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うわああ、と彼は冤罪を主張した

 シンヤは家の近所の公園に来ていた。

「あ――――……ビックリしたー……なんなんだあの面接会場……俺、道、間違えたのかなあ。死んだひとの面接ですー、とか、シャレになってないっつーの。そもそも俺死んでねーし」

 ネクタイをちょっと緩めて、ひと休み。

 ぐたーっとなっているところに、少女が――正確には、405号が――走ってきた。シンヤを見つけ、無言で立ち止まると、彼女はシンヤのそばをうろうろした。

 間違いない、と、405号は思った。ゼロさまが探しているのは、このひとだ。

「あれれ、どうしたの、お嬢ちゃん」

 シンヤはそうと知らず、405号に人懐っこく話しかけた。自分にも妹がいるから、なんとなく親しみがわいていた。

 405号は黙って胸のペンダントを握る。このあたり、彼女はもしかしたら3103号よりも仕事にシビアなタイプかもしれなかった。

「…………」

「どこの子? お父さんやお母さんは……」

 シンヤが言いかけた瞬間、405号は、ペンダントに模したブザーのボタンを一気に押した。

 ブザーの音があたりに鳴り響く。

「わあ‼」

 はたから見たら完全に幼女と犯罪者。シンヤはまたパニックになった。

「いやいやいやいや、俺まだ何もしてないしするつもりもないしできないしうわーおまわりさーん助けてー‼」

 もう自分でも何を言っているのかわからない。あわわわわわとシンヤはその場をぐるぐる走り回って慌てた。

「405号!」

 3103号と女子高生がその場に走り込んできたのは、シンヤが慌てすぎて文字通り前後もわからなくなってからだった。

「え、なに、このひとなの?」

「うん、そう」

 言って、405号はようやくブザーを止めた。

 女子高生がとても複雑な表情でシンヤを見ていた。

「エリ!」

「……おにーちゃん……」

 何か言いにくそうな女子高生――妹のエリの姿に、シンヤはもっと慌てた。

「うわ、エリ、いやこれは誤解だ、俺なにもしてないんだよう」

 妹に不審者扱いされるのはごめんだ、そう思って弁解しようとしたが、エリからの言葉は、想像のはるか斜めを行っていた。

「なんで透けてるの?」

「え?」

「おにーちゃんの身体の……向こうが見えるんだけど」

「透けてるって……なんで……」

 身体が透けている? そんなことにすら気がつかなかったシンヤは、改めて自分の手を見る。手のひらを通して、地面が見えた――

 3103号は、それはそうだ、当然だというふうに、聞いた。

「え、ゼロさまが言わなかった?」

「なにを……」

「あなたはもう、死んでいる」

 3103号と405号がハモって、言った。それはまるで死刑宣告のようだった。

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