表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/22

22


「わかったわ。心配かけてごめんね、アメーリエ。ありがとう」

「ラヴィニアお嬢様……!」


 感極まったようにうるうると目に涙をためて、それから飛び切りの笑顔で「すぐ用意しますね!」と本当に素早くネグリジェを持ってきてくれた。着替えてベッドに横になると、思っていた以上に疲れていたのか、すぐに眠りに落ちた――……。

 夢の中で、日本に居た。日本で乙女ゲームを楽しんでいる『わたし』を『ラヴィニア』が見ていた。

 それにしても、カミサマはもうひとつのゲームとくっついたって言っていたけれど、どんなゲームとくっついたのかは教えてくれなかった……。気にはなるけど、考えていても仕方ないのかしら。

 わたしは……ゲームの『ラヴィニア』とは違う人生を歩んでいる……のかもしれない。それでも良いよね。だって、わたしはこの世界を楽しみたいんだもの。

 目指すは冒険者。色んな国を見て回るの!

 夢の景色はぐるりと変わり、今の『わたし』になった。客観的に見れば『ラヴィニア』ってきれいよね。……なんかナルシストっぽいな。でも、折角のきれいな容姿、磨いて磨いて、磨きぬけばもっときれいになる、ハズ。

 ……いや待って。わたしは冒険者になるんだから容姿は関係ないのかな?

 冒険と言えばやっぱり仲間が必要よね……。あの子たちはわたしについて来てくれるかな? ヴォルケとミーティア……きっとすごい魔法使いになるだろうし……。……あ、後衛ばっかりのパーティになっちゃう……。誰か、剣士を見つけないと……。

 そこまで考えて、深い眠りについたみたい。


「おはようございます、ラヴィニアお嬢様」

「おはよう、アメーリエ……。うーん、良く寝た!」

「ふふ、今、お茶をご用意しますね」


 アメーリエのお茶も美味しくて好き。てきぱきとお茶を用意するアメーリエ。わたしはそれを見ながらぐーんと手を上に伸ばしてストレッチをした。すっきりした目覚めだ。眠っている間に夢を見ていた気がしたけれど、覚えていないわ……。夢って覚えている時と覚えていない時の差がすごいわよね。


「お待たせしました」

「ありがとう」


 お茶を受け取って一口。目覚めのペパーミントティーは良いね。口の中がさっぱりしたところでアメーリエがそわそわとしているのが見えた。どうしたのだろうと首を傾げると、彼女はハッとしたように顔を上げてわたしを見た。


「どうしたの、そんなにソワソワして」

「あ、いえ、ええと。昨日お嬢様が眠られたあとに、旦那様がいらっしゃいまして……」

「おとうさまが?」

「はい。旦那様はお嬢様がぐっすりと眠られるのを見て、風魔法で優しい香りを広げていって下さったのです!」


 ああ、父の魔法を見たことを報告したかったのか……。それにしても、風魔法で優しい香り? もしかして、わたしがぐっすり眠れるように気を遣ってくれたのかな? おかげでスッキリ目覚められたし……。…………ところで今、何時かしら……?


「ねえ、アメーリエ。今何時……?」

「……えっと、十一時くらい、ですね……」


 あと一時間でお昼じゃない! そりゃあ良く寝たって感じるわ!


「起こしてくれて良かったのよ……?」

「すみません、あまりにも気持ちよさそうに眠っていらしたので……」


 気が付いたら昼前だったわけね……。ふむ、まぁ……たっぷり眠れて良かったってことで納得して、次のことを考えないとね。


「おとうさまとおにいさまは?」

「視察に出ています。お嬢様はゆっくり休んでいるように、と……」


 まぁ、あんなことがあったばかりだものね……。


「ティアナちゃんたちは?」

「部屋で大人しくしていますよ」

「一緒にご飯食べたいな~」


 アメーリエに向かって両手を合わせてウインクすると、彼女はぱちぱちと目を瞬かせてから、ふっと表情を緩めて「旦那様たちには内緒ですよ」と人差し指を立ててウインクをした。

 すっかりぬるくなったお茶を一気に飲み干して、アメーリエに身支度を手伝ってもらうとぐぅ、とお腹の虫が鳴いた。……昼食はいっぱいたべるぞー!

 動きやすいドレスにしてもらい、ティアナちゃんたちのところへ向かう。宿は貸し切りなのか、お客さんひとり見えない。……あ、今がお昼前だからかもしれないけれど……。どっちなのかな。アメーリエが「ここです」と扉の前に立った。わたしが小さくノックをすると、すぐに「誰ですか?」と声が返って来た。


「ティアナちゃんたち、一緒にご飯を食べない?」


 わたしが扉越しにそう誘うと、バタバタと足音が聞こえて、扉が開いた。そこには嬉しそうな笑顔のティアナちゃんと、わたしが誘ったからか驚いた様子の双子ちゃんたちが見えた。


「……あの、私たちがラヴィニア様と一緒にご飯って良いんですか……?」


 おどおどした様子のミーティアが尋ねてくる。だからわたしはにっこり笑ってこう言った。


「大丈夫よ、今ならおとうさまもおにいさまもいないから!」

「……それって見つかったらヤバいんじゃ……」

「平気平気。それに、わたし、あなたたちと話したかったの。アメーリエ、今日は天気も良いし、外で食べるのも良いと思わない?」

「かしこまりました、ラヴィニアお嬢様。用意をして来ます」


 アメーリエはそう言って厨房に向かってくれた。わたしは「中に入っても良い?」と三人に尋ねると、ティアナちゃんたちはこくりとうなずいてくれた。やったね、お昼ごはんが出来るまでこの子たちといっぱい話そう!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ