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50話 アナの皇帝アーネスト



 1月後…



 アナ帝国帝都城の一室に国トップの三人、


 皇帝アーネスト

 左大臣フレデリクス

 聖騎士ググ



 初老の立派なシロヒゲの左大臣フレデリクスはググを見て、

「聖水アークの件で話とな?」


 聖騎士ググはニヤっとした後、

「ええ、陛下に左大臣、吉報です」


 皇帝はしずかに…


「できたのか? 飲んで死なない不老長寿の水が?」



 聖騎士ググはまたニヤリっと笑い、

「さすが陛下、ご明察」



 左大臣フレデリクスは立ち上がり、

「でかしたぞ! ググ!」

 と大声を上げた。



 聖騎士ググは左大臣の方を向き、

「左大臣、国家予算で世界中から優秀な人材を集め、長い年月をかけ「聖水アーク」は確かに出来ましたが…研究に量が減り過ぎました」


 左大臣フレデリクスは心配そうに、

「それで? それで?」


 聖騎士ググは申し訳なさそうに、

「コレは陛下にとって大切なご決断を委ねることになりますが…現在の聖水アークの量は一人分です。 それを陛下がお飲みになるか? 更なる研究に賭け複製増水の図るか? しくじれば終わりですが…」


 左大臣フレデリクスはすぐさま、

「陛下! お飲みくだされ!」


 皇帝は左大臣フレデリクスを無表情で見た後に、聖騎士ググを見つめ、

「お前はどう思うググ?」


 聖騎士ググはニヤっと笑みを見せた後に頭を下げ、

「もちろん左大臣と同じ考えでございます…」



 左大臣フレデリクスは聖騎士ググに、

「ところでググよ、聖水が出来たなら不老長寿になった人間がおるんだよな?」


「はい一人、もちろん陛下と近い日に生まれ、陛下と酷似した体の男を選んでいます」


「運のいい男よの~」


 聖騎士ググは皮肉な笑みを浮かべながら、

「いえいえ、複製増水の実験にそのモルモットも使うかもしれませんので、しかと牢に閉じ込めておいてます…フフ、ワタシはああはなりたくないですね」


 左大臣フレデリクスはパイプを咥え、

「ふ~ それじゃ運のいいか悪いかわからんな」


 聖騎士ググは思い出すように皇帝を見た後に慌てながら、

「あ? 成功被験者は一応健康体ですよ! 陛下! ご安心を!」



「ググは本当にくだらん、フレデリクスまでどうした?」



 そう言うと、皇帝はおもむろに立ち上がり、窓の外の帝都の街を覗き、


「お前たちは二人は、俺が長生きしたいがためにアナ帝国を傾けるほどの金で、隣国レナから聖水アークを買ったと思っていたのか? そのためにアナの民を苦しめてきたと思っていたのか?」


 皇帝が聖騎士ググと左大臣の方を向いた、その威圧感に二人はただ沈黙し…

 しばしの静寂の中…皇帝の口から、


「ググ…教えてやろう」


 聖騎士ググは沈黙を解き、

「は!」


「この星には元から国など無く、アナの民しかいなかった。 そのアナの全ての民に神と称えられ統率していたのが俺の遥か昔の先祖。 だが、この星は広い…あちこちで、飢え差別での反乱、新たに生まれてくる別思想・・それにより、このアナ帝国の愚かな初代皇帝は封建制度をしいてしまい…それからの永い年月で現在の国々に分かれてしまう。 とくに隣国レナは聖水アークを封建創成期に巧みに盗み出し、それを自国の宝のように扱った。 過去に幾度も前皇帝達が、聖水奪還のために幾度も隣国レナに攻めこんでいるがいずれも成せず。 『28年前』

後一歩まで追い込んだ事もあったが、あの『ハルゴ砦の奇跡』があり、制圧を成せなかった… そしてレナは聖水アークに1000億金も吹っ掛けた…新しい世界にレナだけは不必要」


 皇帝は窓を開け…


「この空の下に国はいらない全てはアナの民…この星の全てをアナの民に戻す…聖水アークが出来ればそれを成せる」

 聖騎士ググを睨みつけ、

「複製をしろ…言っておくが失敗すれば、くすぶってるお前の罪状はたくさんある」


 聖騎士ググは慌てて頭を下げ、

「は!」


 聖騎士ググはもう一度、深く頭を下げ、

「では! 失礼いたします!」

 去ろうとした、


 その時、


「失礼いたします」と報告係が来た。



 左大臣フレデリクスが、

「どうした?」

 と言うと、報告係は…

「ジェレミロイル国が壊滅いたしました。王は国外逃亡、聖騎士エリオット率いた全軍3万全滅、聖騎士エリオット討死。生存した兵の目撃情報によりますとたった一人の男に」



 左大臣フレデリクスは皇帝を不安げに見つめ、

「おそらく雷神…」



 皇帝は無表情のまま

「スフィアが動きだしたか…」




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