第二十三話 叱責
一時間後、パーティーもお開きとなり学園生は解散となる。私も未だ学園生だから王城に残らず学園寮に帰る事になる。
城の外にある馬車の発着場へ向かうと殿下とラウレッタがいた。
「殿下、ラウレッタにお気遣い頂いてありがとうございました」
「いや、気にするな・・・それより」
「ええ、承知しております・・・ラウレッタ、先日は引っぱたいてしまってごめんなさい」
「・・・・・・」
「あの時はお前も感情的になっていたんだ、何も叩く必要はなかったハズだ」
「ええ、分かっております・・・だからラウレッタ許してちょうだ」
「・・・何よ何よ何よ何よ何よ!!!どうせアルク様が謝れって言ったからやってるだけでしょ!本心から謝ってないのは分かってるんだから!!」
「そ、そんな・・・私は!」
「私はお姉様に負けないんだから!!聖女の名前も渡さない・・・もぅ帰るっ!!!」
ラウレッタはそう言い捨てて馬車に乗り込む。殿下が引き合わせて下さったのにちゃんと仲直りできずに申し訳ないかぎり。
「・・・まったく、さっきまでは落ち着いていたんだがな」
「お恥ずかしいところを見せてしまいました、どうかお許しを・・・」
「俺も力及ば・・・いやそれより話がある、休みたいところを悪いが少し付き合ってくれ」
「承知しました」
言われるままについてきた場所は・・・王太子の部屋だった。小さいテーブルにて向かいあわせて座る事に。
「改めて先日の作戦ではご苦労だった・・・俺からも礼を言わせてくれ」
「恐縮です・・・私はただただ精一杯に」
その瞬間穏やかだった殿下の目が鋭くなる。
「そうだ、活躍し過ぎで度を超えてしまったようだ・・・俺の許可なく治療スキルを使ったな?」
「も、申し訳ございません!しかし緊急事態でしたので・・・それに最後まで気を失う事なくできましたので問題は」
「俺がどれだけ心ぱ・・・ってそうじゃない!先ほどの父上のお言葉を覚えているだろう!!」
いつものぶっきらぼうでは済まない剣幕にただただ驚いてしまうばかり。
「は、はい・・・確か『二人で共に戦う姿を見せれば国民達はより力を合わせてくれる事になるであろう』だったように思います・・・光栄なお言葉でございま」
「違う!その前に言われた『アルクと共に戦場に立てるのではないかな』だ!これがどういう意味なのか分かっているのか!?もうやり直しは利かないんだぞ!!」
私が至らない発言をしたせいか更に激昂する殿下。確かに陛下はそう仰ってはいた。でもそれが「どういう意味になるのか」とは・・・何か大事な事を見落としているのだろうか?
コンコン
「誰だ!今は取り込み中だ!!」
「なんですか騒々しい・・・先ほどパーティーが終わったばかりだというのに」
お部屋に入ってきたのは厳しいお顔をされている王妃様だった?後ろには侍女が2人控えている。
「は、母上・・・どうして」
「それだけ大きな声を荒げれば嫌でも聞こえるというものです・・・それに何ですか、自分の婚約者を部屋に連れ込んで仲良くするのかと思えば些細な事で怒鳴りつけるなど・・・恥を知りなさい!」
「こ、これには理由が・・・」
「婚約者にはそれ相応の態度を取りなさいといつも言ってるでしょう!全くいつまで経っても聞きわけの無い・・・システィナさん、こんな分からず屋は放っておいて私の部屋にいらっしゃい」
「は、はい・・・でも」
「バカ息子にはお父様からお説教をしてもらいますから・・・さぁおいでなさい」
不機嫌なお顔で俯いている殿下を横目に王妃様に同行する。
王妃様のお部屋でお茶を頂くことに。少し混乱していた心が落ち着いてくる。
「ごめんなさいねシスティナさん、婚約者に怒鳴り散らすなんて・・・何年経っても変わらないんだから」
「い、いえ私にも至らないところがございますし・・・」
「今まで王太子妃教育で落ち着いて話す事がなかったけど・・・あの子は父親に似て小さい頃から武術や軍学にばかり興味がいってしまってね、女の子と遊ぶなんて考えもしなかったのよ」
「そうだったのですか?」
「だから今ひとつ女の子にどう接すればいいのか分からなくなる時があるのよ・・・それに先日の作戦では貴方も活躍し過ぎたようだから変にこじらせちゃったみたい・・・」
王妃様の言葉に衝撃を受けてしまう。それでは殿下が不機嫌だったのは私が活躍したせいなのか。そう考えると私に治療スキルを使わせなかったのも納得できる。
「とにかくあの子はまだ子供なのよ、もう少し経てばさすがに大人になるでしょうから・・・どうか辛抱強く付き合ってあげてちょうだい」
「承知致しました・・・」
王太子妃教育にあった心得「妃となるものは常に王を立てなければならない」・・・こんな大事な事を忘れていたなんて。やっぱり作戦での活躍で私の心は思い上がっていたようだ。これではラウレッタとの仲も悪くなるばかりだ。
改めて自分を戒めよう。先日のような大規模作戦はもうないハズ、なるべく周囲に目立たないよう過ごさなければ。




