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待っている人

14時40分。


ウリス島の外れ、海沿いにある小さな花屋「そら」。

上空にジェット音が聞こえ始めた。


オーナーの本田 理紗。

ゴースト隊の隊長、百合の恋人だ。


今日も店先で空を見上げる。

彼女が帰って来たからだ。


基地に戻る際必ず店の上空をヒラヒラと翼を左右に3回振って通過して行く。

今日も無事に帰って来たと言う合図だ。


それを見届け「おかえりなさい。」と呟くのだった。

そして、ほっと胸を撫で下ろす。


最初は反対だった。

大切な人が戦場に行くなんて。

それでも止めることは出来なかった。


あの時見た彼女の瞳が今でもハッキリと思い出せる。

悲しみ、怒り、覚悟。

それらをすべて物語るような強い意志。

そして、生きる為にお金が必要だと言う事も……


軍に入ればお金が入る。

しかも普通に働くよりもよっぽど高額な。

その分難しいという事も、危険だと言う事も分かっていた。


彼女は自分を守る為に自ら危険な道に飛び込んで行ってしまった。

それを止められなかった事を今でも後悔している。

それでも百合は決まって「大丈夫、貴女を守る為に必ず生き抜くから」と。


一緒に過ごせる時間は限られて居るがそれでも時間があれば必ず来てくれる。


「私は何を返せているのかな」

ふと思ってしまう。自分はただ地上で待っているだけなのだ。それなのに彼女は私に寂しい思いと心配をかけているからと、いつも優しくしてくれる。


待ち続ける事しか出来ないのがもどかしかった。

それでも、彼女は言った「待ってくれる人が居るから帰って来れるんだ。だから待ってて」


だからどれだけもどかしくても待っているのだ。



上空を旋回しているのが遠くに見える。着陸体勢に入った戦闘機2機を見ながら彼女は仕事に戻った。

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