43話 ドトール女子刑務所
2週間後…
ドトールの酒場ソールドアウトには…元革命隊のスキンヘッド・黒人・ロメロ・ソールドアウトら重鎮達と店の手伝いのクミの姿があった。
スキンヘッドが報告する。
「ブロディさんは懲役9年、メロディさんは死刑という事だ…残念だが解散って事だ」
クミは残念そうに、
「9年に死刑」
ソールドアウトも残念そうに、
「これでまたヒマな店に逆戻りか…」
放心状態のロメロは、
「メロディさんが死刑…そんな馬鹿な…なんでじゃ…どうしてじゃ…」
黒人はロメロに、
「ロメロ? ブロディさんも居なくなったし、オレとスキンヘッドは明日引っ越すわ」
ロメロは照れ臭そうに
「ん? 居てていいよ…」
スキンヘッドは意外な答えに驚くように、
「ロメロいいのか?」
ロメロはブドウ酒の入ったグラスを見つめながら、
「広い屋敷で一人ぼっちは寂しいし…なんかメロディさんブロディさん…また帰ってきそうな気がするんじゃ…脱獄とかして」
スキンヘッドは黒人と目を合わせた後、
「そっ、そうだな…脱獄するかもしれないな」
それから2週間後…
メロディとブロディを乗せた荷馬車がドトールの海崖沿いを進んでいた…
周りには警備兵が6名。
馬車の室内には足枷手枷を付けられたメロディとブロディの姿があった。
黒い口隠しを巻いたメロディは、
「これ、ありがとうなブロディ、こんなの革命隊に頼んでいたんだな」
「礼はいいよ、黒は汚れが目立たないし大人っぽくていいだろ?」
メロデイは笑って、
「パンツみたいだな」
「はははは」っと二人はわらった。
メロデイは、ペコリと頭を下げて、
「ブロディごめん…お前まで刑務所に」
「気にするなワタシは9年で出られる…ルマンドの知り合いが尽力して9年で済んだ」
「ごめんな」
「そんな事より、刑務所に着いたら脱獄する方法を考えるぞ」
その時、馬車が止まり、
「ついたぞ!」
メロディ、ブロディが馬車から降りると、そこは途方もなく高い海沿いの崖際で、近くには刑務官の詰所や倉庫の建物がある。
メロディは崖を見下ろし、
「これが? ドトール刑務所?」
ブロディも崖を見下ろし、
「愚かな前皇帝が考案し建てられた…崖の中に造った刑務所」
「さらば」
と警備兵達は去って行った。
メロデイ、ブロディの前に40代の刑務官の男が一人立っていた。
「俺がドトール刑務所の統括責任者アブラックだ」
メロデイ・ブロディはペコリと頭を下げて、
「よろしく」
「うむ、まずはこの刑務所の説明をしよう。 今この場所は海抜140メートルにある」
アブラックは近くの人力 リフトを指さし、
「囚人はアレに乗り、20メートル下のドトール刑務所に降りる。メロデイは二度と上がる事は無いが、ブロディは9年後に再びアレで上がり出所だ」
アブラックは遠くの西の人力リフトを指さし、
「アッチは男の刑務所だ。女囚は運がよく風が当たりずらいから良かったな? ここの浜風は強烈でな。 ただでさえ潮風強風がストレスになる上、冬は地獄と化すからな」
メロディはブロディを見て、
「女で良かったね」
「良かったな」
アブラックは崖の間際に立ち、
「こっちに来て、下を見てみろ」
メロディ、ブロディは下を見た。
アブラックは崖の真下にある建物を指さし、
「あれが囚人の居住スペース二階建てだ。 刑務官は下に降りる事は無い。食料や水などは建物横のネットに投げ落とす」
メロディは興味深そうに、
「ゴミは?」
アブラックは誇らしげに、
「それがこのドトール刑務所の素晴らしい所よ。 海側一面に見える海へ放棄、まさにエコロジーよ」
ブロディはイヤな顔で、
「まさか…トイレは?」
アブラックはまた自慢げに、ドトール刑務所の崖際にある、しょぼい一枚の幕でできた死角を指さし、
「あそこから120メートル下にエコロジーよ」
アブラックはメロディを見つめ、
「メロディの死刑も、崖から飛び降りるだけだ。 我々は死刑囚が飛ぶのをここから確認する。また死刑執行の日は一日前に大声で通告するからな」
メロディはアブラックを見つめ、
「飛ぶのがイヤだったら?」
「団体責任で食料と水の供給を途絶えるだけさ。 忠告しておくが、そこだけは本当にシビアだぞ。過去にこの刑務所で死刑の確認が取れなかったからかなり死んだ前例もあるからな、だから男も女の刑務所も仕切るボスの囚人が存在している」
ブロディはアブラックに聞いた…
「女のボスの名前は?」
「死刑囚 狂人ココ…知っているか?」
メロディとブロディは目を合わせた後で、
「しりません」
「帝都闘技場の元剣闘士の女だ。 20歳だったかな」
メロデイは興味深そうに、
「ワタシより年下なんだね」
「若いし小柄だが甘く見るな、ココはここに入所した初日に、前ボスを目潰して、かみ殺した狂犬の様な女だ…」
ブロディは驚いたように、
「刑務所の中で人を殺してもいいのか?」
アブラックは、しまったという顔をした後、
「おっほん、間違えた事故死だった。 言っておくが、刑務所に降りる事ない俺達は、事故死を上からは確認しようがないからな、病死も確認しない。 ただし死刑執行を言い渡されれば刑での死を確認するのが我々の仕事」
アブラックは手紙を一枚取り出し、ブロディに手渡した、
「コレはなんだ?」
「ルマンドからの餞別だ。お前はボスにこれを見せるがよい。 ブロディお前は運がいいな…おっと忘れるところだった」
アブラックはごっそりと、何かが入った布袋をまたブロディに渡し、
「タバコだ。 お前はそれがないとダメらしいからな、報酬をルマンドから貰い続ける限り、週に一回、酒と一緒に落としてやる。 さあ、そろそろ時間だ乗れ」
メロディとブロディは、人力リフトの上に誘われた。
アブラックは大声で、
「おろせ!!」
人力リフトを回す屈強な男二人は
「えっさ! ほいさ!」
慌ててメロディは
「アブラックさん! 手枷足枷は!?」
「降りたら上からカギを落とすから心配するな! それと! 構造上脱獄は不可能だからな!! 崖にはコケがべっとりだ!! 反り経つ上20メートルも真っ逆さま下120メートルも無理! 覚えておけよ!! 0.1パーセントの奇跡で下に落ちて生きていても強烈な波と海流で死体も上がらん! 上も不可能な上に、そこで24時間見張っている弓狙撃手に狙われて大怪我か死ぬからな!」
メロディ、ブロディの二人は脱獄不能のドトール刑務所へと降りた。




