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第二十七話 追放

「そして何より・・・先日のバィワ山のモンスター掃討作戦では禁止されていた治療スキルを使用し、あまつさえ専門外の治療専科生に対して指示を出し聖女ラウレッタに暴力を振るった!」

「そうよ!私が聖女なのに勝手に治療専科をアゴで動かして・・・私だって国防軍の兵隊の治療やってて疲れてたんだから休んで当たり前じゃない!それを殴るなんて信じられない!!」


 確かに王城ではその事に叱責を受けたけど一週間前には謝罪されていた。またその話を蒸し返してしまうとは。


 殿下とラウレッタの主張にまたもやアンジョラ様が耐えきれず口を出す。


「そんなの当然よ!治療専科の聖女なのにケガ人を放っておいて堂々と休んでいるのがおかしいのよ!!それで引っぱたかれるぐらいなんて甘い処置ですわっ!!!」

「何よ何よ!関係ないアンタは引っこんでて・・・」

「ネローニ令嬢、この件はラウレッタ嬢の言われる通りその方には関係がない・・・控えてもらおう」


 またもやアンジョラ様の言い分を抑え込んでしまう殿下。これ以上彼女に迷惑をかける訳にはいかないので私が答える。


「それに関しては否定致しません、しかし戦闘中の緊急事態でしたので対処させて頂きました」

「だが普通科生が治療専科の指揮を取るのは越権行為だ、王太子妃となるからにはそのような行為は認められない・・・ましてや自分の妹に暴力を振るうなど」


 殿下の主張は益々強引なものになってくる。周りの生徒達の反応も殿下に対して疑いを持っているようだ。でも誰もが賛成もしなければ否定もしない。


「以上の罪状をもって改めて宣言する、私アルカンジェロ・プリンチペ=イラツァーサはシスティナ・ソァーヴェとの婚約を破棄する!」


 そうか、そこまでして殿下は私を王太子妃から外したいようだ。元々愛されてはいないようだったけどここまで嫌われているとは思っていなかった。


 ・・・もういい、そうまでして婚約破棄を望むのなら無理に抵抗する必要もない。


 しかしアンジョラ様は負けじと言い返す。


「こ、このような魔女裁判は認められません!王族たる方がこのような野蛮な振る舞いではこの国は!!」

「控えろと言ったハズだ、今日の事は学園の中だから不問とするがそれ以上の反論はお父上ヴィスコンテ=ネローニ殿に抗議させてもらう!」


 殿下のトドメの一言に動けなくなってしまうアンジョラ様。最後までお一人で私の味方をしてくれた彼女に対して感謝と何もできない申し訳なさが募り、思わず震えている彼女の右手を優しく握る。


「アンジョラ様、ここまで私の味方をして下さいまして感謝します・・・でもこれ以上は貴女の身にも迷惑がかかる事、後は私が受け入れれば済む事です」

「そんな・・・システィナ様ぁ・・・」


 涙を堪えながら私を見つめるアンジョラ様。


「では沙汰を言い渡す・・・義妹ラウレッタ嬢への虐待・治療専科の聖女簒奪未遂・治療専科への越権行為、以上の罪状を以ってシスティナ・ソァーヴェは王太子妃候補から外し・・・国外追放とする!!」


 国外追放・・・予想外の事態に足元がふらつく、もうこの国に居られなくなるとは。

 慌てて私を支えてくれたアンジョラ様は叫ぶ。


「システィナ様、お気を確かに!こんなのないわ!いくら王太子だからって勝手に公爵家のご令嬢を、ご自分の婚約者をここまでむごい目に合わせるなんて・・・この方にはもう居場所がないっていうの!?」


 居場所がない・・・そうだ、私にはもうソァーヴェの家に帰る事は許されない。でもあそこにももう私の居場所は無い。だったら国外追放になったとしてもそれほど違いはないのかも。


 アンジョラ様の支えをもって立ちあがり、カーテシーにて応える。


「国外追放の件・・・承知致しました、どうやら私は王太子妃として至らなかったようでございます」


 私の申し出に何故か顔を曇らせる殿下。


「あ、ああ・・・では今すぐ学園の正門へ行け!そこに迎えが来ている!!」

「陛下と王妃様にはよしなにお伝え下さいませ・・・それでは」


「もうアンタとはお別れね!今日からは私がソァーヴェの娘なんだから、早く出て行きなさいよ!」


 勝ち誇るラウレッタ。とうとうこの娘は礼儀作法を身につけさせるまでには至らなかった。この有様ではソァーヴェ令嬢としても聖女としても、あるいは王太子妃としても立派に振る舞えるのかが不安になってくる。


 でももうそんな心配をする必要はない。私はソァーヴェの、この国の人間ですらなくなったのだから。


 私の足は学園の正門に向かって歩き出していた。

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