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 ラストインターミッション 『永久』聖騎士伝説の作者



 朝…


 赤い髪の赤子を大事そうに抱えていた皇帝から入室を許され…

 血の匂いのする部屋に入る…

 産後の止まらない出血…

 メロディは虚ろな目で天井を見ている…

 もうながくない…

 

 ドアを閉める音に気づいた…

「だれ…?」


「お前の姉妹弟子だよ…」


 メロディは黒い口隠しをコッチに向けて…

「なんで来た? アナ帝国が大嫌いなんだろ?」


「ああ…大嫌いだ…アナの聖騎士になった…おっ…まえ…も」


「ブロディ…泣いているのか?」


「ふふっ…ふふ…もう死にそうなのに…声…なんでそんな元気なんだよ…?」


「ブロディの前だけは…弱々しくしたくない」


 寝ているメロディは手首の無い右手を出してきた。


「雷神に切られた」


 ワタシは触る。

「見てたよ、まだ左手がある」


 今度は左手を出してきて、

「この左で雷神を倒した」


 ワタシは触り、

「偉いな」


「うん」


 ワタシは持って来ていた本を出し、

 ベッドの横の椅子に座り、開く、

「じつはなメロディ…」


「なんだ?」


「ワタシはお前の本を書いていた…もう出来ている」


「ブロディがワタシの本を?」


「 『永久聖騎士伝説』という名の本だ…お前に最後まで聞いて貰って、間違い無い内容か…その左手でサインをして欲しい」


「全部、聞いたらか?」


「ああ」


「ブロディ…先にサイン書いとくよ…」


「そうか…」


 小刻みに震える左手にペンを差し出し、優しく掴ませ、

「ここだ…」


 アナ帝国 第17代聖騎士 ○○○○


「○○○○ にメロディと書いてくれ」


「ああ…がんばってやってみる」



 たどたどしいが…ちからのかぎり書き上げた…



 

FIN


 アナ帝国 第17代聖騎士 メロディ

                              』



 

 1ページ目を開き…


「では…1から、読むぞ…


 生まれたスヤスヤと眠る乳児の母に、傭兵であった乳児の父は怒鳴り、酒瓶を投げ、父は知る限りの侮蔑の言葉を母に無残に放った。

「捨ててこい」

 父が乳児に放った最後の言葉。






 読み終わる…


 メロディの顔を見る…


 笑顔で目を瞑って眠っている… いや… 本当は分かっている…


 どこで? 笑った? 眠った?


 『永久聖騎士伝説』の本を、メロディの胸の上に置く…


 大好きだった赤い髪をなでる…



「な? お前の人生は薄暗い雨の日じゃなかっただろ?」



 無心で部屋を出る…


 外には…


 ココとロメロが… ワタシの顏を見る…

 唇を噛みしめ… 小さく頷くと…

 二人とも泣き崩れる…


 ココが…

「ごしゅじんさま!! ごしゅじんあま!! うええええ!!」

 ロメロが床まで頭を下げて…

「ブロディさん! 本当にありがとう!! うううおおあおおああ!!」


 二人とも… やめてくれ…


 顔を逸らして、手を上げて、ロメロの礼に応え…

 アナ帝国から、去るために屋上に…



 ここまでワタシを乗せてきた飛竜に乗る…


「好きなところに行け…ワタシと、最後の飛竜のお前に…目的地などないのだから…」


 飛竜は飛ぶ…


 城から離れた時…


 後ろから、鎮魂の鐘が聞こえた…


 前には赤い落日が見える…




 泣かない… 泣かない… 書いた以上… 泣いたらだめなんだ…


 メロディは笑っていた…


 そう…



 あの本の中で…


 ずっと生きているんだから…


 メロディとワタシは…





 

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