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100話 聖戦前夜 3


 聖騎士宿泊施設リスト『D』


 ドトール第2ホテルの屋上では…

 黒髪をマゲにした口ひげの…ずっと目を瞑ったままの男…


 序列9位 ブルファン国 烈士こと 聖騎士クーフォリア 39歳


 剣の柄を掴んだ、居合切りの形のまま動かない…



 タ タ タ タ タン



 止まった足音に、クーフォリアは目を開けると、目の前に立つのは…


 序列17位 クエス・アテネ国 最高奥義伝承者こと 聖騎士カルロス 24歳

 

 金髪の短髪のカルロスは、居合の形のクーフォリアを見下ろしながら、


「クーフォリアさん? なにしてるんですか?」


 問いに、ジロっと見上げ、


「巨大なハルバードを持った雷神とイメージバトルしていた…」


「どうでした?」


「146回戦って…146回死んだよ…」


「でも聖戦は一対一じゃない…私もイメージバトルをやってみようかな…」


 カルロス構え… 瞑想する…


 しばらくして… 目を開ける…


「いいところまで行った…」


「凄いな?」


「人間には条件反射がある…それを極めればどんな攻撃も当たらない…私の条件反射は神技の域まで経っしています」


 直後!!


 シュ!


 クーフォリアの神速の居合切りがカルロスを襲う!


 間一髪避けたカルロスは!


「あっぶな! なにするんですか!?」


「ふふ…確かに、今の一撃を避けられたなら雷神のハルバードは当たらんな…」


「ふざけんな!」


 怒ったカルロスはクーフォリアに攻撃を仕掛ける!!


 その攻撃にクーフォリア、

「避けは100点だが…攻撃は10点だな…」


 熱い二人を、屋上の片隅で見つめる二人の男…


 序列18位 北クぺル国 大楯マスターこと 聖騎士サンタナ 27歳

 序列23位 ジェスパ国 泥サソリこと 聖騎士ゴドラ 34歳


 自分専用の大楯の上で横向きに寝て、二人を見つめるサンタナは、

「あの二人…あんなに強くてうらやましい…」


 小太りのスキンヘッドの汗かきのゴドラも、

「俺たちも明日に備えて、戦ってみる?」


 サンタナはゴドラを寝ながら見て、

「俺とゴドラさん…ガチな戦闘向きじゃないですよ? どうやって戦うんですか?」


「まあ…たしかに…」


 サンタナとゴドラは激しいぶつかり合いをする、クーフォリアとカルロスを見つめながら、声を合わせ、


「いいな~」






 聖騎士宿泊施設リスト『E』


 ドトール第3ホテルのすぐ近くの酒場『チキンハート』のテーブル席には…


 序列24位 マダン国 無敗道こと 聖騎士バイゲリット 29歳

 序列25位 カンナム国 難攻不落こと 聖騎士グラナダ 41歳

 序列27位 ミール国 春風こと 女聖騎士 クーニャ 27歳


 の男女が、


 黒髪ツインテールのクーニャは、ドンっ!と酒の入ったジョッキを置き!

「どうせアタシラ二軍ですよ! ホテルもちゃっちいですし!」


 ボサボサ頭にヒゲヅラのグラナダもワシ掴みにしたオマメをボリボリ食べながら、

「だな? ここの客もオレタチを聖騎士だと気づいてないようだしな?」


 『無敗』と書かれた冠を被り、鼻が高くワシの様な顏をしたバイゲリットも、グラスの酒を飲み干した後に店の従業員に、

「ねえちゃん! 酒同じのおかわり! …明日の聖戦も、出番あるかも怪しいしな」


 グラナダは酒をグビッと飲んで、

「まあ…ぶっちゃけ…平和な小国の俺ら三人の聖騎士は…アナ帝国に歯向かったらヤバいから来ただけだしな」


 誰も反論すること無く…


 シーーンっとなった中…


 クーニャが、

「でもスフィアを殺したメロディは気になりますよね!」


 バイゲリットが呆れた顔で、

「メロディ?」


「そうです、赤い髪のメロデイ! ワタシ明日、会えるの楽しみなんです! なにせ、伝説のハルゴ砦の奇跡スフィアを殺したんですからね!」


 酒のおかわりが、バイゲリットのテーブルの前に置かれた。

 バイゲリットは、下を向いてほくそ笑んだ後に、クーニャを見て、


「ハルゴ砦の奇跡~~? アレ盛り過ぎだって~、身長170センチくらいのスフィア1人で当時のドトールの剣闘士達をぶっ殺した後に、敵兵一万以上を殺して、化物の怒髪天を追い払った~~?」


 クーニャは、飲み終えた酒のジョッキを置き、嬉しそうに!

「はい!」


 バイゲリットは手の平を左右にゆっくり動かしながら、

「ないない、ありえない」


 タバコを吸っていたグラナダは、

「ふう~ひょっとして雷神も意外と大したこと無いんじゃね? デカいって言っても人間だしな? デカさなら怒髪天やゲッペルのがデカいしな?」


 酒をグッと、また飲むバイゲリットは、

「 Ⅹいれば大丈夫っしょ」


グラナダとバイゲリットに不快感を抱いたクーニャは…


「先に帰ります…」


「おつかれ~また明日~」




 クーニャ… ホテルに帰りの道中… 月を見上げる…


「あの二人…現実逃避のバカ…ワタシはスフィア様の事をよく知っている…」


 その時…


 ザザーーーっと鳥の大群が、月を消す…


「雷神の恐ろしさに…醜く愚かな人間達よりも…野生の方が気づいてるのね…」


 口に左の中指を持って来て… 爪を噛みながら…


「闘争の満ちた生涯で…美しく散ったスフィア様。 一度はお会いしたかったぁ…ハァ…ハァ…レナの聖騎士ミスティ様が本当にうらやましい…」


 直後!


 ヒュン!


 人間離れした跳躍力で近くの家の屋根に上がったクーニャは、さらに、


 ヒューン!


 開けていたホテルの自分の部屋の窓から入る。


 腰につけていた、ミール国の聖剣『モノリス』をテーブルに置いた時…


 ミール国の従者がガチャっとドアを開けて、


「おつかれさまです…さきほど…クーニャ様に手紙が…渡した者は馬に乗り去りました」


 封筒を手に取ったクーニャは呆れた顔で、

「きっとファンの誰かね…渡してくれて、ありがとう、疲れたから…もう寝る…」


 従者は頭を下げながら、


 カチャっとドアを閉めた…


 クーニャはドアに耳を当て、遠くに行ったのを確認して…

 封筒を開けて、


「うわっ…本当に来た…まじ?」


 胸に手を当て、ふう~と息を吐いた後に…

 中の手紙を読む…



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ミール国の聖騎士 クーニャ


 あなたからの手紙で、あなたのスフィアへの熱意は伝わりました


 聖戦でスフィア側に付きたいとの所望 しかと承りました


 クーニャ


 ならば行動を命じます


 聖戦の 戦時に乗じて


 アナの皇帝アーネストを討ちなさい


 常々スフィアは 皇帝を雷神に討たすと言っておりましたが


 アナの左大臣フレデリクスや『Ⅹ』は 手を打っているはずです


 戦況不利になった時

 逃亡の十分時間稼ぎにはなる『怒髪天』や『ゲッペル』あたりを残しておくとか


 聖戦中 まだ無名のあなたは目立たぬように振舞い 時が来れば 


 あなたの跳躍力を活かし あなたの聖剣『モノリス』で


 アナの皇帝を討つのです


 クーニャ 安心しなさい


 レナ国とワタシの 全てを懸けて 書きます


 スフィアの造りし神


 雷神は 絶対に負けない




                 生きる伝説こと レナの聖騎士 ミスティ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 


 読み終えたクーニャ、また爪を噛む…


 手紙に崇敬の眼差しを捧げながら…

 




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