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78話 ースフィア編ー 聖騎士黄金世代



 2か月後の夜…

 

 焼いた魚を食べ終えた後に、また吐き気がした…月経も来ない…




 10か月後の朝… 水車小屋… 



「がんばるんじゃスフィア!」

 アモンの手が、子をゆっくり引く…2回目だから…手際いいな…?

 雷神の時は難産だったが…ちゃんと生まれた…

 アモンが湯で子の体を洗った後に手渡してきた…

 「おぎゃ!! おぎゃ!!」

 母のワタシが泣く子を抱きしめると、すぐに泣き止む…

 

「甘えん坊か? うん?」

「う~う~」

「ふふ…」


 あの人の子を産めたことが…なんというか‥

 

 感慨に浸っていると、アモンがドヤ顔で…

「名前は、雷神の弟だから『風神』ってのはどうじゃ?」


 目を瞑る無垢な赤子を見て、決めてた名前を言う。

「シトリー」


「シトリーか… それにしてもスフィアの子は皆、髪が白いんじゃな? スフィアは黒なのに?」


「金も白もたまにいるだろ? アナ帝国では赤い髪の女が生まれたらしいけどな?」


「赤い髪の女じゃと?」


「毛も生えてこないアモンには無縁の話だけどね」


 6歳になった雷神が小屋に入って来た。

「スフィア…生まれたの?」

 子を抱き床で座るワタシは、雷神を見つめ、

「ああ、男の子だ。名前はシトリーだ」

 雷神は子に顏を近づけ、

「うわあぁ小さい…」

「抱いてみるか?」

「え? うっうん」


 雷神は慎重に子を持って、顔を近づけ、

「シトリー…オレは雷神だよ…」

 すぐに、慎重にワタシに返すと、

「修行してくる!」

 急いで雷神は外に出た。


 ワタシは走る雷神の後ろ姿を見て、

「シトリーが出来て、やる気になったみたいだな…」

 アモンは、「うーん」っという顏の後に、

「スフィア革命…もう止めたら?」


「はあ?」


「子が二人…いや…シトリーも生まれたことだし、(きん)もたくさんあるし…普通の人生を過ごすのもありじゃと思うんじゃ…お前はまだ24歳じゃ…」


 ワタシはシトリーを横に優しく置いた後に、立ち上がり、

「アモン…もう一度言ってみろ…」


「子を…あまり…お前の闘争に巻き込むな…」


 ずっとイエスマンだったアモンが反抗してきた…

 相当の覚悟を持って喋っているんだな…


 ワタシはアモンの胸ぐらを掴みクイーっと持ち上げ、

「分かった…腹を割って話そう…」


「うっうん、とっところで産後すぐに、俺をこんなに持ち上げて大丈夫なのか…?」


「問題ない」



 水車小屋で話した。 ワタシは胸の内を明かす…


 私情での革命では無い。

 それに、ワタシは決して人間を滅ぼす気などない。

 生きるべき人間を選別し、我々が人間を管理するのだ。

 幸せだと? 格差や戦争で奪われる幸せがある限り、

 ワタシは戦う。どんな我慢もする。

 これは出来ればだけど、戦って死にたい、燃え尽きて死にたい。

 いずれは死ぬんだから。





 それから…


 長い時が流れる…



 12年後… (スフィア35歳 アモン7??歳 雷神18歳 シトリー11歳)


 山の切株に座り、手鏡を見る…

 え? 目尻にシワ…? 朝あった?


 修行中の巨体になった雷神は、巨大なハルバートでスパンスパンと巨木を切り刻んでいる。

 雷神の大きさは4メートル、だがパワーは物足りない。

 速さは悪くない及第点だ。 問題はスタミナか?

 まだまだしごきまくって、もっともっと鍛えねば…


 離れた所で、アモンがシトリーに剣の指導をしている。

「こりゃあ!! なんど言ったら分かる!! こうじゃって!」


「うん! こう!?」


「違う! …はぁ…ほぁ~…なんか疲れた…」


 どうやら…シトリーは大器晩成か…な…?

 あのミスティでも、数か月で、そこそこ強くなったしね…


 


 昼過ぎに、一人馬に乗り都市ルーベラに買い物に行った。

 酒に、アモンのタバコに…お?イチゴだ?シトリーに食べさてやろうっと♪


 その時、


《 世界最強!登龍門にて!! 史上最強決定トーナメント開催だぞ!! 》


 十字路の中央に、屈強なデカい上半身裸の男がそう吠えた。


 その言葉に、興味を持った街人達が群がる。

 ワタシも近づき、腕を組む。


「腕に自信のある者! 3日後に登龍門に来い!! オープン参加は予選を行い、勝ち残ればトーナメントに参加できる!!」


 街人のオジサンが、

「なにが史上最強なんじゃね?」


《トーナメント優勝者には! ならず者国家初の聖騎士の称号が与えられる!!》


老人「おう~ついに、この国にも聖騎士が~」

商人「今までなかったもんね~」

デカい若者「誰が出るんだ?」


《 登龍門最強の男…》


デカい若者「ベン髪のラドン?」


《ああ、そうだ》


デカい若者「やっぱり出るんだ? 死にいくようなもんだ…やめた」


《安心しろ! 今回のトーナメントは殺戮禁止!》


デカい若者「腕に自信あるし、ワンチャン行ってみっか…もしかしてラドンとぶつからない可能性もあるしな…」


《 そして! 登龍門2位の男! 鉄仮面!》


オジサン 「鉄仮面も出るのか~ワシはやめとこう…」


《さらに!! 新聖騎士の後見人として! 世界の聖騎士序列一位アナの聖騎士『ググ』と…それにスペシャルゲスト聖騎士黄金世代の~~…『Ⅹ(エックス)』と! 東洋の神秘『アヤ』の二人が来るぞ!! サイン貰えるかもしれんな~~》


 周りが騒ぎ出す。


オジサン「Ⅹとアヤの聖騎士黄金世代の二人が!! 」

デカい若者「聖騎士黄金世代…Ⅹ、サラ、グラディウス、クーフォリア、アヤのうちの二人か~すごいな…」


 ワタシはデカい若者に聞く、

「聖騎士黄金世代ってなんだ?」

「しらねえのか? 聖騎士史上最強の世代って事だ。 怒髪天も健在だし、今は間違いなく聖騎士最強の時代だけどな」

「世界の聖騎士序列二位は怒髪天のまま?」

「ちがう! Ⅹが越えた! 今はⅩが最強の聖騎士!」


 その言葉に衝撃が走る…


「ばかな…アレより強い人間など…どんな男だ! Ⅹとは!?」

「凄い強い…らしいけど…詳しい事は…」

 ワタシはデカい若者を睨みつけ、

 「ちっ」

 舌打ちした。



 イチゴを買って帰った。


 その夜…


 雷神とシトリーは眠った後で、アモンと焚火を見つめる。


「帰って来た時に言っただろ? 登龍門のトーナメントに出てみようと思う」


「お前が? 簡単に優勝じゃろう?」


「分からない…実戦的に戦うのは…もう20年ぶりだ」


「そんなに経つのか…合気の『空』を極めておるお前なら大丈夫じゃて」


「革命の時のために…そろそろ、鈍ってた感覚を戻さないとダメだしな、いずれ戦うであろう聖騎士黄金世代っていう奴らも気になるし…」



 今は間違いなく聖騎士最強の時代か…?


 おもしろい。



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