第十八話 計画
二カ月後、大規模な実戦訓練として国防軍のモンスター掃討作戦に従軍する事になった。場所はこの国を象徴する三つの山の一つ、バィワ山。この山に出てくるモンスターは他の山に比べて凶暴さが低いとの事。
この国が主導する事になる実習には学園の全生徒が強制参加。体調が悪い生徒以外は普通科生であっても出る必要がある。
本来であれば治療スキルを持つ私も治療専科の一員として参加するべきなのだろう。しかしアルカンジェロ殿下からそれを禁じられているため普通科生として参加する。
騎士科でも治療専科でもない普通科生は主に備品などの「運搬」、負傷兵の「誘導」、治療専科の使うスキルへ「補助」という目まぐるしい役割がある。役割分担を前もって決めておく必要がある。
殿下は騎士科の生徒達を、学園の聖女と謳われるラウレッタは治療専科の生徒達をまとめる義務がある。私は普通科生を指揮する役割に推薦されてしまった。私には大勢の人達を指揮する才覚なんてないにも関わらず。
しかし弱気になっていては私を推挙してくれた方々に対して申し訳ない限り。とにかく全力を尽くす以外にない。
生徒会室にて軍との作戦指示を預かっている騎士科のリーダー達と会議を行う事に。しっかり立案された作戦なので我々学園の生徒達の配置も決めやすかった。
それに王太子妃教育で習った歴史の中にも軍略の事が書かれていた。騎士科の女性ほどではないけど多少は対応できる。
「我々騎士科はこの配置で決定です、治療専科はその後方・・・普通科生はどうされますか?」
「・・・では私どもはその間、中間地点での配置に致します・・・その方が双方の連携も取りやすく負傷兵が出た場合も対応しやすいと思われますので」
「なるほど、理にかなっています・・・さすがはソァーヴェ嬢、ではこれにて会議を終了します、宜しいですね殿下?」
「ああ、本作戦の成功はここにいる諸君の連携に掛かっている・・・全員が一丸となって奮闘してもらいたい、以上!」
会議の後アルカンジェロ殿下から声を掛けられる。
「普通科の現場指揮をするのも・・・お前なのか?」
「ええ、分不相応なのはわかっています・・・しかし与えられた役割はこなしてみせますので」
「・・・だったら安心だ、前線にでる事もないだろう」
「え?」
「なんでもない、とにかくサポートを頼む!普通科とは言え戦場に行く事に変わりはないんだからな」
「はい、お任せ下さい」
私が微笑をもって答えるとやはり顔をそむけてしまわれる。よく考えると学園を卒業と同時に殿下と結婚する事になる。それを思うと顔が赤くなってきそうだ。
「システィナ様、では私達治療専科はこの陣営で行動させて頂きます」
「ええ、宜しくお願い致しますね?」
治療専科からは聖女の代行としてアンジョラ・ヴィスコンテ=ネローニ令嬢がいらしていた。銀髪のショートヘアが凛々しく女性ながら同性達に人気があるようだ。
ご実家はヴィスコンテ(子爵)ながら人を指揮する事に長けていらっしゃる頼もしい方。治療専科で共に行動していた時に私のアドバイスで怯えずに負傷兵への治療が出来るようになっている。
「ふぅ・・・ラウレッタ様には困ったものです、あれだけの才能がありながらこうした打ち合わせには一切出て下さらないんですから」
「・・・義妹が皆様に御迷惑をお掛けして申し訳ありません、姉として謝罪させて頂きます」
「い、いいえっ!システィナ様の謝罪を求めてはいません!それに会議では随分と助けて頂きましたので・・・それでは当日宜しくお願い致します」
ラウレッタは「現場で活躍するのは私だけなんだから作戦なんていらない」と訳の分からない事を言って治療専科の生徒達を困らせている模様。頭の痛い事だ。




