110話 黒薔薇の苗
闘技場内のメロディは観客席を見上げる…
「ロレディ―ナさんのおかげで、ココは助かりそうだ、良かった♪」
横で腕を組むクマの様な体のオリバーは、
「あの弱そうな天然パーマチビ女がクーニャの右足を潰すとはな…」
メロディはオリバーの顔をジロリっと見上げ睨み、
「お前はいつ戦うんだ?」
「フフ…さあな…」
メロディは気づく…
「あれ? 腕を大ケガした黒バラのフィーンさんがいない?」
観客席…
超人的な跳躍力を失った『蛙』のクーニャ!
ターゲットの皇帝に走ろうとする!
孔雀兜のロレディーナは、
「そうはさせるか!」
「ちっ!」
クーニャ、聖剣モノリスで、聖剣イワタイゲキを受ける!
ガ――――ン!!
凄まじい衝撃に体がフッ飛ばされる…
「クソが…クソ…皇帝まで辿り着けさえすれば…ハァ…ハァ…」
歩み寄るロレディ―ナ…
「残念だけど…」
左手の親指で、皇帝の方を指す…
「黒バラが皇帝の守護のために来たようね…もう…お前はおわり…」
クーニャは黒バラを見て…
「黒バラのフィーンが…? くそ…」
「右腕をケガしてても…雷神討伐チームの一人『進化合気』の使い手、世界聖騎士序列4位の黒バラ…お前が到底、勝てる相手じゃない…」
黒い鎧のフィーン… 皇帝アーネストの前で頭を下げ…
「陛下の守護に回ります…」
立ち上がった皇帝は、見下げ…
「なにゆえ?」
「そろそろかと思いまして…」
「そろそろ?」
皇帝はフィーンの右腕を見た…
「その腕…聖大剣Ⅹソードで…負傷したのでは…」
その一瞬…
フィーンの右の貫き手が…
皇帝の腹部を襲う…
真横のフレデリクスは!
「陛下!?」
フィーンは…
「羽織ったモノの下に鎧か?…しかし」
倒れる皇帝を見て…
「鎧も貫いた…まあ…鎧のおかげで一撃で死ななかったみたいだけどね…」
すぐに! フレデリクスと、いつもの親衛隊4人がフィーンに飛びかかる!!
フィーンの体術『進化合気』の神技が披露される…
フレデリクスの斧を避けながら、
フレデリクスのコメカミに強烈な肘…
頭蓋骨と脳に大きなダメージを与えた…
次に決死で近づく親衛隊4人に対し…
長い爪の右手を伸ばして構え…
スッと横に動かす…
親衛隊4人の喉に… 4線の爪の切り傷が…
親衛隊…倒れて… 動こうとするが… バタっと倒れる…
フレデリクスも… 動かない…
その光景を見たロレディーナは、
「まさか黒バラまで!? やばい!!」
すかさず皇帝の下へ!!
フィーンを見たクーニャは、
「フフ…ワタシだけじゃなかったんだぁ…」
フィーンに加戦するために足を引きずり歩く!
血の流れる…腹を触る皇帝アーネスト…フィーンを見上げる…
「き…きさまぁ…上位聖騎士でありながらぁぁ…」
「聖騎士でありながらだって? 俺はスフィアのために聖騎士になったんだ」
「なに…?」
「スフィアがいなければ…俺達の家族はとうに終わっていた…」
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22年前の「ならず者国家」… 俺が5歳の時…
架空の投資話…
父が騙され…会社も取られた…その日‥
俺の屋敷に10人以上のヤクザが来る…
屋敷の金を全て大きな布袋に入れた後に…
母が数人に寝室に連れていかれる…
父が複数から非道な暴行を受け… 血だるまになる…
「家も貰うからな…それと、子と妻もな?」
「やっ…めて…くれぇぇ…うう」
「この子も可愛い顏してるから、売れる売れる♪ 父のお前は先に天国に行って待ってろ」
タバコを吸う怖い男が、俺の髪をなでる…
怖くて…訳が分からなくて…
ただ震えて泣いていた…その時…
屋敷の扉が開いた…
黒い長い髪で… 右目を隠す奇麗な女の人…
足を引きずっている…
落ち着いて入って来るから… ヤクザの仲間と思った…
俺の髪を撫でていた怖い男が、
「だれだ? おまえ?」
《 スフィアだよ 》
その後に起きたこと…
衝撃的感動だった…
酷いヤクザ達を、逃げようとする者も、ただただ無情に殺害する…
スフィアは…
ヤクザを全て片付けた後に、両手をパンパンして、父を見つめ、
「もしかしたら、他のこいつらの仲間に狙われるかもしれないから、お前たち、逃げた方がいいぞ、ボロボロだけど…まだまだ動けるだろ?」
「あっ…ありがとう…ございます…ハァハァ…」
スフィアは我が家の金の入った大きな布袋から
3分の1くらいを持参した布袋に詰めた後、父に、
「3分の1貰うな?」
「どうぞ…本当にありがとうございます…」
「気にするな…女を襲う様なヤツは殺した…それだけだ」
去ろうとするスフィアに…
「おねえさん!」
スフィアは振り返る…
「なに?」
「今の技…体術? なんですか?」
「合気」
足を引きずりながら去った…
あんなに…
強くなって…
美しくなって…
いつか… 恩を返したい…




