20話 再会ブロディ
数日後の夜…
母と弟を食わすために、半年前からヒマな酒場で働いているメロディは、店の名物の『タレ焼きチキン』をフライパンで焼きながら、売られてしまった『ガントレット』の消失感で頭がいっぱい。
「こら! また焦げてるよ!」
「あっ!?」
店主にまた叱られた。
「最近、どうしたんだい?」
メロディは申し訳なさそうに…
「別に…本当にすいません」
「オレが焼くから、メロディはこのハムを3番テーブルに頼むわ」
店主は切られたハムの乗った皿をメロディに手渡した後、心配そうに…
「またお母さんか? 今日も余った魚と野菜を分けてやるからな…がんばれ、とりあえず3番テーブルに頼む」
メロディはすこし笑い、
「いつもありがとうございます、行ってきます」
「うむ」
いつも通りのガラガラの店内…
ハムを運ぶ4人席の3番テーブルには二人の客が…
凄く柄の悪いガッチリとしたスキンヘッドの男の向かいには金の長い髪の女。その女は少し下を向いていたがとても綺麗だと分かる…足と手を組む横にはカタナが置いてある。
「ハムです」
とメロディがハムを置くと…
「メロディ~~?」
と女が…
「はい?誰ですか?」
女は顔を上げ、
「まだわからないのか? 7年ぶりだよ」
「え~っと…どこかで見たような?」
女は笑いながら
「アンタの姉妹弟子だよ」
メロディはアっと思い出し、
「まさかブロディ!?」
「そうよ一緒に飲もう」
ブロディは酒の入ったグラスをメロディの前に置いた。
「でも仕事中だから」
と答えたメロディに、ブロディはガラガラの店内を見渡し、
「もう料理も出ないだろ?」
ブロディは向かいの席のスキンヘッドの男に、
「お前、店主に聞いてこい」
無言でスキンヘッドは 席を立ち すぐ戻ってきて、
「許可を頂きました」
「ごくろうさん」
スキンヘッドはタバコを咥えたブロディにさっと火をつけた後、
「どうぞこちらへ」
とブロディの向かいの席にメロディを座らせた。
座ったメロディは、ガラの悪いスキンヘッドをチラッと見た後、
「ブロディはギャングなのか?」
の問いに答えず、酒をグッと飲んだブロディは、メロディを見つめ返し、
「あの後のバルムート家の事は聞いている。メロディとワタシは姉妹弟子、姉妹同然、困ったことがあればワタシに言え」
「金貸してくれないか?」
メロディの口から自然に出た言葉に、ブロディは深くタバコを吸いこみ、
「幾ら?」
「50金」
「50金て? メロディ…いくらなんでも」
ブロディのしかめっ面を見たメロディは、
「やっぱり無理か…」
その時…
店に2人の男が入ってきた。
さっそうと男の一人がメロディ達のテーブルの前に立った。
30歳ほどのダラシナイ格好をした無精ひげが似合わない小太りの男。
後ろのもう一人、白いフードを被った姿勢の良い男は…隠しているが隠しきれないほどに、その眼からは異様な武闘の気配が漂う…
小太りはメロディ達のテーブルを両手でバンっと叩き!
「ちょっと! ブロディちゃん! 酷くない!? 結婚してくれるって言うから家にある金を渡したのに!! 僕ちんは本気で人を好きになったんだよ! 初めて!」
涙目で訴えた!
涙目で訴える小太りの顔に、ブロディはタバコの煙を吹きかけ、
「クズが去れ」
と無表情で言うと、
「ああああ~ん、そのギャップ最高~あっっづう~」
官能的な表情を見せた。
そのやりとりを他所に、メロディは小太りの後ろにいる…
ずっと自分を、にやけて見つめる後ろのフードの男を見ていた。
( バルムート様より強い…)
メロディは正直に思った。




