厄介な来訪者
自衛隊は立川の記念公園ダンジョン攻略を開始した。レベル9のダンジョンで熊系のモンスターが居るらしいと、レベルはナビが教えてくれたが、スキルで解ると誤魔化した。
ただ、攻略は上手くいっていないとのこと。熊系は銃が効きにくく、20階層主で死者もでたらしく、ダンジョン内では迫撃砲や無反動砲が狭くて使えない。重機関銃などは重く運搬や弾薬補給に問題があり、いまだ膠着状態。
今は俺からのアドバイスで、浅い階層でレベルを上げてから、火器戦闘から槍や刀での近接戦闘もできるようにすることを伝えた。
俺たちも猪系のモンスターが減ったので、近隣の農地を確保するために、建築資材を集めバリケード製作を開始したが、まだ狼系、ゴブリン、ウサギ系、アルマジロ系? などモンスターが居るために、護衛をしながらの作業は中々進まない。重機を使って作業をするとモンスターが集まり、手作業だと効率が悪い。それでも重機でないとできないこともあり、毎日戦闘に明け暮れている。
ただ悪いことばかりではない。なんと我温泉旅館で新しい命が産まれたのだ。館長と恋花と奥様方で取り上げた男の子で母子共に健康だ。産まれた時は皆お祭り騒ぎで喜んだ。それと後2組の夫婦が妊娠しているらしく、俺はこんな時でも命が繋がることを喜んだ。
(しかし、こんなに人が居て、どこでいつ作ったんだろ)
そんな生活を邪魔する者が現れた。
定時連絡でうちを視察したい議員がいると言われ、キッパリと断ったのに、その3日後にヘリでやってきたのだ。
しかも、間が悪いことにバリケード作成作業で外に居たため、会わざるを得ない状況に。
この熱血勘違い議員は戦える力があるなら、ダンジョン攻略を手伝えと、それとここを一般にも解放しろと。
危機を乗り切ったら、国が責任を持って賠償と国から功労賞を出すと、俺は冷たい目で睨み、
同行していた中村隊長に
「こんなことされるなら、二度と協力はしない。うちは国の援助なんか無くてもやっていける。今更国会議員も無いだろ、帰ってくれ」
議員は真っ赤な顔をし
「今は非常時だ、こっちは強引に事を進めても良いのだぞ」
「やってみろ。ただし武力で来るなら、こちらも反撃する」
「強がりを言うな」
「隊長、今後無断で近付くヘリがあれば撃墜する」
「そんなことできるはず無いだろ」
俺はアイテムボックスからスティンガーを取り出した。
「大曽根さん何故、スティンガーを持っている」
「内緒です、これもスキルみたいな物ですよ」
(そんなスキル無いけどね、スキルで手に入れたから完全な嘘じゃない)
議員が俺の拘束を隊員に命じるので
「攻撃するなら、反撃する」
俺はスティンガーをしまい、聖剣を取り出す。俺以外結界内に戻って、仲間は小銃を構え威嚇する。
「大曽根さん落ち着いて下さい、我々は市民の皆さんに危害を加えることはありません」
「でも、そこの勘違い議員はヤル気だぞ」
「こいつらは武装犯罪者だ、逮捕しろ」
「貴方は少し、黙ってください! ここに来るのだって、正式に対策本部の許可を取ったのですか、本部に戻り次第、確認させていただきます」
「軍人風情が、お前らは命令を聞いていればいいんだ!」
(あちゃー、自衛官に軍人風情って言っちゃったよ、隊員の皆さん怒らせたな)
その後、隊長の謝罪はあったが、俺はヘリが近付いてきたら撃墜することは変わらないと伝え、帰ってもらった。
(あぁー、俺もやり過ぎたな。館長がニコニコして、俺を呼ぶが目が笑ってないよ)
それから俺達は話し合い、怒られると思ったが逆に誉められた。雅也があんな口調で話すと思わなかった、普段のほほんとしてるからビックリだよと。
(俺って、皆にどんな風に思われているんだろ)
しばらくは様子を見ることにして、夜の見張りも増やすことに。
俺は嫌な気分をシルバと太陽と雪とじゃれて癒した。
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