99話 聖戦前夜 2
聖騎士宿泊施設リスト『B』
ドトールシティホテルの大浴場では…
大きな大きな湯舟の角で、女従者と湯に浸かる…
序列8位 ミリガン国 至高の聖者こと 女聖騎士 サラ 33歳
ミリガン国の女従者は両手を皿にして、白い長い髪のサラの肩に湯を当てながら、
「聖騎士黄金世代のサラ様の宿泊先が…アナの皇帝と同じ『エクストラホテル』でも無く、聖騎士の主力が集う『ドトール闘技場』でもないなんて納得できません」
「いいのです」
「ドトール闘技場のメンツは納得できますし、皇帝と同泊に『黒バラのフィーン』と『黒き牙城のジョンソン』もまだ分かりますが…メルル? はあ? というかなんで、あの女いつの間に…序列5位? はああ?」
サラは優しい目で従者を見て、
「メルルは一撃必殺の神器『シャイニング・トライデント』を持ってるからです。エッス国に現れたはぐれ飛竜も、それで仕留めたと聞きます」
従者は悔しそうに、
「メルルの飛竜討伐は絶対ラッキーパンチです! サラ様の『マサカリ』なら、き~っと飛竜を仕留められます!」
「もういいのです…ほら、アナの皇帝も我々女聖騎士のために、大浴場のある宿を用意してくれたのでしょう…それにしても…ミスティが心配だわ…」
「サラ様とレナ国のミスティ様は仲が良いですからね…」
「聖戦が終れば、ワタシがミリガン国の聖騎士として、アナとレナの仲裁に入ります…」
従者は涙を浮かべ…
「グス…さすが聖者サラさまぁぁ…」
その時!
「ひゃっほー! 大きいお風呂だぜい!!」
バシャーーーーーーン!!
大きな水しぶきがサラの顔に直撃!
サラの従者は大声で!
「誰じゃ!! 無礼者が!?」
背の高い黒いショートヘアの女が立ち上がって、従者の方を振り向いた…
序列12位 メフィスト国 空前絶後の逸材こと 女聖騎士フォックス 24歳
フォックスは、「なんだ~?」っと言った後、
「あれ? 誰かいたんだ? だれ?」
従者は立ち上がり、サラを手の平で指し、
「大国ミリガンの! 序列8位の聖騎士サラ様だ!!」
サラはフォックスに、深々と頭を下げて、
「はじめまして」
フォックスは、向こうへ体を向けながら、
「ういっす」
離れた所で湯に浸かり…
「ああ~きっもちいい~ふう~~」
サラのコメカミにはアオスジが立っていた…
従者がたまらず!
「あの女に説教が必要です!」
「いえ…あれが若さなのです…ウフフ」
すると、
知らぬ間に… サラの横に立つ、黒のおかっぱの小柄な女…
序列21位プレルートネクス国ネクス家最高傑作 女聖騎士シャーロット22歳
シャーロットは無表情に、サラを見下ろして、
「そこどいて」
またアオスジが浮いてきたサラは目を瞑りながら、
「おやおや…どうしてですか?」
「オバサンの隣から新しい湯が出てるから…だからそこに座りたいから…だから…オバサンが邪魔だから…」
目を瞑るサラのコメカミのアオスジはクッキリと出ていた…
「オバサン? 邪魔? 誰がですか?」
目を開け、シャーロットを見上げると…
目の前に人差し指… その向こうに無表情のシャーロット…
ブチ
「誰がオバサンじゃい!! おめえら!! なめとんのかごらああ!!!」
バシャ――!! バシャ――ン!! ドシューン!! ヒューーン!!
脱衣所にサラの従者が飛び出てきて!
「ひい~! サラ様がキレた~~!」
すれ違ったバスタオルを巻いた茶色の髪の女…
序列20位 オーガス国 大器晩成こと 女聖騎士 ルナ 42歳
ルナはタジタジと…
「ゆっくりお風呂入りたかったのに…入れる雰囲気じゃないよ~…」
聖騎士宿泊施設リスト『C』
ドトール第1ホテルのロビーでは…
テーブルを囲み、酒を飲みながら座る4人の男…
序列6位 ルグル国 閃光騎士 聖騎士グラディウス 37歳
序列10位 ポレマリーナ国 機転殺法こと 聖騎士ゼルフィン 29歳
序列13位 フェリアス国 老将こと 聖騎士ドリアス 65歳
序列15位 南クぺル国 毒クラゲこと 聖騎士オースト 29歳
最年長の白髪のオールバックのドリアスは、杯を手に持ち…
「間違いなく、我々4名は聖騎士の中でも実力派の集まりだが…皆に問いたい…」
他の3名を見渡した後で…
「今回の聖戦で、鍵になると思う者3人を選んで言ってみないか?」
油チックな長い髪とヒゲのオーストは、
「Ⅹは?」
「ふっ…アレは抜きにしよう…巨体の怒髪天とゲッペルもな…そうだな2名ずつ答えた後に、最後の一人は一斉に皆が言うのはどうだ…」
皆は小さく頷いた…
オーストは、
「俺はアヤと…やはりグラディウス」
その答えに、ドリアスは、
「無難過ぎて…面白みのない答えだな?」
オーストは酒をグイっと飲み、
「最後の一人は予想外かもしれないぞ」
ドリアスを見て笑む。
続いて、坊主頭の細い顏の無精ヒゲが似合うグラディウスは、
「ロレディーナ…あれは強い…それと…ルナ…」
ルナの答えにドリアスは興味深そうに…
「大器晩成ルナ? ふふ…大穴狙いか?」
「ルナは小国の聖騎士だが、ここ一番に強い所がある…聖戦の舞台は彼女をますます花開かすとみた……大ベテランのドリアス様は?」
空いた杯に酒を注いだ後に、問いに答える。
「グラディウスとロレディ―ナ」
オーストが呆れた顔で、
「俺より無難じゃないか?」
「まあ聞け、圧倒的パワーの雷神にはスピードが重要…雷神を上回れるスピードを持つ、この二人こそがキーマンだ」
ずっと、うつむいたままだったゼルフィンは…
大きな目をドリアスに向けて、
「最後に僕ですね…みなさんワザと言ってないんですか? グルギュラですよ…やっぱり、スフィアと強い繋がりがあるしね…裏切るかも。 それとスフィアとイキサツがある…アヤと言いたい所なんですけど…」
セルフィンはチラッとグラディウスを見た後に、
「僕もルナが面白いと思う…というわけでグルギュラとルナです」
ドリアスは杯の酒を飲み干して、
「グラディウス2 ルナ2 ロレディーナ2 アヤ1 グルギュラ1 ……か? フィーンとメルルの名前が無いのは意外だった…まあ三人目にさすがに出るか…?」
ドリアスは杯を置き、
「では、皆…最後の一人だ……せ~~~~のっ」
ドリアスの掛け声に4人は一斉に、
《 メロディ 》
ドリアスはニヤリとして、
「やはり皆… あのスフィアを殺した女か…」




