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第四十六話  団欒

「たっだいまぁ!」

「あ、お帰りなさいルカお兄ちゃん!」


 家に入って来たルカお兄ちゃんに飛びついて抱きしめる。毎日お仕事なのは仕方ないけど一緒じゃないのは寂しいよね。

 困らせたくないからわがままは言わないようにしているけどルカお兄ちゃんだっておんなじだよ、だって私の事ぎゅってしてくれるんだもの。

 お兄ちゃんは離した手を頭において撫でながら言う。


「いい娘にしていたかいシスタ?」

「うん、今日はボナおばさんと一緒にゴハン作ったんだよ?」

「お帰りなさいませルカーノ様、お嬢様は筋がよろしいんですのよ?」

「はは、それは楽しみだな・・・じゃあさっそくゴハンを頂こうか!」





 はんとし前、ってどれだけ前だか分からないけどずぅっと寝ていた私は目を覚ましたの。今までやってきた事が全部きれいに頭の中から抜けたような気がする。目に見えるものも何か全部暗かったし。自分のお名前も何もかも分からなくなって泣いちゃった。


 そうしたらお部屋にいたメガネをかけたお兄ちゃん、ルカーノってお兄ちゃんが私の事を「シスタ」って呼んでくれたの。それだけで何か安心しちゃってまた泣いてお兄ちゃんを困らせたんだ。


 お兄ちゃんは自分の事を「おじさん」って呼ぶように言ったんだけどそれは嫌だったから「ルカお兄ちゃん」って呼ぶことにしたの。だってお顔はオジサンじゃなくてカッコイイんだもん。

 最初はお顔を赤くして困ってたけど今は嬉しそうにしているんだ。お兄ちゃんが嬉しいと私も嬉しい!


 鏡を見せてもらうと私の髪は・・・真っ白だった。まだおばあちゃんじゃないのにどうして・・・。悲しくなってるとルカお兄ちゃんは頭を優しく撫でながら「若くても白い髪の人はいるんだ、シスタの髪もきれい」って言ってくれたからその内に気にならなくなっちゃった。



 ルカお兄ちゃんはお仕事をしに毎日朝早くから「ネローニ商会」ってトコに出かけている。どんなお仕事って聞いたら「大人の人達に強くなる方法を教えている」んだって!人に教えるくらいだから私のお兄ちゃんはとても強いんだろうな?


 「私も強くなりたいから教えて」ってお願いしたら「シスタはもうそんな事しなくていいんだ」って悲しそうなお顔で言ったの。私、何か悪い事言ったのかな?


 お仕事中は私が寂しくないようにってボナおばさんが家の事を手伝いに来てくれている。お兄ちゃんが言うには私が赤ん坊の時からお世話してくれた人らしいの。


 初めて会ったボナおばさんは私を抱きしめてくれた。私は全然覚えてないのにおばさんはしっかり覚えてくれていたようで「よくご無事で」とか「またお嬢様のお世話が出来る」って言ってたなぁ。いつも優しくて私に色んな事を教えてくれるとても良い人だ。





「おいしいなぁ、このミートローフは最高ですよ!」

「ふふ、ありがとうございます・・・新鮮なお肉が手に入りましたので」

「ルカお兄ちゃん、こっちのサラダは私が作ったんだよ!」

「へえ、どれどれ・・・ん、こっちもおいしいよシスタ!」


 ルカお兄ちゃんとボナおばさんと三人で食べるゴハンはホントにおいしい・・・おいしくてとっても幸せなのにどうしてか涙が後からこぼれてくる。


「あ、あれれ?おかしいなぁ・・・涙が止まらない・・・」

「まぁ、お嬢様ったら!どうなさったのですか!?」

「だ、大丈夫だよ!ちょっとスープが熱かっただけだから」

「ホントかい?熱いなら僕が冷ましてあげよう・・・そら、お皿を貸してごらん?」

「いいよいいよ!ホントに大丈夫だから!!」


 あわててハンカチでふくと涙はぴったり止まった。お兄ちゃんとボナおばさんに心配させちゃったかな?

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