第二話
「へ~こりゃあ凄いな、、これが大図書館か、、」
「そうすね、、俺も初めて見たときは驚きましたよ」
なんだろうか。建物自体、高さが高層ビル並みにある上に広さが異常、しかも、、
「しかも、、この量が丁寧に管理されてますからね、、一人で」
「へ~、そうだ。少し調べたいことがあるんだ。探してきてもいいか?」
「もちろんっすよ、そのために来たんすから。」
館内を色々探してみるも、なかなかに分類がわからない。
五十音、、、があるのかは分からないが、法則性がない。
ライアは丁寧に管理されてる、なんて言ってたがこれ適当に入れてるだけじゃないのか、、、
なんか変な粉が塗してあるし、、
「あら、そんなことないですわよ?」
いやいや。どこに法則性があるんだよ。頭おかしいんじゃ、、
「って、誰だよ!!」
「こんにちは。私がこの図書館を管理しているものですわ」
名前は、、
「名前はシノアって言いますの。」
「さっきから人の心を読まないでくださいます!?」
「それは、、、この子に言ってもらわないとねぇ」
この子?そう思いあたりを見渡すも、誰も見えない。
明らかに近くにいるような言い草だったが、、、誰もいないな。。。
そうして探していると不意に後ろから衝撃が走った。
「いってぇ、、!!何しやがんだ!!」
しかし周りには誰もいない。クッソ、、、なんだよこれぇ!!
やはり何も見えない。しかし殴られているような衝撃は止まることを知らない。
しかもこの衝撃、、、まるで魂に攻撃されるように、一撃で意識がぶっ飛びそうになるし、、!
「あらあら、、お客さんをあんまり痛めつけないでおくれよ?」
「いってる場合か!!」
どうにかしてこの状況を打破しなければ、、、
だが見まわしても何も見えない。
まるで透明にでもなっているかのように、、
「なんでこんなに攻撃されてんのさ、、俺、、」
「分からない?身に覚えはない?」
話した誰でもない、幼い少女のような声が聞こえる。
「なんも、、、ねぇよ、、!」
「そう。なら止めないわ」
一層強い衝撃が襲い、為すすべもなく俺は本棚にぶち当たった。
空気の塊が俺の口から勢いよく出て行ったのがわかる。
「ハハ、、降参だよ。なんもしないからさ、、もうやめにしてくんない?」
そう諭すも意味を為さず、一方的に攻撃されている。
なんで俺がこんな目にあってんだよ。おかしいだろ。
許さない。絶対に許さない。
ずっと瞑っていた目を開くとなぜか目が黄金に光っているのがわかった。
そして、無意識に本についていた粉を手に握る。
「、、おい。隠れて攻撃だなんて随分と弱虫だな。んや、、ヘタレなだけか?ははっ、、やっぱ雑魚はちげぇわ」
瞬間、顔面に衝撃が走るが、これでいい。
「扱いやすくて助かる。これでようやく姿が見えるな」
「っ!?」
ハメられたことに気付いてか分かりやすく怒りをあらわにしている。
と、いうことが分かるくらいにこいつの姿は粉にまみれていた。
「正直、女の子相手に殴るのは気が引けるんだ。降参してくれると助かるんだが、、」
「馬鹿にしないで!!」
怒号とともに本棚がどんどん倒れ始める。
大方魔法を使ったのだろうが、想定内、、、って、こいつ!
怒りで前が見えていないのかシノアの前にある本棚まで崩れ始める。
「おい!逃げろ!」
そう叫ぶもシノアは一切動こうとしない。」
全力で走り、シノアを押し倒し。身を挺して守ろうとする俺に心底驚いた顔をして。
そして、、一言。
「流石におふざけが過ぎるよ、ハクア。」
ただの言葉のはずが、それ自体が攻撃のように、重くのしかかる言葉。
倒れていた本棚が、元の位置に戻っていく。
「ちょっ、大丈夫っすか!?」
遅れてライアが駆けつけてきた。
「ああ、なんとかな」
苦笑交じりにこたえるこのセリフはまだまだ使うことになりそうだ。
「それはそうとハクア。こんなにお客さんに迷惑かけたんだ。
それ相応の理由はあるんだろね?」」
シノアが言うと、空間がゆがみ、フードをかぶった少女が見え始めた。
少女はゆっくりとフードを外すと、申し訳なさそうに
「それは、、その、、負の魔力を感じたからです、、
でも今こうやって凝視してみると、、別の気配みたいで、、その、、」
「つまり勘違いってことだよなぁ、、覚悟はできてんだよなぁ!!!」
そう言って少女の方を向いたところで______時が止まる。
フードを外した少女の姿はなんだろうか。
女神といってもさし違いないような『美少女』だった。
靡く白髪は、日にさらされて透明に見える。
「えっと、、その、、ごめんなさい。」
悲しそうな顔で謝罪をしてくる少女に何も返せずにいると
頭はポリポリと掻きながら苦笑し、
「まぁこういうことだから、許してやってはくれないかい?」とシノアが言ってきた。
まぁ、、怒っていてもしょうがないしな。俺は当初の目的を果たすとしよう。
「はぁ、、まあいいさ。それより異世界について、の本ってのはあるか?」
「もちろんある。、、と言いたいところだが、実は異世界関係の書物だけ
あの爺さんが持って行っててなぁ、、。」
シノアが悩んでいるところでライアが提案を述べた。
「それなら先輩、街に行ってくればいいんじゃないすか?たしかあの爺さん、そこの街に店立ててましたよね」
「そうだねぇ、、、じゃあハクア。あんたがこの辺色々連れてってやんな」
「「え?」」
驚く俺らを無視して続ける。
いやいや。さっきまでなんか戦ってた人と一緒にお出かけだなんて、
そんな馬鹿なことは言ってない、、、よ、な、、?
「ほら、さっきの蟠りが解けるかもしれないだろう?私もちょっとこのお客さんと話したいしねぇ。」
「それなら、、はい。分かりました」
そう言ってこっちを少女が向いてくる。
まぁ、俺も美少女と一緒に歩けるのは別に嬉しいしいいか。
「初めまして。私は『ハクア』といいます。よろしく。」
まるで最初のことなどなかったかのように笑顔で話してくる。
なんだこいつ二重人格か。
俺は怒りを隠そうともせずに言った。
「ああ初めまして。俺は、、、ごめんライア。俺の名前って何だった?」
「えっ、何こいつ自分の名前も知らないのかよ」と言われながらもダメージはない。
最早慣れだろう。
「先輩の名前はっすね、、あの、、誰も知らないというか、、あっ、でも周りからは『死神』って呼ばれてたっすね。」
え、、何その如何にも厨二ですみたいな名前は、、
いやまて、、じゃあ俺は少なからず外では死神って言われるのか、、、?
そう思いハクアのほうを向くと、、、あぁ、だめだコイツ。
明らかにいやらしい笑みを浮かべている。
まるで「さっきのことを許してくれたら、、名前を考えてあげるわよ?」、、と言われてるように。
「さっきのはなかったことにするんで、、どうか、、」
「じゃあ、私はテル、って呼ぶわよ?」
はぁ、、結局形勢逆転か、、まあいい。
死神だなんて厨二ネームで呼ばれるのだけは回避しなくては!!
「よし。そういうことだから、頑張って探してみるといいさ。ハクア、ちゃんと案内してやるんだよ?」
シノアがそういうと、ハクアは満点の笑顔で「はい!!」と返事をしていた。
「さて、じゃあ行こうか。」
図書館を出るとき、何やらシノアがハクアに話していたようだが。
内容までは聞き取れなかった。
この時気づいていれば、どれだけよかったのかは知る由もない。