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「ああ、ごめんね。妹は少し人見知りなんだ」


 兄が柔らかくそう言うと、ティアナちゃんはふるふると頭を横に振った。ちらりと彼女に視線を向けると、彼女はにこっと笑ってくれた。か、かわいい……!


「僕はランベルト。この子は妹のラヴィニア。よろしくね、ティアナさん」


 兄の微笑みにぽっと頬を赤くするティアナちゃんも可愛いな。なんだか微笑ましい……じゃなくて。わたしもしっかりしなくては……。


「先程はごめんなさい。ラヴィニアと申します。ええと、ティアナちゃんって呼んでも良いですか……?」

「もちろんです! えっと、じゃあラヴィニアちゃんって呼んでも良いですか?」

「ラヴィでいいです……よ?」

「じゃあ、ラヴィちゃん!」


 嬉しそうに瞳を輝かせるティアナちゃん。うう、やっぱりかわいい。この子なんでこんなにかわいいのかしら! ……ヒロインだからっていうのもあるけど、女子キャラならやっぱりティアナちゃんが一番好きだったもん、わたし。

 兄の背から出てティアナちゃんに手を差し伸べてみる。すると、彼女はわたしの顔と手を別々に見て、それからぱぁっと満面の笑みを浮かべてわたしの手を取った。ぎゅっと手を握って握手すると、ティアナちゃんは目元を細めた。


「お友だちになってくれますか?」

「もちろんです!」


 わたしがそう尋ねると、ティアナちゃんは目をキラキラと輝かせてうなずいてくれた。そんなわたしたちの様子を、兄が困ったように眉を下げて見ていた。……でも、まさかこんなところでティアナちゃんに会うとは思わなかったよ。


「おとうさま、ティアナちゃんたちと遊んでもいいですか?」

「もうお友だちになったのかい? いいよ、けれどあまり遠くで遊んじゃダメだよ」

「はい!」

「僕は……」

「ランベルト、君はこっち。いい機会だから話をね」

「わかりました」


 兄が父のそばに行くのを見て、わたしたちは家の外に出た。とはいえ、遊ぶってなにして遊ぼう。鬼ごっこやかくれんぼってこの世界にもあるのかな。出てきたのはわたしとティアナちゃん、それからあと三人くらいの子。


「えっと、名前を教えてくれる……?」

「ぼくねー、ルル!」

「リリはリリ!」

「ロロ!」


 ……覚えやすくていいかもしれないけれど、なにゆえ二文字。


「この子たちはね、おばあちゃんが名前をつけたんです。呼びやすくて覚えやすいようにって」


 わたしが変な表情を浮かべたのに気付いて、ティアナちゃんが眉を下げて微笑みながら教えてくれた。確かに覚えやすいし呼びやすいけど……。あれ? でもそれならティアナちゃんは……?

 じっと彼女を見ると、彼女は「ああ」とぽんと手を叩く。


「わたしはつい最近、ここに来たんです」

「え?」

「親戚が私を育てられなくなって……」

「えっ」


 重い話になった……。ティアナちゃんが孤児院にいたのはそういう理由だったのね。


「おねーちゃんはなんていうのー?」


 ルル、と名乗った男の子がくいくいとわたしの袖を引っ張った。気付けばリリとロロもわたしたちのそばに来ていた。わたしはしゃがんで彼らに視線を合わせて微笑む。


「わたくしはラヴィニアっていうの。ラヴィと呼んでね」

「ラヴィー?」

「そうよ、上手ね」


 わたしの名を呼んだルルの頭を撫でると、ルルはちょっとだけ照れたように頬を染めて唇を尖らせた。


「ラヴィー」

「ラヴィー?」


 リリとロロもわたしの名を口にするから、上手ね、と頭を撫でる。ふたりともくすぐったそうに笑った。小さい子ってかわいいなぁ……。なんか見てると癒される……。


「さて、なにして遊ぼう?」

「ここら辺で遊ぶなら、かくれんぼかな?」


 あ、この世界にもかくれんぼってあるんだね。鬼ごっこは……砂利道で走りづらいから、いや、転んだ時に痛いからダメなのかも?


「確かに隠れるところ結構ありそうですわね」


 辺りを見渡すと木々が多かったり、馬小屋があったりするからかくれんぼをするにはうってつけだと思う。簡単に見つかるところじゃないと、大変だもんね。


「……じゃあ、わたくしがみんなを探す役でも良いかしら?」


 わたしはティアナちゃんたちに視線を向けて尋ねた。みんなは一瞬目を丸くしたが、すぐに「いいよ!」と元気に答えてくれた。


「それじゃあ三十数えるから、その間にみんな隠れてちょうだいね?」

「はーいっ!」


 元気よく返事をする三人と、ティアナちゃんはこくりとうなずいてそれぞれ走っていった。わたしは目を閉じてそれなりに大きな声で「いーち」と数え始める。子どもたちのはしゃぐ声を聞きながら、じんわりと胸が温かくなった。

 懐かしい。あっちの世界でも子どもの頃はこうやってかくれんぼをして遊んだりしていた。友だちとだったり、家族とだったり。……そういうのは思い出せるのになぁ。なんで肝心なところが思い出せないんだろうなぁ。


「三十! もーいいーかーい?」

「もーいいよー」


 四人分の声が聞こえてきた。どうやらそんなに遠くには行っていないみたいだ。わたしは目を開けてキョロキョロと顔を動かして辺りを探る。

 よーし、張り切って探しますか!




3月ですね。

まだまだのんびり続きます。

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