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第二十二話 祝宴

 イラツァーサ王城の大広間にて立食パーティーが開催されている。制服を着用した大勢のカヴァルカント学園生を前にして国王陛下の声が轟き渡る。


「カヴァルカント学園生徒の諸君!この度の国防軍との共同作戦では見事なる連携を見せてくれた!本日は諸君のためのパーティーだ・・・気兼ねなく楽しんでくれ!!」



 万雷の拍手をもって応える学園生達。そして全員出された料理にがっつく。本来であればマナー違反とお叱りを受けるところだが、国王陛下の計らいでトラブルやケンカ以外は無礼講となっている。


 もっとも私は王太子妃候補という立場上無邪気には楽しめない。王太子アルカンジェロ殿下と共に生徒達を労わなければならないからだ。最初に陛下と王妃様にご挨拶する。



「父上、お疲れ様でした・・・学園生達にお言葉賜り嬉しく思います」

「国王陛下、この度は私ども学園生のために盛大なパーティーを開催頂き誠にありがとうございます」


「ははは、カタくならずとも良い・・・学生達の姿を見て久しぶりに若い頃にもどった気分だよ、なぁメリッサ」

「ええ、元気にふるまう姿を見ていると頼もしく思えますわ・・・アルクは何でも危険な時に学生達に見事な喝を入れて指揮をしたのだとか」

「いえ、大した事では・・・」


「謙遜するな、その方のお陰で混乱せず戦いを勝利に導けたのだ・・・まさしく王の器だ・・・それにシスティナも普通科生とは言え治療スキルで活躍しているではないか、やはり余の見こんだ通りの結果を出せているようだ」

「恐れ入ります父上」

「そ、そんな・・・恐縮です」


「うふふ、システィナさんは普通科生で騎士科と治療専科との間を掛け持ちしながらの活動だったからさぞ大変だったでしょうに」

「まだまだ未熟です・・・ただただ全力で対処させて頂きました」


「うむ、これならアルクと共に戦場に立てるのではないかな?二人で共に戦う姿を見せれば国民達はより力を合わせてくれる事になるであろう!楽しみにしているぞ?」

「・・・はっ!」

「はい」


 陛下のお言葉に返事をする一瞬、殿下の顔が苦痛を受けたような表情だった?しかし何事もなかったかのように陛下の御前を引き下がる。



「諸君、作戦御苦労だった!楽しんでいるか?」

「はい!自分達ごときが王城にご招待頂けて・・・感謝です!」

「戦闘中の殿下の檄、感激です!」

「ソァーヴェ嬢も騎士科の重傷者の治療、ありがとうございました!」

「皆様、御無事でなによりです」


 続いて殿下と一緒に騎士科の主だったメンバー、普通科の面々と挨拶を交わしてゆく。作戦の成功もあって皆さんの気分は上々だ。



 そして治療専科の場所に行くと・・・何故か聖女のラウレッタが孤立している?


 作戦ではあの娘の怠惰な振る舞いに思わず引っぱたいてしまって以来、一度も言葉を交わしてはいない。元々家でも会話らしい会話もした事が無かったのに姉とは言えあんな事をするべきではなかった。きちんとあの娘に向き合って謝ろう。


 様子を見に行こうと足を進める私を手で制する殿下。


「待て、お前が行くと逆にこじれそうだ・・・俺が行くから治療専科への挨拶は任せた」


 そう言ってラウレッタの元に歩み寄る殿下。お手を煩わせて申し訳ないけど任された以上は挨拶回りに集中しよう。


「皆様、この度はお疲れ様でした」

「これはシスティナ様、この度はお世話になりました!」

「私達への指揮、有り難かったです!」

「お陰で迷うことなく活動できました!」


 治療専科の皆さんに声をかけると全員が私の方に詰めかける。口々に賞賛して下さるので嬉しいのやら恥ずかしいのやら。


「システィナ様、私が軍の命令で持ち場を離れた際の代行指揮、感謝に堪えません」


 そう言ってきたのはアンジョラ・ヴィスコンテ=ネローニ令嬢だった。


「いえ、私は咄嗟に行っただけに過ぎません・・・ネローニ様こそお疲れ様でした」

「どうかアンジョラとお呼び下さいませ・・・それにしても失礼ながら殿下もお優しいことですわね?婚約者を置いて一人で呆けているご令嬢に声をかけて・・・」

「ネロ・・・いえ、アンジョラ様・・・殿下の事を悪く言われるものでは」


 令嬢らしからぬ発言に声を潜めて警告する。


「分かっています、不敬にもあの方に不満があって言ったのではありません・・・ただ気遣っていらっしゃるそのお相手が」

「・・・私にも悪いところはありましたから」

「システィナ様は悪くございません、戦場で見返りを考えて判断する方がおかしいのです!平手打ちぐらいでは足りませんわ!!」

「どうか、そこまでにして下さいませ・・・」


 興奮するアンジョラ様を慌ててなだめる。私の味方をしてくれるのは嬉しいけど王城でこんな事を平然と言っては周囲の人達にどう判断されるか分からない。

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