82話 ースフィア編ー 登龍門 4
ならず者国家初代聖騎士決定トーナメント…
予選落ちした武闘どもはぞろぞろと登龍門広場の隅に行く。
すぐに、
6人の武闘が歩んでくる
鉄仮面グルギュラに…
世界最強と呼ばれるラドンもくる…
穴の開いた箱を持った老人が、
「シードのラドンは1、鉄仮面は8が決まっておる…残りの者はこれを引いてくれ…」
すぐにワタシに箱を突き出し、
「まずはお前からだ」
箱に手を入れ…紙を選ぶ…一番奥にある紙を引くと…
「あ? 2だ?」
老人は笑って、
「運の悪い女よ…いきなり登龍門最強のラドンとはな?」
次に老人は、Z(聖騎士アヤ)に箱を出して、Zはそれに手を入れすぐに引き、
「3ね」
強そうな武闘はそれぞれ引く…
組み合わせが決まる
1 ラドン
2 DOG
3 Z
4 ペゲーロ
5 ヒルマン
6 ヒギンス
7 アレクサンダー
8 鉄仮面
「決まりじゃ! ラドンとドッグ以外は脇へ行け!」
皆が去る中、グルギュラは残って、ワタシに、
「スフィア? ラドンには気をつけろ…」
「見れば分かる」
「奴は…聖騎士なんかに興味は無い…殺されるな…」
「お前はラドンと戦った事あるのか?」
「ない」
「なぜ?」
「俺じゃ勝てないからな100パーセント」
「情けないなあ」
「でもなスフィアなら勝てる…あのハルゴ砦の戦いを思い出せ」
カッコつけて去る… 裏切ったくせに…
ラドンを見る…
笑っている…
近づき… 顔を見上げ、
「ラドン、殺し合いで行くか? お互い無傷疲労無しの状態だからこそ」
ピクッと反応した。
「俺と殺し合いだと? 右目と右足が不具のお前が?」
「お前も聖騎士に興味は無いんだろ? 本気で戦いたい」
「聖騎士? つまらない…俺が求めるの闘争」
「ワタシも一緒だ」
ワタシは右手を突き出す。
呼応するように、ラドンもそれに応え握手する。
周りの武闘から、
「おおう、握手かよ」
「平和だね」
「なんか違うよね」
伝わってくる…二人の動力源…闘争心が…
真剣勝負の約束の握手…
手を離すと、目印のある場所までお互いに下がる…
ラドンが、
「おい! アレを持て!」
弟子と思われる若い者が槍を持ってきた。
槍の先はクネクネとした刃。
周りの武闘が、
「蛇矛!! なんで!!」
「殺し合い無しでしょ!!」
「どういう事!?」
ラドンは蛇矛を手に取り、
「ドッグ? お前は丸腰でいいのか? 知り合いの鉄仮面に武器を借りるがよい」
「ワタシの武器は…」
胸に手を当てる。
「この体だ」
「その不具の体か…? 素晴らしい…クスクス」
《 開始!!》
来る!! 速い!!
だが軌道は分かる!!
避ける! 間一髪!
こんなものか!? ラドン!!
瞬時にヤツの急所後頭部に全力の右の裏拳!!
カーーーーーン!
痛ーー! なんだよ! これ!!
「うぐぐ…」
強すぎる勢いゆえに…ワタシの右の拳が…砕けた…
コイツ…鋼の様な顏してたが…
すぐに距離を取る…
くう…いてぇ…
奴はコッチを振り返り、
「殺し合いとはな…俺と…」
蛇矛を向け、
「生まれた時から自分の意志で鍛えている…身体中を…唯一鍛えられない睾丸には鉄を囲っているし…」
己の目を指差し、
「目も堅い…視力は大分落ちたが…」
次に喉を指差し、
「喉も鉄板のごとし、毎度、水が通りにくいが…」
グルギュラめ… 教えとけよ…
周りの武闘から、
「ドッグのヤツ! 右手いったぞ!」
「ラドンて噂じゃ! 剛腕の男が斧を頭に振り落としても傷一つつかないらしいぜ!!」
「噂じゃ矢が目に当たっても、矢が折れたって!」
早く言えよ… くそ…
ラドンは近づきながら、
「ドッグは速いからな…もう決めにかかるぞ…おい!!」
「は!」
弟子数人が無造作にどんどん武器を投げる。
剣、斧、槍、小刀、鋭利な鉄
無数の武器が二人の周りに落ちた。
「使って構わんぞ」
「いいって、お前、堅いし」
また速いの来た!
でも軌道は分かる!
避けた!
しかし! すぐさまラドンは蛇矛を捨て!
落ちていた斧を瞬時に取り、振り返り攻撃!
ギリギリ避けるが! また斧を捨て! 瞬時に剣を掴み!
読めない! 速い!
喰らう!!
「グッ!」
腹が切れた…
まだ来る!! ラドンの弟子達はまだ武器を投げ続ける!!
様々な武器での連撃コンビネーション…
避けるのが精一杯…せめて右目が万全なら…
しかしラドン… 強い… 強すぎる…
落ちている全ての武器を完全に使いこなす技量…
その動き…
美しい…
いいよ…
付き合ってやる…
どれくらい経った? 1時間?
体は傷だらけ… 来ている白のワンピースは切られまくって血染め状態…
だけど… まだまだ動ける…
息を切らしだしたラドンは…
「はぁ…はぁ…バカな…」
やっと…動きが止まった。
「どうしたラドン? 攻める方が疲れるもんな?」
「くっ…」
「合気を知っているか?」
「知っているが…それがどうした?」
「奥義『空』を見せてやる…」
「空? なにを言う? あれは実在しない奥義と聞く…この星に選ばれた者のみしか…まさか?」
ワタシは右膝を指差し、
「ワタシの膝は昔、拷問で砕かれ本来なら動かない…痛みは常にあるが」
クイクイっと動かし、
「コレはどういう事だと思う?」
「それが空というのか!?」
「いくぞ…」
そよ風のように空気のように寄る… 徐々に速く…
間合いに入る…
堅いから、ラドンは受けを覚悟した…
でもね…足一本でいいんだよ…
足を取り倒す… 足首を…捻る…
「ぎゅうう…ぐううう!!」
うつ伏せになって足首を捻られるラドンは苦悶の声をあげる
でも離さない… 勝負は決まったけど…
捻ったまま…反り返り、ラドンをエビぞりにさせた…
このまま背骨を折る。
「ぐぐう…こっころせ…ころせ!!」
前にいた‥ラドンの弟子の顏が見えた…
脳裏にハルゴ砦で戦った『バルバトス』を思い出し…
手を放す…
うつぶせのままラドン…
「殺し合いじゃなかったのか!?」
ワタシはラドンを見下ろし、
「殺す価値も無かった…」
去る。




