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61話 -スフィア編ー ガントレット



 バァアン!!!


 近くに雷が落ちた時、スフィアと刃を交えた、ドトールの剣闘士ゴメスは…ロングソードを見て、

「俺の剣の方が先に出たはず?」


 ガクッと膝を落としたゴメスはロングソードを構えたが

「くっ…」

 腹は深く切られ、口からは血が滴り落ちる


 10頭で引っ張る馬車が近づいて来た

 荷台から黒サラシ女が、

「ゴメスさん!? 大丈夫!?」

 ゴメスは黒サラシ女を見上げ、

「なに?」


「負けたからって、なにも恥ずかしがる事じゃない! あの女一人で、この場所にいるだけあって腕に相当自信があるし、ゴメスさんより強いって事!」


「おっお前に言っておっおく…そんなレベルじゃない…」


 ゴメスは最後の力で、

「バルバトス!!!」


 荷台の剣闘士達は、一番後ろで片膝を曲げ、片足を伸ばし座る黒色のニッド帽の男に一点集中…その両手には『ガントレット』 歳は30歳くらい。


 黒サラシ女、再びゴメスに、

「おいおいゴメスさん!? いきなり王者を呼ぶか!?」


 人顔皮被りも

「ゴメスさん、バルバトスて、え?」


 人顔皮被りの肩をバルバトスはガントレットの右手で「ポン」と叩き

「どけ」


「おっ、おう」


 バルバトス、チラッとスフィアを見た後、腹から血が流れる深手のゴメスに問いかけた。


「強いのか?」


「強い…」


「わかった、安らかに眠ってくれ」


 ゴメスはバルバトスから、スフィアを見て、

「ふっ」

 と、一つ笑い、力尽き倒れた。



 その時、


 31番隊がぞろぞろと山を下りて来た。グルギュラはスフィアに、

「スフィア!! 待たせたな!」


 スフィアは31番隊に、

「コイツラはドトールの剣闘士達! 一気にカタをつけるぞ!」


 31番隊はスフィアに走り寄る、

 ドトール剣闘士の黒サラシ女、

「ちっ、フレデリクスの先方隊が来るまでに敵兵を殺せ!! ドトールの剣闘士の恐ろしさを分からせてやれ!!」


 ドトールの剣闘士は一斉に荷台から飛び降り、31番隊に走りかかる!

 調度、その頃、ハルゴ砦の先方隊600人も集まり始めた!

 

 レナの兵達と、ドトールの剣闘士はぶつかり合う!


 カーーン  カーーーン  カーーン カーーン


 激しい衝突の最中…


 ステラジアンを持つスフィア、黒サラシ女と向き合う局面。

 黒サラシ女は、

 「死ね!!」

 剣を振り落とす。

 対照的に、スフィアは下から剣を振り上げた!


 速さで圧倒、

「えっぇぇぇぇでぇ」

 黒サラシ女は股間から下腹部まで切られた。

「ぐううぇぇぇ…」


 すぐさまスフィアに太ったモヒカンが大きなハンマーを振り落とすが、

 ハンマーが地に落ち泥しぶきが上がった時、足をくぐり避けたスフィアのステラジアンに右足首を切断され、

「あっ足が!!」

倒れる。


 次、人顔皮被りが、大きなノコギリを振り上げた時、前に立つスフィアはステラジアンを目で追えない速さ、


シュシュシュ


「ええええ?」


 人顔皮被りのノコギリは、掴んだまま両手と共にボトンと落ち、ダルマ落としのように両膝から下が切り離された。


 その時、スフィアの背後には忍者のように顔を隠す男が、気配を消した横切り!!


 スフィアその一撃を、

 ガチッ

 右手に持ったステラジアンの刃を下に向け止める、そこに揺れや戸惑いもない。


 背後の忍者男は、後ろを向き、自分を見つめてくるスフィアに、

「バケモンか?」

「スフィアだよ」


 ビュン


 ステラジアンは忍者男の両目を切った。忍者男は四つん這いの姿勢になり両手で両目を抑えた。 その後ろには、手には血まみれの『ガントレット』に、黒色のニッド帽が見え、


「趣味の悪い女だな、スフィアさんは」

 バルバトスがいた。



 バルバトスは、

「他の剣闘士は、レナの兵とやりあってる」

 周りの戦闘不能の剣闘士を見渡し

「しかしアナの兵の恐怖心を煽るために、こんな惨い事をするとは…ドトールの剣闘士より残忍だ」


 スフィアはガントレットを見て、

「バルバトス? ドトール闘技場の王者か?」


 バルバトスは『ガントレット』を構え、臨戦態勢に、

「そろそろ、アナの兵が来る、その前にお前を倒す」


 スフィアはステラジアンを構え、


「いくぞ!!」


 バルバトスにかかる!



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