23話 聖水アーク
武闘ラドンが去った事で、スキンヘッドは安堵のため息を吐いた後、
「命拾いしましたね! ブロディさん!メロディさん!さあ飲み直しましょう!!」
3人は 客が誰も居ない元の酒場の元の席に戻ると、メロディはガントレットを外しながら、
「ブロディ…これありがとう」
「気にするな…それは契約金みたいなもの、受け取ったって事は仲間になるだろう?」
「分かった。やっぱりギャングなのか?」
「そんな貧乏人から搾取するような事はしない」
「悪い組織じゃないなら良かったよ」
メロディのほっとした顔を見たブロディは酒をグッと飲みほして、空いたグラスをスキンヘッドに突き出し、
「面倒だからボトル3,4本頼む」
「はい」
「ついでに肉料理も頼む」
「はい」
「ついでに店主も連れてこい」
「はい!」
用事でスキンヘッドが居なくなると、ブロディはタバコに火をつけ、
「メロデイ…じつはな」
「なんだ?」
ブロディは真顔をメロディに近づけ…
「ワタシは…このアナ帝国に『革命』を起こしたいんだ」
「はあ?」
あまりにブロディの予想した通りのメロディのリアクションに笑いながら、
「フフフ…でも本気なの」
「革命って、お前まだ若いだろ?」
「20歳、年は関係ない」
「でもアナはこの星で最大の国だぞ。 革命って」
熱くなってきたブロディは…
「今はセコイ事して金を稼いでいるが…ワタシはこのアナ帝国が死ぬほど嫌い。 伝統? 血統? 世襲? 厳しい法律? それらは貴族富裕層を守り続けるルールに過ぎない。 5年前に新皇帝アーネストが即位して何が変わった? 聖騎士ググは来るべき時の軍事費という名のもとに、癒着談合で私利私欲に走り政治的身の保障も盤石にしている。 ここ数年、このアナ帝国の民を重税で貧困を増している最大の原因を知っているか?」
「しらない」
「聖水アーク」
「聖水アーク? 不老長寿1000年生きれるという」
「3年前にアナ帝国は、経済の苦しかった隣国『レナ』から秘密裏に莫大な金で買い取った」
「莫大な金って? 幾らくらいなんだろうね?」
「1000億金」
「本当?」
「大不況に苦しむ民の怒りの矛先を聖騎士ググに向けるために、皇帝も聖騎士ググを利用している。 聖水の複製・精製・研究のために聖騎士ググのパイプがある黒光りしてる連中を使い、被験者達を集めて人体実験を繰り返している」
「人体実験?」
「聖水は飲んだら致死の副作用で身体が耐え切れず一日持たず死ぬが、古に一人だけ700年生きた人間がレナ国に実在したのも事実…体は酷い様だったらしいが」
「知ってる、ワタシ達が生まれる20年以上前に、赤子を誘拐して消えたって人だよね? たしかサンダーバードと呼ばれた元聖騎士『アモン』だっけな」
「精製・複製を成して聖水を常人が飲めるようになれば、皇帝は己自身も長寿を得て、この星中から欲しがる者は後を絶えない1000億金などすぐ返ってくると思っているんだろうが、聖水の量は少なく実験のたびに減ってゆく」
その時…
スキンヘッドと店主が酒と料理を持って来た。
スキンヘッドの手には頼んだ以上の料理があった。
「ブロディさん! 料理、こんなにサービスしてくれるそうですよ」
店主はにこやかに、
「どうせ余るんでどうぞです」
ブロディ低姿勢な店主を見て、
「店主さん、一緒にどうですか?」
と笑顔で招待。
「え? でも一応、仕事中なんでちょっと」
と言いつつ…ブロディの美しさに魅了されていた。




