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第二十六話 詰問

「・・・第十二期生の卒業式を終了致します!卒業生の諸君は国の未来を背負って立つべき立場だと言う事をお忘れなく・・・」


 カヴァルカント学園の卒業式も無事に終わる。粛々と式を終える中、教授陣の在席している方を伺うとビアジーニ教授の姿だけが無かった。


 先日教授の差し伸べた手を払うような事をしてしまったのだから不快にさせてしまったのだろう。出来ればきちんと謝罪した上で今までのお礼を言いたかった。



 学園のホールにて卒業記念パーティーが行われる。貴族・平民共々の参加でトラブルやケンカ以外は無礼講だ。


 そんな中、突然声が響き渡る。


「諸君、私事ながらここで時間をお借りしたい・・・システィナ・ソァーヴェ嬢、ラウレッタ・ソァーヴェ嬢は前に」

「はいっ!」

「・・・はい」


 いの一番に飛び出たラウレッタはあろう事か殿下の腕に抱きつき満足そうな顔をして周囲を見渡している。ここでは学園の制服で参加する事が条件なのに、あろう事か淡いピンク色のドレスを身にまとっていた。


 私が御前に来たのをきっかけに殿下は話し始められる。



「この場をもって私アルカンジェロ・プリンチペ=イラツァーサはシスティナ・ドゥーカ=ソァーヴェとの婚約を破棄とする!」


  ざわざわ・・・


 突然の申し出に騒然となるパーティー会場。殿下が私に向かって問い詰める。


「システィナ嬢は義妹ラウレッタ嬢を理由もなく事あるごとにマナーや礼儀作法を盾に虐待していたそうだな?」

「事実です、仰る通りラウレッタの礼儀作法は公爵家令嬢としてあるまじきものでしたので・・・」


「アルク様・・・こう言っていつも私をイジメてくるんです、こんなの私のお姉様なんかじゃないわ!!」

「聞けばお前とラウレッタ嬢は血が半分しか繋がっていないのだとか?気にくわないからと言って虐げている者に王太子妃、国民を慈しむべき未来の国母となる資格はない!!」


「異議あり!」


 そう言って庇うように私の前に出たのは治療専科のアンジョラ様だった。


「なんだその方は?私はその方の発言を許可した覚えは無い!」

「失礼、私は治療専科の聖女代行を務めておりますアンジョラ・ネローニと申します・・・そちらのソァーヴェ嬢にはずいぶんとお世話をしてきたつもりですわ」


「・・・くっ、何よ!どうしてアンタがお姉・・・この人の味方なんか」


「恐れながら殿下、システィナ様がラウレッタ嬢へ行っていたのは注意に過ぎず無闇に苛めていたものではありません!彼女の無作法は治療専科だけでなく騎士科や普通科の生徒達もよく周知しております!!皆さん、そうですわよね!?」


「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」


 しかし帰ってきたのは否定も肯定もしない沈黙だった。誰も彼もがトラブルには巻き込まれたくない様子が見て取れる。その様子に愕然となるアンジョラ様。


「誰も証言しないではないか、これではその方の証言もでたらめという事になる!」

「ちょ・・・貴方達!普通科も騎士科もあれだけシスティナ様のお世話になっておきながら!!」


「アンジョラ様、おやめ下さい・・・」

「いいえ、言わせて頂きます!こんな言いがかりでシスティナ様を婚約破棄なさるとは恐れながら殿下のお考えを疑います!!」


「無論それだけではない、彼女にはまだ王太子妃として不適格な事実があるのだ!普通科生にすぎないシスティナは治療専科の聖女の座を簒奪しようとしたのだとか?」

「そうよっ!私が活躍していたのが気にくわないからって治療専科の娘達を使って聖女の座を奪おうとしてたなんて・・・泥棒猫じゃない!!」


「それには証言者もいる、シモーナ・マルキーゼ=アマート嬢!テクラ・コンテ=バンフィ嬢!ヴァンダ・コンテ=カルツァ嬢!証言するように!!」



 この方々は・・・私に聖女交代を勧めた方々!


「はい・・・私達はシスティナ様に・・・」

「お、脅されて聖女交代への署名に・・・」

「公爵の権力を使うと言われて・・・」


 当の私に聖女の簒奪をけしかけておいてそれを断られた腹いせのつもりだろうか?三人とも目が泳いでいる。

 そばにいたアンジョラ様は信じられない面持ちでいる。


「そ、そんな・・・何かの間違いです!システィナ様はそのような事をされる方では」

「その件に関しましては事実ではありません、そのお三方は私に聖女になるよう勧めてきましたが普通科生の私には不相応・・・ですのでお断りさせて頂きました」


「そ、それは」

「ぅ・・・ウソでごさいますっ」

「公爵令嬢だからと・・・」


 三人はしどろもどろになりながら否定する。不機嫌な表情をした殿下が私に問い質す。


「その証拠は?」

「その経緯を知っているのはお三方と私のみ・・・口頭によるやり取りですので証人もなければ証拠もありません」


 治療専科の応接室にてされた密談だ。証拠は無い。


「ならばお前の証拠不十分という事になる、こちらには三人の証言があるのだからな」


 殿下の我を押し通す様に驚いてしまう。ぶっきらぼうな方だけどここまで無理強いする方ではなかったハズ。そして更に信じられない事を口にされた。

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