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35話 フロシキの悲劇



 その夜…



 帝都の路地裏を、赤い髪が目立つのでフードを深くかぶり、大きな風呂敷を背負ったメロディの姿があった。


「道に迷ったぞ…」


 キョロキョロと周りを見渡して、

「アナの帝都、広すぎるよ」


 と不安げな表情をしていると、一人の下っ端の性悪そうなネズミの様な顔をした男の公安がスタタタっと来た!

「お前!! ドロボウか!?」


「あ? いえ、違いますから」


 久しぶりの手柄欲しさで必死なネズミ顔の公安は、

「なんだと? 怪しいぞ? この地区は帝都で特に盗みが多い場所だぞ?その袋の中を見せてみろい!!」

 強くいきがった。


「分かったよ…」

 メロディは渋々と風呂敷を開くと、たくさんの『✖』ラベルのブドウ酒が出てきた。

 それを見たネズミ顔の公安はわざとらしく、

「なんだいコリャ!? どこで盗んだんだー!?」


「いやいやドトールから持って来たんですよ…この安いブドウ酒はドトールでしか置いてないから」


「お前が!! 歩いてか!!?」


「声でかいな……はい、いえ走りました」


 ネズミ顔の公安は、ポンとメロディの肩を叩き、

「あとは帝都南公安支部で聞こうではないか…」


「なんでだよ?」


 ネズミ顔の公安は鉄の手枷を取り出し、その手枷の鎖を自分の胴体に繋げながら、

「80キロはあるぞ~コレを馬も使わずにドトールから運んで来ただと? さあ両手を出せ」


 メロディは腕を組んで拒否、

「いやだ、悪いことしてないからな」


 ネズミ顔の公安は呆れた顔で、

「いやいや、悪い事してないなら、公安支部でちゃんと釈明しろよ」


「ちゃんと釈明したら、介抱してくれるのか? 道も教えてくれるのか?」


「もちろんだ。ほら両手を出せ」


「分かったよ…」


 メロディは両手を出すと、カチンと手枷をつけられた、

 ネズミ顔の公安は、どこか誇らしげな優しい顔でメロディを見つめて、

「よし、それでいい…もうその手枷は外せない、鎖が俺の胴体と繋がっているからな。心配するな公安支部にあるカギで外せるからな。 大声で喋ってすまんな…お前の名は?」


「メロディ」


「フードを外させてもらうよ」


 ネズミ顔の公安がメロディの顔を隠すフードを外すと、

「赤い髪? もしかしてドトールの赤い髪?」



 その時…

 スキンヘッドと黒人が走ってきた。


 スキンヘッドは息を切らしながら、

「リーダー! はぁはぁ…探しましたよ!」

 黒人も息を切らしながら、

「大きい声がしたんで、ハアハア…ココに来たんです。見つけて良かった」


 メロディは久しぶりの幹部にニコニコと、

「道に迷ってた、向かいに来てくれてありがとう」


 スキンヘッドが、

「いやね、宿で飲んでたんですけど、ブロディさんがやけに遅いから探しに行くぞっと」


「ブロディも向かいに来るのか?」


「はい、でも大分、酔ってるんで来るのが遅いんです」


 メロディは近づいて来る新たな人影を見て、

「あ、ブロディ来たな」


 酒瓶を持ち、タバコを吹かすブロディが現れ、

「おう! メロディ! のむぞのむぞ! …あああンダ?んだこれは?」

 メロディの手枷に気づいた。

「何があったメロディ…!?」

 ブロディが、メロディの手枷に繋がれた鎖を引っ張ると、闇に乗じて隅で静かに隠れていた、ネズミ顔の公安が姿を露わにした。


 バランスを崩し倒れたネズミ顔の公安を、ブロディは見下ろし、

「お前は昼の? 誰の差し金だ? 吐くまで殺さない」


「ブッブッブロディ違うんだ! これは違うんだ! 俺みたい下っ端公安がありえないだろ!」


 ブロディは火のついたタバコをネズミ顔の公安に投げつけて、

「じゃあなんで鎖付きの手枷で拘束してるんだ?」


「泥棒と勘違いしたんだよ」


 ブロディは繋がれた鎖をジャリっと右手で持ち上げ

「じゃあ、どうするのこれ?」


「そうだな、うむむむ…取り合えず公安支部に行ってカギを外すしかないな」


「じゃあ、お前人違いで誤って手枷をつけました。っとか言ってカギを外してこい」


「わかったよ…また年下上司に怒られるだろうけど仕方ない」


 ブロディはネズミ顔の公安の胸ぐらを摑み…

「お前、スピーディにやってこいよ…」


「わかってるよ、極力急ぐって」


 やりとりを見ていた黒人が、

「じゃあ、オレとスキンヘッドでメロディさんの荷物を宿に運んでおきますね」


 スキンヘッドと黒人がブドウ酒の瓶を風呂敷に包んでいると、

「メロディさん? ガントレットは?」


 メロディはドキッと

「え? その中に入っているはずだけど」


 スキンヘッドは焦るように、

「いや本当に無いですよ、こっちきてください」


 メロディは風呂敷の近くに来て確認すると、

「ない! ない! どうして!? なんで!?」


 黒人がメロデイを残念そうに見て…

「ココはガラの悪い地区だから盗まれたみたいですね、ココでは一瞬でも油断したら置き引きに狙われますからね」


 メロディは…力なくガクッと膝を落とし…


「そんなバカな…」



 ブロディは再びネズミ顔の公安の胸ぐらを強く摑み、持ち上げる…


「お前、どう落とし前つける?」




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