表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/130

87話 ースフィア編ー レナの聖騎士


 レナ国の王都城の議会場では…

 国王と大臣達と、聖騎士ミスティ(40歳)がいる…


 ヒゲモジャの大臣が、

「財務大臣! トロン川の治水工事の費用がありません!」

 横のヒゲモジャの大臣も、

「アナ帝国対策の砦の新設費用はどうするんですか? さらなる増税を!」


 机に肘をつき、前頭を両手で押さえる痩せた初老の財務大臣は…

 ぼそぼそと…


「これ以上の…増税は…」

 チラッと国王を見た、

 国王は、

「財務大臣! 質問に答えろ!」


 財務大臣は心の中で、

(そうやって、この数年で何人の財務大臣が、スケープゴートにされ牢に送られた…)


 議会は… 夜まで続き‥‥


「続きは明日!」


 フラフラで議場を出た、財務大臣に、ミスティは歩みより、

「父上…肩を貸します」

「ミスティ…大丈夫だ…」

 親子は城を出て、馬車に乗り帰る。


 

 父の屋敷の食卓の向かいのミスティは、

 箸の進まない父を見て、

「父上…もう大臣をお辞めになって、お身体が…」


「大丈夫だよ、他国に、援助を申し出るように勧める…まあ…正直、どうなるか分からんが」


「母が亡くなって、もう10年…父上には長生きして欲しい…」


「案ずるな…ごほごほ!」


 すぐに、ミスティは父の後ろに立ち、背中をさすりながら、

「ばあや! お薬を!」


「はい、すぐに!」


 父はミスティの手を優しく払い、真横のミスティを見つめながら、

「私のことより、子供は? 死ぬ前に一人娘の孫の顏を見たい」


「もう40です…諦めています」

 父はミスティの顏を触って、

「こんなきれいな顏で生まれたのにな…」


「ええ…両親に似た、とてもいい顏です」







 ミスティは、自分の屋敷に帰った。

 旦那のいつもの靴が無い…


「浮気…か…」


 メイドが来て、

「ミスティ様おつかれまです。旦那様は、宴席に呼ばれていたそうで…お出かけに…」

 ミスティは靴を脱ぎ、メイドに笑顔で、

「あの人は忙しいから」

 メイドは目を逸らしながら、

「あのお食事は?」


「父上の家で食べてきました」


 メイドは手に持っていた封筒を出し、


「ミスティ様宛の手紙が来ています」


「ありがとう。ワタシはもう眠る、あなたも休みなさい」


「はい」


 部屋に入り、化粧机の前で座り、化粧を落とした後に、前に置いていた封筒を手に取り、


「差出人…ラドン…? だれ? 住所は…ならず者国家のルーベラ?」


 開けて、中の手紙を読む。


 最初の一文、

『 最後の維持よ さようなら 』

 見た瞬間… ミスティの脳が熱くなる…

「スフィア!!」

 と思わず声をあげた。


 鏡ですっぴんの自分の顏を見て、

「あれから21年…スフィア…今、36歳? きっとスフィアも目尻にシワができてるんでしょうね…」

 覚悟を決めて、続きを読む。


『 母国レナが農地の氾濫、鉱山の銀が尽き、酷い財政難なのは知ってるし、ミスティの父が現在の財務大臣なのも知っている。』


「うんうん、師匠(スフィア)…その通りです」


『 不老長寿の聖水アークを、アナ帝国に売れ 3000億金だ アナはおそらく1000億までなら手を出す。レナと逆にアナ帝国の経済が傾くだろうけどね この案を父に持ち掛け、実行しろ ミスティならできる 必ずやれ 』


「分かった…1000億金もあれば…色々できる」


『アナ帝国の男爵に名前は出せないが ワタシの内通者がいる。 アナ帝国は聖水の精製と研究を始めるだろう 内通者には、その課程をワタシに報告させる。 案ずるな 聖水アークが完成すれば このスフィアが必ず聖水アークを奪い取る そのためのチカラを得つつある 』


「さすが師匠…」


『 ミスティからの連絡は、この住所 ワタシの配下のラドンの借り家に遅れ 』


「はい!」


『 がんばれよ ミスティ またいつかレナの王都で乾杯しよう 』


 手紙は終わった…

 ミスティは、手紙の匂いを嗅ぐ…


「スフィア…」


 棚にある『笑う猫のラベル』のブドウ酒を見た…


「ちゃんと用意しているわ…21年前にね…」


 ペンをとり、今一番の想いを手紙に綴る…


『 スフィア だいすきです 』


 しばらく、じっと唇を噛んで見た後に、

 手紙をグシャグシャにして、隅に置き、


『了解しました レナの聖騎士ミスティはスフィアの伝えられた通りに動きます』


 書き終えると…


 ロウソクを消し、月明かりが照らす枕元に、スフィアからの手紙を置き…

 横になる…


 また匂いを嗅ぎ…




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ