16話 帝都闘技場
その夜…
「お前!! 表に出ろ!!」
大声が、メロディとブロディの二人の寝室に響き渡った。
風呂の湯船の湯を汚し、肉中心の大量の食事を取り、新しい服に着替え、完全に英気を養ったブロディが、メロディにだけはふてぶてしい態度を取っていたのが原因である。
バルムート直伝のファイティグポーズを取るメロディを、ブロディは勝ち誇った顔で見て、
「ワタシの方が年上だし、お前はペットだし、なんでお前にワタシが媚びを売る必要があるんだ?」
「なんだと!?」
ブロディは窓を開けながら、
「アンタの母さんのタイガさん? ありゃバルムート様と良い仲だね……ちっ」
もぞもぞと胸ポケットから、使者からくすねていたタバコを取り出し咥えマッチで火をつけた
タバコを吸う姿を目の当たりにして、メロディは驚いた顔で、
「え?お前? ワタシより年上だけど、まだ子供だろ?」
ブロディは窓枠にもたれかけて、タバコを美味そうに吸いながら、、
「ぷっは~~ まあようするに、これからはバルムート様とタイガさんの顔色をうかがっていればいいのさ」
ブロディはファイティングポーズを取り続けるメロディを見て あざ笑いながら、
「フフ、もちろん修行はそれなりにする…お前、可愛がってやるからな…」
タバコを手首を振り上げ外に捨て、窓を閉め、
「今日はもう寝よう。 眠い…明日はワタシもバルムート様を応援する」
一つしかないベッドにサッと入り布団をかぶり即眠り。
ファイティングポーズを解いたメロディは、
「ワタシも眠るか」
真夜中
自分に抱きつき眠るメロディの熱さで目を覚ましたブロディは小声で、
「あっつ~…なんだ? 母と勘違いでもしてるのか?」
かすかに見える綺麗な天井を見た後…
「お前が声をかけてくれたおかげ…」
眠るメロディの頭を優しく…
「メロディありがとうな」
ナデナデした
翌日の昼過ぎ
帝都の闘技場にバルムートが到着した。
20年前まで、囚人や永く争う『隣国レナ』の戦争捕虜を見世物として戦わせていた狂気な雰囲気のある世界最古のドトール闘技場と違い、帝都の闘技場は新しくこじんまりとした闘技場だった。
「小さくて綺麗」
メロディが抱いた第一印象。
バルムートに不安げに何かを話すタイガの傍で、ブロディがメロディに…
「ここはな、関係者以外は貴族と選ばれた富裕層しか闘技場に入る事が出来ない。一般市民は入れない」
「なんで?」
「帝都の治安維持のためらしい」
「ふ~ん」
「メロディとタイガさんはバルムート様のペットだから入れるけど、ワタシは入れないな」
「そうなんだ?」
少し戸惑ってブロディは言った。
「万が一でもバルムート様が負けたりしたら…ワタシはどうっう」
メロディは軽く、ブロディにボディブローしていた。
「ブロディの父さんは残念だけど、バルムート様が負けるなんてありえ無いから心配するな」
最高のドヤ顔を見せてみせた。
その顔を見たブロディは、
「ははは、ワタシはここで待ってる、ワタシの分も応援頼む」
バルムートとタイガとメロディは闘技場へ、いざなわれた。




