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お前に指示がある

 銃による攻撃を止め、カレクトル達は接近戦による制圧を試みる。


「はあっ!」


 アリスは障壁弾を解除し、一体のカレクトルによる掴みを屈んで回避した。

 突き上げるように顎部分へ銃口を押し付け、トリガーを引く。

 発砲音と共に、カレクトルの顎から脳天までを弾丸が突き抜けた。


 横から迫るカレクトルへ蹴りを放って距離を取り、もう片方の銃を向けて発砲する。

 放たれた弾丸の色は黄色。

 それが着弾すると、カレクトルは痙攣を起こして倒れた。


 黄の魔弾……『電撃弾』。

 先程ビリーを助けたものと同様のもので、その名の通り電気を纏う魔弾である。

 殺傷性が低い分、機械の機能を阻害したり人を傷つけずに制圧するにはうってつけの魔弾だ。


 アリスへ背後から襲い掛かろうとしたカレクトルにビリーが飛びつき、短い格闘の末に彼の拳銃によってその機能を停止させる。

 そう戦っているうちにカレクトル達の隊列が乱れ始めたのを、アリスは見逃さなかった。


「そこだっ……!」


 アリスは銃口を向け、トリガーを引いて魔弾を発砲する。

 銃口の向く先は、カレクトル達の隊列の中心部分。

 乱れ始めた彼らの隊列をすり抜けるように、魔弾が的確に射出された。


 アリスの放った魔弾が、床へ着弾する。

 すると着弾地点を中心に、床へ()が生成され始めた。

 氷は湧き水の如く一気に周囲へと浸食を始め、カレクトル達の足元を覆い尽くしていく。

 分厚い氷は、カレクトルのパワーをもってしても解くのは困難だった。


「よし、これで反撃はできないわね」


 そう口にしたアリスは、動けなくなったカレクトル達の頭へ至近距離から弾丸を撃ち込んでいく。

 ビリーもそれに(なら)ってカレクトル達を倒していきながら、感じた疑問をアリスに尋ねた。


「なぁ、あの超質重力圏(ブラックホール)弾? アレを最初から使っておけば楽に倒せたんじゃねーの?」

「『重力弾』ね。あれは結構高級品だから、あんまり使いたくないのよね〜……」


 アリス曰く、重力弾は切羽詰まった時にしか使わないという。

 これほどの数を前に、それを出し渋るほどの余裕がアリスにはあったのだ。

 ビリーはアリスの腕と魔弾の強力さに肩をすくめながら、動けないカレクトル達を撃ち抜いていく。


 氷が解け始めた頃には、頭に大きな弾痕の刻まれたカレクトル達が積み上がっていた。

 カレクトル達の死体の先に、入口のような2メートルほどの穴が開けられた壁を発見する。

 壁の先を覗き込むと、モニターの広がる大きな部屋がそこにあった。


「監視室、ってとこか……」


 モニターには廊下が映し出されている。

 その中で、アリスはあるモニターを見つけて駆け寄った。

 アリスが凝視するモニターには、どこかの廊下でカレクトル達と戦うギルバートの姿がある。


「ギル……!」

「こいつ、どこにいるんだ?」


 ビリーはモニターから目を離し、部屋内を探索し始めた。

 そこで、他のモニターよりも一回り大きなモニターを発見する。

 映っているのは巨大なカレクトル……ではなく、プルライダーと一体化したこの施設そのものだった。

 何かと戦っているかのように動き続けていることから、この映像はこの施設と連携していることが分かる。


 再びギルバートのモニターへ向き直ると、画面の端に『E5』という文字列を発見した。

 施設全体を映すモニターに視線を戻すと、『E5』と記されたパーツを見つける。

 それに気付いたビリーはアリスへ、今の状況を説明した。

 

「多分ここが、ギルバートのいる場所だ。んで、俺達がやったカレクトル共の死体が映っているのがここ」


 施設全体のモニターを指しながら、ギルバートの位置と自分達の位置を確認する。

 ギルバートとは、それなりに離れているようだ。


「すぐに行かないと」

「いや、ちょっと待ちな」


 ギルバートと合流するべく部屋を飛び出そうとしたアリスだったが、ビリーに止められて振り返る。

 ビリーは2者の位置の他に、ある場所を見つけていた。


「エネルギー供給室だ。ギルバートの近くにある」

 

 ビリーが指した場所には、青い枠で囲われた部屋が映っている。

 そしてその部屋を中心に、青い筋が各地に流れ出ていた。

 青い筋は施設全体とカレクトル達へ繋がっているようで、その数が多いほど筋が太い。

 その部屋が映るモニターを見ると、確かにエネルギー供給を行っているような構造をしていた。


「んで。ここにマイクみたいなのと、部屋番号の書かれたキーボードがある」


 ビリーが下へ軽く指を弾ませると、その先にマイクのような装置とキーボードがある。

 ビリーはキーボードへ指を添えると、『E5』と書かれたキーを強く押し込んだ。


「聞こえるか! ポンコツ野郎!」


 キーを押したまま、ビリーがマイクに向かって叫ぶ。

 すると映像の先に居るギルバートが、その声に反応して顔を上げた。

 ビリーは眉を持ち上げ、得意げな顔をアリスへ向ける。

 キーを押すと、指定した場所へ音声が繋がる仕組みになっていたのだ。


「てめえ、今どこに居やがる! アリスは?」


 廊下に響き渡るビリーの声に反応し、ギルバートが虚空に向かって叫ぶ。


「アリスちゃんならここに居る、無事だ! それより、お前に指示がある」


 ギルバートの質問に答えた後、ビリーは彼へ一つ指示を飛ばした。


「今から、エネルギー供給室へ行ってもらう!」

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