54話 -スフィア編ー ミスティとグルギュラ
見張り兵に食事を届け終えたスフィアは、食堂で晩御飯を食べ終えた。
「ごちそうさまでした!」
イスから立つと、ぞろぞろと坊主頭の全員10代「31番隊」9人が来た。
先頭の隊長のグルギュラが、
「おいスフィア、食い終わったか? 一緒にカードゲームしようぜ」
スフィアはグルギュラの顔を真顔で見て、
「カードゲームだと?」
グルギュラはトランプを突き出して、
「へへへ、たっぷりと懲らしめてやるぜ~」
笑うグルギュラの手から、スフィアは素早くトランプを奪い取った。
怒ったグルギュラは、
「スフィア! なにしやがる!?」
「隊長、そんな事をしている場合か?」
「なんだと?」
「指揮官が呼んでいたぞ、早く行け」
聞いた31番隊の顔は焦りを表した。 グルギュラは驚いた顔で、
「お、俺を指揮官が? なんで?」
「しらん。 ワタシは女子宿舎で寝る、おやすみ」
スフィアはトランプを持ったまま去って行った。
31番隊は隊長グルギュラに、
「隊長? もしかして逃亡計画がばれたのかも」
「俺達は誰にも言ってないですよ!」
グルギュラはタバコに火をつけ吹かし、
「ちっ、どっちみち行くしかねえ」
グルギュラは覚悟を決めて、司令官室へ向かった。
指揮官室の扉の前…『ミスティの部屋 入る前にはノックして』をジーと見て、一つ深呼吸をしてノックした。
「どうぞ!」
と聞こえたので、また一つ深呼吸をした後に、
「失礼します!」
扉を開けた。
入ると、椅子に座ったミスティが居た。ミスティはグルギュラを見て笑顔で、
「31番隊のグルギュラ隊長ですね?」
グルギュラは直立し、
「はい!」
ミスティは直立しているグルギュラに、
「楽にしていいですよ? 今夜からワタシとあなたは兄弟弟子になるんですから」
「は?」
ミスティは自分の座っていた椅子をグルギュラの前に置き、
「立ってないで、座りなさんな」
「いや、しかし」
結局「さあさあ」と強引に、グルギュラは座らされた。
ミスティはベッドに座り、
「師匠とは仲がいいのですか?」
グルギュラは緊張しながら少し考え、
「誰ですか?」
「スフィアですよ」
「え?」
その時、ノックの音が、ミスティが、
「師匠が来たみたいですね」
その言葉通り、スフィアが部屋に入ってきた。
スフィアはグルギュラを見て、
「グルギュラ、今夜からお前を鍛えるぞ」
グルギュラは立ち上がり、
「どういう事だ?」
すかさずミスティが、グルギュラの肩をポンと触って、真剣な眼差しでグルギュラを見つめながら、
「説明します。 つまり、ワタシとグルギュラ隊長はスフィアの弟子という事なのです」
グルギュラは見つめ返し、
「それの訳が分からないから、スフィアに聞いているんですが」
「説明は後だ」
スフィアはベッドに座り腕と足を組み、
「アナ帝国の主力軍勢40万とビジャの3000の兵、数が多すぎる故に兵糧、物資を用意するのに相当な時間がかかる」
ミスティは真剣な表情で、
「そうなるでしょうね、私の計算だと2年以上はかかるはずよ」
スフィアは顎に手をやり、
「総指揮官である皇太子アーネストのミスと言っていいだろうな。 ワタシなら小分けして攻める、敵に手をうたす時間を与えないためだ。 戦で時間ほど貴重なモノはない」
ミスティはスフィアをまねたように顎に手をやり、
「一日24時間しかないもんね…たしか」
スフィアはミスティを見つめ、
「ワタシの計算だとアナの軍勢が来るのに半年はかかるぞ、それまでによく滑る油を用意し、深い掘りを作っておけ」
ミスティはニヤっと笑い。
「なるほど、そうきましたか…」
スフィアはグルギュラをジロっと見た後、さっき奪い取った、トランプをミスティに見せて、
「ミスティ、さっきカードゲームで遊んでいる兵もいたぞ? そんな暇があれば矢を作らせろ、一人一日一本でも大量の矢が作れる」
グルギュラは気まずそうにミスティをチラッと見て、
「おっほん」
ミスティはスフィアに軽く頭を下げ
「了解、明日から早速、指示を出します」
スフィアはストレッチ運動を始めながら、
「では、これから特訓をはじめるぞ」




