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101話 聖戦前夜 4



 聖騎士宿泊施設リスト『F』

 民宿ドトール荘の食堂では…



 ご飯を食べ終えた…

 筋肉隆々の日焼けした体中に家族や一族の名前の文字の刺青の男…


 序列29位 アリアス諸島 聖シャチこと 聖騎士ロック 27歳

 

 ロックは日の国の振袖を着た女従者に、

「アヤは?」


 茶碗と箸を持った従者が、

「庭で鍛錬をしております」


 ロックは、トコトコと庭へ、


 そこには、一人…激しい動きで鍛錬する聖騎士アヤの姿が…


「は!! はああああ!! せいや!!」


 透明の聖剣『ミラージュ』を振り回しながら、剣技に体術まで混ぜ合わせた動き…


 ロックはタバコを咥えて、マッチで火をつけて、ボソッと、

「聖騎士アヤ…修練なのに凄まじい殺気がみなぎっている…」


 アヤは…ガクっと片膝をつき…


「はあ! はあ! はあ! 聖戦は明日!! まだまだ!! 0.1パーセントでも…強くならなきゃ…」


 立ち上がり、再び動き出す。

 ロックは後ろを向き、


「なぜ…そこまで敵を力で倒そうとするのか…」


 タバコを「ふ~~~」と吹かした後…


「オレには従者もいないし…同宿の聖騎士はアレ(アヤ)だし…酒飲んで一人で寝るか…」









 聖騎士宿泊施設リスト『F』


 山中にある…簡易宿泊施設『満天の星の里』の前では…


ココ 「キノコ採って来ましたにゃん!」


 あぐらで座るブロディは、無人の宿泊施設の中から見つけたアミの、下の火を木の棒でほじくりながら、


「おう、食えるもんあったか? 良かった良かった♪ 乗せろ乗せろ♪」


 座るメロディも笑みの目で、

「晩御飯が見つかって良かったね♪」


 ココは網の上に、両手にたくさんのカラフルなキノコを乗せた。


ココ 「赤に青に白きれいだにゃん♪」


 ブロディは、焼けた青色のキノコを、無人の宿泊施設の中にあった鉄串で刺し…


「ココ食べろ」


「え?」


「お前、キノコ採りに頑張ったからな? 先に喰わせてやる」


「いや~~悪いですよ~ブロディさんからどうぞです」


 ブロディは青いキノコをココの唇にグイっと押し当て、


「喰え」


「…キノコ! やめましょう!!」


 ブロディは、無人の宿泊施設の中にあった、火バサミで網をひっくり返しキノコを捨て、


「ココ…お前…カラフルなのヤバいって思わなかった?」


「うん…ついついお腹が空いてて…」


 メロディは草の上の焼けたキノコを見て…


「でも…お腹すいたね…白キノコは大丈夫なんじゃないかな?」


 メロディは白いキノコを鉄串で刺し…鼻に持って来てクンクン…


「いい匂いするし…ほら」


 ブロディとココにも嗅がせる…


「本当だ…おいしそうな匂いだな…ハァ…ハァ…」


「吸い込まれるような匂いだニャン…ハァ…ハァ…食べていいかにゃん?」


 ココは、あんぐっと口を開いた時…


《 まてって! そのキノコ! 毒のチンチンダケだ!! 》


 皆、声の方を見る…


 馬に乗った鉄仮面グルギュラと…

 その従者の左手の無い男…


 グルギュラはサッと馬から降りて、


 立ちながら、赤青白のキノコを見て、


「全部…毒だな…」


 ブロディはグルギュラを見上げ、


「マジですか?」


 グルギュラ、ブロディの顏を見ると…

「え? アビゲ…いや」

 無表情に目を大きく開く…


 そんなグルギュラにブロディは、

「どうしました? ならず者国家の聖騎士の鉄仮面ですよね?」


「ああ…」


 グルギュラはタバコに火をつける…

「ふう~…」


 ブロディは、

「鉄仮面さんは、忠告ありがとうございます…ワタシは、このメロディの従者のブロディです」

 すぐにブロディが、横に置いていた大きな袋の中をモゾモゾしている時…

 グルギュラはブロディの腰につけていたカタナを見て何かを確信した。


 ブロディは袋の中から、酒瓶を取り出し、


「コレお礼です、良かったら飲んでください」


 受け取ったグルギュラ、

「あっああ…ありがとう…」

 礼の後に従者を見て、


「食い物があっただろ? 全部を分けてやれ」


「はい」


 干し肉に、パン、豆、果物が置かれた風呂敷の中から出てきた。


 喜ぶメロディ・ブロディ・ココ


 メロディは、グルギュラに深々と頭を下げて、


「グルギュラさん! ありがとうございます!」


 グルギュラは、赤い髪のメロディの肩をポンっと叩く…

 メロディは顔を上げて、背の高いグルギュラを見上げ、

「グルギュラさん! 明日の聖戦、共にがんばりましょう!」


「赤い髪のメロディだな?」


「うん」


「スフィアはどうだった?」


「スフィア?」


「倒したんだろ?」


「すごく強かった…最期は笑ってた…」


「最期になんか言ってたか?」


「まだまだ戦う…」


 グルギュラはサッと背を向け、


「適当に部屋は使わせてもらうぞ…」


 その後ろ姿にメロディは、


「スフィアの目…すごく奇麗だった…」


「だろ…まっすぐだったろ…」



 従者を連れて簡易宿泊施設の中に入る…

 すぐに部屋の窓にロウソクが灯る…


 窓を見て、ブロディは…


「無茶苦茶、感じがいい人だな、グルギュラさん」


 メロディは、ツンツンと肩を指差し、


「ブロディのタイプだろ? 年上で優しい人が好きだもんな?」


 顔を赤くして、


「んなわけないだろ!」








 グルギュラは部屋で頭を抱えていた…


 そのうち貰った酒の蓋を開けてグビっと飲む…


「フフ…こんな安酒を飲んでるのか?」


 タバコを吹かす…


「母の事を聞けなかった…今、何してるのか…」


 向かいで静かに座る従者は…


「なぜですか?」


「ブロディとオレは血のつながりがあるわけでもない…聞いてなんになる…」


「そうですね」


 グルギュラは、酒瓶を渡し、


「お前も飲め」


「ゴク……メロディを寝首掻いて殺すんですよね? そのために来たのでしょう?」


 酒瓶を返す…


「まあな…聖騎士宿泊リストが送られてきて…なにせメロディと同宿だ…スフィアの仇を取りたかった…」


「かった?」


「帰る、聖戦にも、もちろん不参加だ」


「なぜ?」


「メロディのスフィアの最期を聞いて気が変わった…スフィアはきっと仇討ちなど望まない…」


「さようで…」


 立ち上がったグルギュラは… 


「貰った物を残すわけにはいかんな」


 酒瓶を真っ逆さまにして飲む…


 ゴックゴックゴック


 と…


 左手の無い従者は、その表情を見ながら、


( 分かってますよ…ブロディのためでしょう…あなたは情に厚すぎる…いえ…弱すぎる…)


 




 

 ヒヒーン



 馬の鳴き声に、


 お腹いっぱいになったメロディ達は、


「なに?」


 と鳴き声の方を向くと、


 すぐに前を過ぎ去る、グルギュラの乗った馬と、従者の乗った馬。


 グルギュラは振り向くことも無く、

「俺、やっぱ帰るわ! 皇帝に不参加と伝えておいてくれ!」


 メロディは、

「ごはん! ありがとうございました!」


 ブロディは、

「グルギュラさん! 不戦なら! 重罪を科せられる! 戻って来て!!」


 グルギュラは左手を上げて下ろし、去る。



 ブロディは闇に消えた馬の方を見て、


「グルギュラはバカなのか? 不戦なら重罪だぞ…」


 メロディは、

「ブロディ…初めての失恋だね…」


「はあ? んなわけないだろ!」

 メロディの頭に、コツンと右のストレート…







 近くの深い茂みに…

 アナ帝国の暗部が10人以上潜んでいた…


「ちっ…グルギュラ…運のいいやつめ…」

「なぜ逃げた? 我ら暗殺部隊が潜んでいるのに気づいたのか?」

「知らんが…皇帝にグルギュラの逃走不戦の旨を報告せねばな…」


 サーーッと散る。




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