表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/53

第四十一話 「展望」

アルジェント・リ=イラツァーサ視点

イラツァーサ王城


 謁見の間にて各砦を次々に壊滅させている正体不明の敵兵の情報を聞く。


「以上、バウド砦の隊長からの報告であります!!」


「分かった、下がっておれ・・・その敵兵、服装から髪の色に向ってきた方角から判断するにシスティナ・ソァーヴェ嬢と考えて間違いないでしょう・・・陛下、いかが致しましょう?」

「ふ~、全くの計算外だわい・・・システィナが反逆を起こしているとはな?至急ドゥーカ=ソァーヴェ夫妻を招集致せ、それと娘のラウレッタも釈放だ」

「御意に」


 神のごとき治療スキルを持つシスティナが何百の兵隊達をものともせず全滅させおるとは・・・治療に強いものは攻撃にも強い、という事か?


 南のソリアーノ砦にはシスティナを迎えに行ったわが王妃メリッサがいたハズ。しかしその様子ではもう生きてはいまい。システィナと仲のいい彼女が何か気に障る事でも言ったのだろうか?


 ソリアーノ、リビオ、バウドの砦からきた生還者の報告によるシスティナが使用しているスキルの全貌と彼女の状態は以下の通り。


・広範囲におけるスキルの効果

・攻撃ではなく体力・精神力を消耗させられる

・人体だけでなく木々にも有効

・壁などの物は砂となって風化

・スキルの発動は無差別攻撃ではなく立ち塞がる者や攻撃を繰り出す者に限定

・彼女自体の意識は朦朧としていながら自我が残っている可能性あり


 このような理鬼学スキルは聞いたことがない。どれだけ鬼力の扱いに優れていても所詮は支援術。戦闘は武器を持ってする事が前提でありスキルは身体能力の底上げに過ぎない。

 例えそれがエーゼスキル学園の卒業生たるあの小生意気なルカーノ・ビアジーニですらその程度のものだ。その証拠に奴は兵士三人に易々と捕縛されている。


 報告から推測するとシスティナは鬼力を自分の周囲に展開しているようだ。ならば相手に触れずともスキルの効果を及ぼす事が可能。つまりは「戦わずして勝利出来る」という事だ。


 欲しい、是非ともわが国防軍に所属させておきたい戦力だ。誤って王妃がシスティナの機嫌を損ねて死んでしまったであろうことなど些事だ。むしろシスティナの真の力を解放してくれたというべきか。



 彼女を手元に置いた上でまたカヴァルカント学園の教授にでも研究させればよい。今度はビアジーニのような曲者は選ぶまい。システィナのスキルの研究が進めば他の者にも同じ事が習得出来るハズ。


 システィナ一人でも幾つもの砦を難なく攻略できるほどだ。このような戦力が整えば周辺のコルムー、ウィザースにオヴロなど簡単に制圧し占領してくれる。我がイラツァーサ王国は世界の覇者となれるのだ!


 報告からシスティナのとる進行ルートはガストーニ砦に向っているものと予想される。ならばサダン・ダグラド・バィワの三山付近に軍を展開すればシスティナを確保できる。


 そういえばあの馬鹿息子アルクは何をしているのだ?ガストーニに向かったと聞いたが今のあそこにはシスティナはおらんのだからさっさと戻ってくればいいものを。



 3時間後、宰相スタツィオが謁見の間にソァーヴェ夫妻を連れて来た。


「陛下、ドゥーカ=ソァーヴェ夫妻並びにラウレッタ令嬢をお連れしました」


「学園の卒業式から一ヶ月間娘達を預かると言われてお任せしましたのにこのなさり様・・・ご説明して頂きますぞ陛下?」

「ラウレッタ!投獄されて可哀そうに・・・あんまりです!」

「うぅ・・・この間までは綺麗なドレスも着させてくれたのに牢屋に入れるなんてひどい!」


 ソァーヴェ家族は次々と余を罵る。娘両名を預かる際に面倒になりそうだと書面で済ませたのが悪手だったか。

 それにラウレッタ嬢は投獄とは言え貴族牢に入れていたのだから食事や衛生環境に不備はなかったハズなのに。


 普段なら不敬罪としてまとめて投獄してやるところだが我慢だ。それよりコイツらを駒として使わねば。



「その方達には申し訳なかった、だが緊急事態が発生した今ゆっくり謝罪している時間はない!その方達には現在反逆行為を起こしているシスティナ嬢を説得してもらわねばならぬ!」


「な、あのシスティナが反逆など・・・私が取り押さえて見せますぞ!!その暁には爵位を頂けますでしょうな?」

「あ、あの娘は私達とは関係がありません!」

「何?またおねえ・・・どうしてみんなあの人の事なんか?!」


 全くシスティナの完璧さと比べればコイツらは下品だな。人間が違うと言っていい。


 血のつながらない元平民の母親と妹はまあ分かるとして、この父親からあの優秀なシスティナが生まれたのが納得いかん。恐らく真のソァーヴェ家たる母親の血が濃かったのだろう。だからこそシスティナは家で冷遇されていたという事か。


 ともあれ、ここは口八丁で煽ててでもシスティナを引き入れなければな。システィナがコイツらを嫌っていれば始末してやってもいい。婚約破棄をしたアルクと共にだ。

今話の後はプロローグに続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ