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第三十八話 「仕置」

アルカンジェロ・プリンチペ=イラツァーサ視点3

 カヴァルカント学園の卒業パーティーの席上での婚約破棄。

 ヴィスコンテ=ネローニ令嬢に支えられて見事なカーテシーで応えるシスティナ。


「国外追放の件・・・承知致しました、どうやら私は王太子妃として至らなかったようでございます」


 システィナはこちらの一方的な主張に対して苦情を言う事も泣き叫ぶことなく婚約破棄を受け入れる。その姿が逆に俺の胸を締め付ける。


「あ、ああ・・・では今すぐ学園の正門へ行け!そこに迎えが来ている!!」


 そう、正門には俺の手配した部下2人が彼女を保護して国外のコルムーへ連れ出す予定だ。俺もすぐに後を追うから問題ない。彼女は責任をもって隣国で生活できるようにするつもりだ。


「陛下と王妃様にはよしなにお伝え下さいませ・・・それでは」


 システィナは静かに歩き始める。それとともに今まで成り行きを見守っていた卒業生達がどよめき始める。


「諸君、私事で失礼した!邪魔者は引き取るので後は歓談を楽しんで欲しい!!」


 そう言って会場を去る。慌ててラウレッタ嬢がそばに寄ってくるが俺は急いでシスティナを追う事にする。



 正門に辿り着いたところで王国の近衛兵士5人が待ち構えていた。


「殿下、陛下がお呼びです・・・至急お戻りを」

「な、俺は急がなければならない!そこをど・・・お前達!!」


 通り抜けようとするも後ろから兵士二人にかなり強い力で肩と腕を押さえられる。


「失礼、陛下たってのご命令です・・・行くぞ!」


 なすすべもなく馬車に連行される。こうなっては抵抗出来ない。システィナは部下2人に任せておくしかないようだ。


「ちょ、ちょっと何すんのよ!私は王太子妃よ!!」


 後ろでラウレッタ嬢の声が聞こえる。俺はシスティナとは婚約破棄したが別に彼女を王太子妃に選んだ覚えはなかったが。





「この馬鹿者がぁぁぁぁ!完璧な令嬢のシスティナを国外追放など・・・恥を知れ!」


 王城のプライベートルームで父上の怒声を浴びせられることに。母上は呆れた顔をしている。

 俺の婚約破棄計画は漏れていたようだった。あの三人の令嬢を使ったのがマズかったのか。システィナを逃がすよう命じた部下2人も処罰を受けている。


「システィナを国外へ連れ出して自分も出国しようなど呆れてものも言えません・・・貴方が傷つけた彼女は北の離宮にて一ヶ月の間静養してもらいます」

「北の離宮?あそこは罪を犯した王族が収容される場所ではありませんか!何卒御考え直しを!!」


「あら、自分であの娘を婚約破棄したのに何を気にするのかしら?大丈夫です、あらちには最高の使用人を用意して世話をさせるのですから・・・しかし貴方には会わせられません」

「そ、そんな・・・どうして!」


「当たり前でしょう?女を傷つけておいて『はいゴメンなさい』で済むと思ってるのかしら?貴方にはこれから反省の意味を込めて帝王学を一ヶ月間再学習してもらいます」

「余も教育に参加してやろう、二度とこんなバカな真似はしないようにな?それとお主が手を出していたラウレッタ・ソァーヴェだが、お主を誑かした罪で名前と貴族籍を取り上げた上で各所の戦場に行かせる事にした・・・学園の聖女の名はダテではないから活躍してくれるだろうよ」


 別に好きだった訳でもなく手を出していた訳でもないラウレッタ嬢だが、俺のために戦場に行かせる事になったのは少なからず罪悪感を覚える。システィナの事も合わせて考えて置こう。


 とにかく一ヶ月の間は従順でいる事だ。



◇◇◇



 毎日まいにち寝る間も惜しんでの王太子教育。もうすでに分かり切っている事を再復習させられるのは苦痛でしかない。これもシスティナを一方的に問い詰めて追放しようとした罰か。


 缶詰教育が始まって一ヶ月が経った今日、いよいよ北の離宮から招き寄せられるシスティナと再会できる。神のごときスキルで軍に動員される事はひとまず置いて婚約破棄の事はしっかり謝罪しないと。


 そんな事を考えていると城の兵士達の訓練所から話し声が聞こえてくる。


「お、お前!エスポージト砦じゃ大変だったんだってなぁ!」

「おうよ、でもあそこに腕のすげぇ衛生兵がいてなぁ!俺のちぎり取られた左腕もこの通りよ!!」


 察するにエスポージト砦に配属されていた兵士が帰還したのか。激戦だったと聞くからラウレッタ嬢のいる部隊が派遣されたんだろう。父上の言ったように活躍しているようだ。


「こりゃすげぇ!全然傷がねぇな!!そんな衛生兵なら王城にいてほしいんだが」

「あ、ダメダメ!あの娘は衛生部隊『ルーチア』のアイドルだぜ!手ぇ出したら他の衛生兵にボコボコにされらぁ!黒髪で青い目のカワイイ娘だったなぁ、妙にお嬢様な雰囲気だったし」


 黒髪?青い目?確かラウレッタ嬢は茶色の髪だったハズ・・・それにちぎられた左腕が元通りっていうのは・・・もしや!

 たまらず部屋を飛び出して訓練所に向かいさっきの兵士達を捕まえて問い詰める。


「貴様!エスポージトで衛生兵と会ったのか!その兵士の名前は?!」

「で、殿下?衛生兵は名前なんて呼ばれてないですよ、番号だけで・・・12(ドーディチ)だったかと」


 何て事だ、名前が使われてないんだったら確認しようがない・・・そうだ!


「おい、お前を治療した女兵士の左頬に・・・泣きボクロはなかったか?」

「泣きボクロ・・・ああ、ありました!もともと可愛い娘だったけどあれが更にあの娘を可愛くしてるってか・・・あれがお嫁さんだったらなぁ」


 兵士の話を聞いて愕然とする。間違いなくシスティナだ!北の離宮にいるハズの彼女がどうして・・・ラウレッタ嬢と入れ替わっている??

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