17話 バルムートvsオリバー
試合直前
『ガントレット』を装着したバルムートはメロディに、
「メロディ? どんな奴でも最後はこの拳で?」
「ぶん殴る!!」
いつもの試合前の掛け声をする。
タイガはバルムートの後ろ姿に、
「がんばってください!」
いつもの言葉を放つ。
その言葉にバルムートはいつも通りに右手を応えるように軽くあげる。
バルムートが闘技試合場に入った。直後、闘技場の出入り口の鉄柵が降りた。
闘技試合開始の合図
8割方入っていた観客はバルムートの登場に拍手で迎えた。
闘技場の中央には牛のはく製を被った、この大一番の勝敗を決める審判の姿がある。
バルムートから離れた 対面側には、闘技場の砂を、両手で持った大剣『パトリオット』で刺しアグラで座るオリバーの姿が…
座るオリバーに、のそのそとバルムートは近づいて行く。
オリバーはチラっと観客席の一角で観る皇太子アーネストを見上げた後、ゆっくりと立ち上がり、バルムートへの歩を始めた…
一定の距離まで二人は近づいた。
バルムートは『ガントレット』を構え臨戦態勢になる。
長い大剣を両手で持つオリバーはさらに近づき、己のみが知る剣の間合いまで来た。
一瞬!
45度の剛斬撃を バルムートに放つ!
ガチ!・・・ン・・ ・
「っっっ!?」
オリバーは驚く!
『ガントレット』をクロスにして『パトリオット』を受け止めたバルムート!
己の最大の剛撃に壊れないガントレット
この一撃でぶれない強靭な身体
剣の動きが止まった直後! 速く! バルムートはオリバーの懐に入り
「ふん!!」
右のガントレットが…
オリバーの腹部中心に『ガントレット極めの打撃』を喰らわせた…
オリバーの身体は固まった。
「ぶっっ」
口からは透明の嘔吐物と血が混ざったモノが溢れ出た。
たまらず大剣から手を放し、両手で腹を押さえ呼吸もままならないようであった。
審判はオリバーに近づき、まだ戦えるか確認を取っていた。
「こんなにあっさり」
そんな雰囲気が闘技場の観客を包んだ…
バルムートは審判に、
「審判?確認は?」
「ああ…少し待て」
審判はオリバーの眼にはまだ執念が残っているとは感じてはいたが、
腹部のダメージが甚大でオリバー自身の口から「続行」と言える状態では無い、なにより、この先、闘技を続けても結果は明白…
結果…
バルムートの勝利を宣言
闘技場は バルムートの圧倒的な強さを称え拍手喝采!
メロディとタイガのいる入場口が開いた。
いつも、ドトール闘技場の勝利後にする。 不死鳥のメロディを抱え上げ 右手でⅤサインをするために、我先にメロディが走ってきた。
近づいて来るメロデイを見ながらバルムートは心の中で、
(メロデイ、すまないもう闘技は無理だ…この闘技をさいっ
途中…
バルムートから見える視界が途絶えた…