはぶっきらぼうで必要最低限の事しか話されない殿下が事細かく説明して下さる。今まで見た事のないお顔で新鮮さを覚えるほどだ。


 理鬼学りきがく、相次ぐモンスターの襲撃に対抗するために編み出された戦闘への支援術で人体の生命エネルギーである「鬼力(きりょく)」を扱う技術である。

その内容は攻撃・防御力の増大、速度上昇などの人体への増強を目的とするものでモンスターと最前線で戦う兵士達にとっては必要不可欠の技術、らしい。


 つまり戦闘に役立つ技術スキルという事だけど・・・それと負傷兵が元通りになった事とどういう関係があるのだろう?


 首をかしげて考えていると何故かお顔が更に赤くなった殿下が目を合わせることなく語り掛けてくる。


「突然過ぎて理解し辛いだろうが・・・あの兵士の傷はお前の鬼力が治した、という事になる」


 殿下の発言は私の想像を超えるものだった。


「そ、そんな!私はお祈りをしただけで・・・」

「我々だけでなくあの場にいた兵士達全員が見ているんだ、今更無かった事などにはできんぞ?」


 問い詰めるような殿下の言葉に二の句を告げることが出来ない。そんな様子を見かねた陛下が一言。


「まったくお主という男は・・・婚約者にはもう少し言い方に配慮したらどうだ?ともかくシスティナよ、その方には理鬼学の才能がある事が分かった・・・そこでその方にはこれからカヴァルカント学園に通ってもらう事にしよう」


 カヴァルカント・・・学園?確かあそこは貴族子女だけでなく平民も一緒になって兵学や国政に携わる勉学と様々な学問を学ぶ場所だったはず。私は王太子妃教育があるから通う事はなかったけれど。


「その方の力は余も今まで見た事のない素晴らしい力だ、ほっておくのは誠に惜しい上にその力を制御できなければ却って力に振り回される事になる・・・何、心配はいらぬ・・・その方と一緒にアルクも通わせるのでな?」


「な!父上、何を仰るのです!おれ、いや私には王太子教育が」

「そんなものは後回しで良い!それにシスティナの方は教育係達からはほぼ合格とのお墨付きだ、よって彼女にはこの機会に理鬼学を習得してもらおう!良いなシスティナよ」


 厳しかった王太子妃教育だけど先生達からはそんな評価を受けていたなんて思ってもみなかった。でも今度は理鬼学の習得・・・私にそんな力があるのかは分からないけど陛下の言う事だから間違いはないんだろうな。


「・・・承知いたしました、陛下」

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