14話 バルムートの想い
3日後の朝
バルムートの館に使者が オリバーとバルムートの戦いを告げに来ていた。
「4日後の夕刻5時、帝都の闘技場にて、よろしいですかな?」
バルムートは両手の拳を合わせ、お辞儀をしながら、
「たしかにうけたまわりました」
使者は少し緊張が解けたように、
「バルムート殿、私も世紀の一戦を闘技場で観戦させてもらいますよ。助言しておきます、オリバーの最大の武器は大剣を使いこなす力ではありません、斧を振り落とされても、剣で切られても、槍に刺されても無事な人間離れした耐久力です。 オリバーには不殺を忘れ殴ってください。勝てば相当な褒美が出るそうです、では、ご武運を」
使者はお辞儀をした後、館の玄関から出ていった。
使者の話を後ろで聞いていた10歳のメロディは、
「バルムート様! オリバーって強いの!?」
「かなり強いだろうね、実際に見たことは無いけど」
「勝て…ますか?」
「メロディ? いつも言ってるだろ?」
「うん!」
「どんな奴でも最後は…この拳で?」
「ぶん殴る!!」
右のコブシを目の前にして、ハアハア興奮しだしたメロディに母のタイガは、
「メロディ…修行まだでしょ?」
「はい! 母さん! 滝に行ってきます!」
メロディは走って滝へ。
バルムートは笑みを浮かべながらタイガに、
「メロデイは凄い剣闘士になるぞ。オレより素質がある」
「バルムート様より? 絶対にありえません」
「間違いないよ」
「ところで左ヒザの調子は? オリバー戦は大丈夫ですか?」
「残念だが、やはりもう無理そうだ…次の戦いで引退をする、メロディは残念がるかもしれないがオリバーがオレの最後の相手だ」
タイガは目をつむり…
「そうですか」
「どうした? 少し嬉しそうだな?」
タイガはお腹を触りながら、
「無敗じゃなくてもいいですから、絶対に死なないでくださいね」
「もちろんだよ、タイガ…引退したら結婚しような」
「よろこんで」
二人は静かに口づけをした。
バルムート、タイガ、メロディは試合の前日に帝都に着いた。
三人のために用意された館の案内に数日前の使者が居た。
「食事や身の回りの世話はこの者どもが」
使者に紹介されてメイド3人が頭を下げ、
「よろしくお願いします」
使者はタイガとメロディに、
「今日はちょうど帝都名物の市民バザーの日だ。タイガとメロディは良かったら一緒に見に行かないか?案内するぞ。 珍しい物や、綺麗な服や、お土産になる物もあるかもしれんぞ」
使者の誘いにタイガとメロディは、
「そうね~、帝都のピクルスや、肉の塩漬けは有名だもんね、行きます」
「母さんが行くならワタシも行く」
タイガとメロディは館の外へ…
バルムートも、
「オレも行こう」
館を出ようとした使者は振り返り、
「バルムート殿? 明日はオリバー戦なのにいいのですか?」
「大丈夫さ、オレには不死鳥がついてるから」
「ペットのメロディですか?」
「近々、タイガとメロディはペットじゃ無くなるよ」
察した使者は、
「なるほど」
少し嬉しそうにバルムートと一緒に館を出た。




