103話 聖戦
10分前…
ドトールの外れの平原では…
アナの兵の死骸が数え切れぬほど転がる中央に…
ハルバードを持ち立つ雷神に、土下座するラドンの姿が…
飛竜の背に乗るアモンは『蛇』のラドンを見て、
「ラドンよ…どうしたのじゃ?」
「スフィア様を助けに行かせてください…俺の体なら崖に落ちても大丈夫ですから…聖戦で万が一、俺が死ねば…スフィア様の救出は誰にもできません…」
「ラドンよ…スフィアがドトール刑務所の崖に落ちてもう2か月…諦めろ…」
土下座の姿勢のラドンは顔を上げて、ほりの深い雷神の目を見る…
雷神の口から、
「ラドン…お前はスフィアを愛していたのか?」
ジッと上下に目を見つめ合い…
ラドンの口から、
「応…全てを…」
雷神は目を瞑り…
「『犬』のスフィアの無事を祈る…ラドンよ…行くがよい…」
背を向け… 飛竜にまたがる…
竜の首に巻いたクサリを引っ張り、
「飛竜よ…聖戦に向かうぞ…」
キュラ――― っと鳴いた飛竜はバッサバッサと羽をはばたかせ…
空に舞い上がる…
ラドンはずっと土下座したままだった…
雷神は飛竜を操縦し、
闘技場の上空に…
後ろに乗る、アモンは闘技場の聖騎士達のメンツを確認して、
「ふふ…怒髪天にⅩに…そうそうたるメンツ…ワシも700年前ならアイツラと…」
横のシトリーの腰の聖剣『ステラジアン』を見つめ、
「序列3位のサンダーバードと呼ばれた聖騎士アモンも、その聖剣を持ち戦えたのになぁ…」
シトリーはアモンの目を見て、
「マスターの指導で雷神は別次元の強さになれた…マスターは飛竜と観戦しててよ」
アモンは白いフードを引っ張って被り、
「ワシの雷神が負けることは無いがの…」
シトリーは顔を隠したアモンに、
「なんで顔を隠すの?」
「不気味な雰囲気を醸し出した方がよかろう?」
「ふ~ん」
飛竜は闘技場の観客席に滑空し…下りる…
雷神を向き構えた聖騎士達の中から、
老将ドリアスが!
「 『蛇』はどこだ!?」
アモンは聖騎士達に、
「ラドンは辞めた!! 聖戦に参加せず!!」
すぐに!
「シトリー! 行け!」
「おう!」
スパパパパパパパっと観客席を速く走り!!
対面のアナの皇帝と雷神のいる観客席の、中央の位置にある…
ドトール闘技場唯一の出入り口へ、飛び下りる!
「これで誰もこの闘技場から抜け出せない! 虫の人間は『鷹』のシトリーが逃がさない!!…ん?」
シトリーは外を向くと…
元革命隊のメンバー100人ほどいた。
最前には、幹部スキンヘッドとロメロと黒人とソールドアウト…
三列目にくらいにソールドアウトの従業員のクミの姿もあった。
スキンヘッドは脂汗を垂れ流しながら…
「『鷹』のシトリーだと…」
黒人も脂汗を垂れ流しながら、
「メロディさんとブロディさんのピンチになったら乱入して救出しようと思っていたのに…」
長いアゴに包帯を巻いたロメロは、
「『犬』のスフィアは化物だった…きっと『鷹』のシトリーも無茶苦茶つよい…」
ソールドアウトは、
「シトリーも登龍門最強のラドン並に強いのかな…100人素人の集まりじゃ殺されるだけだよ…」
シトリーは元革命隊を見下した目で見つめ…
「ぷっ…聖戦が終るまでソコで立ってろよ…くそ弱い人間共…フフ」
シトリーが位置に着くと…
ついに…
高さ4メートルの雷神が歩む…
アモンは飛竜の右足に繋げた鎖を石の観客席にグルグル巻きつけた後に…
アナの皇帝を指差し…
「アナの皇帝よ! 聖戦を始めるか!?」
雷神は、スッと闘技場に下りて…
巨大なハルバードを立てに持ち… 静止…
しばらくの静寂から…
アナの皇帝アーネストは立ち上がり…
「聖戦に集いし聖騎士24名と! 序列一位アナの次期聖騎士候補2名!」
前に屈する、アナの大神官が差し出す…
アナ帝国初代聖騎士の古い聖剣『ホーリー・アナ』を手に取り…
鞘を抜き…
「聖戦開始!!」
その聖剣を闘技場へ! 投げた!!
直後…
最強聖騎士Ⅹが雷神へ動き出す…




