帰宅したらこんな彼氏に出迎えてほしい
掲載日:2020/11/04
疲れた
頭の中のものがかき回されたように
考えがうまくまとまらない
茫然と仕事を切り上げ、なんとか自転車を漕いで自宅までたどり着く
おもむろにポケットから鍵を取り出し、差し込もうとするが思うように入らない
別に特別嫌なことがあったわけではない
角度を変え試みるが
鍵穴が拒否する
毎日の繰り返しの中でいつのまにか
気持ちのコップが溢れかけていた
入らない鍵がちぐはぐな自分と重なって
思わず手が止まった
どうして自分はこうなんだろうか
みんなもっと上手に生きてるのに
いや、自分も本当はもっと、、、
突然、ドアが開く
わたしはまだ動けないでいるのに
「おかえり。」
見慣れた顔
「...」
顔を見られまいと、注意深く靴を脱いで
リビングへと向かおうとしたが
彼も逃す気はなかったようだ
廊下で両手を広げる彼と目が合う
「ただいま」
仕方なく顔を上げて
それから途方に暮れて
私は少し笑った




