表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/35

10話 狼人の幼女は、『導き手』を探す。



※※※side 【ソラ・アイシュガル】



(……優しい『匂い』だったなぁ)


 ついさっき、助けてくれた黒いマントと黒いマスクをした男の人の『匂い』と『姿』に、『ソラ』は泣いちゃいそうになるのを、すごく我慢してる。


「『月光の髪に空色の瞳』……」


 声に出しちゃうと、また瞳に涙が溜まってくるけど、仕方ないよね。ずっと探してたんだから。


――ソラ。ママが死んじゃったら、満月の明かりのような綺麗な金髪に、どこまでも澄んだ空のような瞳を持った人を探しなさい……。きっと守ってくれる。ソラを導いてくれる。ソラ、どうか幸せになって……。


 ママの言葉を思い出しながら、やっと『導き手様』を見つけられた事に涙が込み上がって来ちゃう。


(ママ。ソラ、ちゃんと見つけたよ! 偉い?)


 心の中で死んじゃったママに声をかけると、もう我慢もできないみたい。


 ポロッとほっぺたに流れる涙をゴシゴシと服で拭きながら、『導き手様』の事を思い出す。


 ふわりっと温かく優しい風がソラの鼻に香った。『人間』からの匂いとは思えなくて、慌てて振り返ると、そこには『導き手様』が立っていた。


 ソラは見た瞬間にわかった。


(……『導き手様』だ……)


 黒いマスクで隠れていたけど、とっても優しくニコッてしてくれた。『導き手様』は、多分、ソラをいじめようとしていた人から守ってくれたんだ。




 ママが死んでからこれまで、いっぱい、いっぱい嫌な事があった。


「さっさと消えろ!」

「獣人は死んじまえッ!! 近寄るな!」

「神に力を与えられない『ゴミ』が!!」


 『人間』はとっても意地悪だった。ママも『人間』だったけど、全然同じ種族とは思えなかった。


 いつも逃げ出しては1人で泣いてたけど、ソラを『きぞく』に売ろうとした人に捕まっていた時、『ぼうけんしゃ』に会って助けてもらったんだ。



――みんな、早く逃げなッ? もう大丈夫だから。



 一緒に捕まっていた子供達と一緒に逃げた。


 その子達は、


「『ぼうけんしゃ』様が助けてくれたんだ!!」

「うわぁーん! よかったよぉお!」

「『ぼうけんしゃ』様ありがとうぉお……」


 といっぱい泣いていたから、ソラを助けてくれたのは『ぼうけんしゃ』だってわかったんだ。


(やっぱり、『人間』にも、優しい人はいるんだ!)


 そう思ったけど、やっぱり怖くて、ずっとコソコソと隠れながら生きていた。


 違う種族の獣人の里に行って、『戦い方』を教えて貰ったけど、そこでも「ママが『人間』なの」って言うと、


「半血の忌子が!!」

「汚らわしいッ!!」

「こんな娘は『追放』しろ!」


 ってみんなに責められて、追い出されちゃった。


 どうすればいいのかわからなくて、どうやって生きていばいいのかわからなくて、怖くて怖くて、悲しくて、寂しくて……、


(ソラはこれからずっと1人なんだ……)


 ってずっと1人で泣いてた。でも、やっぱり死ぬのは嫌で、1つの『希望』とママの言葉を支えにして、勇気を振り絞って、王都まで来た。


(一度助けて貰った『ぼうけんしゃ』になれば、大丈夫かも……。『導き手様』も見つけられるかも……もしかしたら、『パパの『瞳』も見つけられるかも!!』)


 そう思って頑張って王都まできたけど、やっぱり、『人間』は嫌な人ばっかりで、少し挫けそうになってた。


(もうソラの居場所はどこにもないんだ……)


 そう思いながら、ソラが生きていくのを諦めそうになってた時に、『導き手様』が助けてくれた。


『生きてていいんだよ?』


 きっと神様がそう言ってくれたんだと思った。


 でも、『導き手様』はすぐに消えちゃった。


(夢だったのかな……)


 なんて泣きそうになっちゃったけど、いっぱいの人の中に、ちゃんと『導き手様』の『匂い』を感じる。


 優しくて、温かい。嗅いでるだけで、安心して涙が出ちゃいそうな『匂い』。ソラは大きく息を吸って、「頑張れッ!」って心の中で自分を応援した。



「チィッ、さっさと帰れよ……」

「なんで獣人のガキがこんなとこにいるんだよ」

「こんなガキが冒険者になれるはずがねぇ」



 周りの『人間』はやっぱり嫌な事を言ってくるけど、ソラはもう大丈夫。だって『導き手様』がそばにいるから。



 ソラは鼻に魔力を集めて、獣人の里で教わった『技』を使って、『導き手様』を探し始めた。




 


次話「【スパイギルド】 ジャングと『ロウ』」です。


 ほんの少しでも、「面白い!」もくしは「次、どうなんの?」はたまた「更新、頑張れよ!!」という優しい読者様。


 【ブックマーク】をポチッとお願いします!!


 ついでと言ってはなんですが、下にある評価の所から、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら、最高です!!


 「何だコレ?」「全然面白くないな!」という読者様も「まぁ減るもんでもないしな……」という優しい気持ちで、下の【☆☆☆☆☆】のどこでも良いので、ポチッとお願いします!!


 この作品を【ブックマーク】して頂いている方、わざわざ評価して頂いてた方、本当にありがとうございます!! とっても励みになっておりますので、今後ともよろしくお願い致します!!


 ソラ、可哀想だが、可愛い……。

 次話、「ちょいざまぁ」です!!


 よろしくお願いします!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ