51話 「鷹」のシトリー
ラシュラ国の城壁前…
己の背丈ほどのハルバートを持つ、高さ4メートルの巨漢の雷神。
その短い髪とアゴ髭は白、目は深い掘りでよく見えない。
周りには数千の死体の中、最後に生き残った、槍を持つ若い兵士が一人。
「雷神! 死ね!」
兵士は雷神に決死で特攻の突きを!
その極一瞬、兵士は存在も確認できなくなった。
城壁の上には雷神の闘いを見終えた
白フード服の雷神のペットの「犬」「蛇」と…
白のマントが良く似合う、背も高く美しい白色の長髪の美男子「鷹」のシトリー
シトリーは、僅か5分持たずに壊滅したラシュラの軍の死骸を見て、
「なにあれ? やっぱり、人間ってよっわ…本当に虫ケラだな」
スフィアはシトリーに大声で、
「シトリー!」
シトリーはビクッと、
「はい!」
スフィアは腕を組んだままシトリーを睨みつけ、
「人を侮るな!」
シトリーはおどおどと、
「ごめんなさい…母さん」
親子のやりとりを腕を組みながら見ていた「蛇」のラドンは、
「クスクス」
と下を向き静かに笑った。
スフィアは全滅した、ラシュラの軍を一望して、
「死を恐れぬラシュラの兵、見事な戦いぶりだった」
ラドンも、
「スフィア様まったくです。間違いなくラシュラの兵達も聖騎士ズイも強かったが…相手は雷神」
ラドンは足元に置いていたラシュラの王の首の髪を摑み拾い、
「スフィア様、行きましょう」
雷神の3体のペットは雷神の元へ…
ラシュラの兵の死骸の中で立ち尽くす雷神は、少し遠くに、キラキラと輝く聖剣が落ちているのに気付き、
「聖騎士も混ざっていたか」
そう呟いた時に、ペット3体が来た。
ラドンとシトリーは雷神にひざまずき、頭を下げたままラドンはラシュラの王の「首」を置き、
「城内は片付きました」
雷神は無言で「首」を見ていた。
するとスフィアが、雷神の腰の辺りをポンと優しく叩き、
「次はヤン国、行きましょう」
と歩みを始めると、雷神もスフィアの後を…
ラドン、シトリーも、雷神に同調するように歩み始める。
しかし、すぐスフィアは思い出したように歩みを止め、巨体の雷神の顔を見上げ話しかけた。
「次のヤン国の聖騎士紫龍はシトリーの実戦経験にする」
雷神は、
「鷹の実戦だと…?」
とシトリーを見た後、スフィアを見下ろし無言で頷いた。
スフィアと雷神は歩み始めた。
ラドンはシトリーに、
「紫龍に負けるなよ」
とシトリーの肩をガンっと強く叩いた後、クスクスと笑い。
「危ないと思ったらオレに助けを求めろ」
ラドンは先に歩んだ。
一人残されたシトリーは、叩かれた肩を触りながら、
「痛~っ、あのオッサン嫌い…俺が人間に負ける訳ないだろっての」
シトリー腰に付けてた鞘から剣を抜き、剣の刃を見つめながら、
「俺にはこの前、母さんから譲り受けた、この『ステラジアン』がある。 今日もコレで30人以上も駆除したからな」
シュっシュっと剣を振り、
「やっぱりコレ最高だな」
シトリーは『ステラジアン』を鞘に戻し、仲間を追った。




