新たな武器
ついに道場と診療所の建設が始まった。
まだ、基礎工事しかしてないが、本格的に始動した感じがする。
それと、稽古も2週間に1回になり、門下生はスケルトンダンジョンでレベルアップ。
俺と彼女たちは近場で攻略できそうなダンジョンの攻略を始めた。
順調に進んでいるように感じたが、問題は多い。一番の問題が武器だ。
ゴーレムのダンジョンで、木と土と石のゴーレムまでは何とか倒せたが、金属のゴーレムは大剣で何とか倒せたぐらいで、槍や弓ではほとんど効果が無かった。
聖剣のような武器が手に入れば一番良いのだけれど、未だに手に入るのはスケルトンが持つ剣ぐらい。
そこで、俺は新たな武器を製作することにした。
長老と長老の知り合いの、引退した刀匠が指導してくれることに。
まずは、ナビの指導でモンスターの角や骨や魔核やスケルトンの持つ剣を鋼に練り込み、柔軟で硬質な金属を作ることから始めた。
鍛冶師のレベルも上がり、鍛冶スキルも増えているが、スキルがあるからといって簡単にできる物ではなかった。
それでも、ナビのお墨付きが貰える金属ができた。
金属を作るだけで1週間掛かり、俺は苛立ちを覚え焦っていた。師匠たちに嗜められながらも作業に没頭した。
やはり、実際に刀を打ち始めると失敗ばかりで、俺の心が折れそうになる。
そんなある日、2人の人物が俺のもとにやってきた。
見かねた刀匠がお孫さんの姉弟を呼んだのだ。
石川 椿さんと石川 刀士さん
ツバキさんは珍しい女性刀匠で、年齢は秘密らしいが、トウジさんが27歳で、姉が3歳年上と、教えてくれた。
それでも、未知の金属で刀を作るのは困難を極めた。
光明が見えたのは、レベルアップのために姉弟とスケルトンのダンジョンに来てる時だ。刀士がスケルトンの砕けた骨を見て、これも使ってみようと言い出した、椿さんは気持ち悪いと反対したが、軽いのりで刀士は無視。
それから試行錯誤するも、満足する物はできなかった。
しかし、刀士が軽いのりで刀を打つ時にスケルトンの骨の粉を刀に振りかけた。
椿さんが怒って喧嘩になりそうになるのを宥めつつ刀を打つと、今までと違う波紋の浮かび上がった刀ができた。
それを今までに無い切れ味で、最終試験の鉄パイプを斬ることになった。
試し切りをするのは長老で、俺たちは祈るように見ていた。ゼンマイで動くように長老が鉄パイプの前に構え、空気が変わる。
俺は唾を飲み込み、長老を見つめる。
長老の動きは速くスムーズに刀を振るった。刀は鉄パイプに吸い込まれるように鉄パイプを切断。
誰も声も上げず、ただただ長老を見ていた。
「なんじゃこれは」と長老が叫ぶと。
辺りの時間も流れて始め、刃毀れしてないか刀を確認するが、刀にはキズ一つ無い。
俺たちはついに新たな強化な武器を作った。建築に来ていた職人が引くくらいに喜んだ。
椿さんが何か長い名前を付けたが、刀士は斬鉄刀と叫び、椿さんの付けた名前はどこかに行ってしまった。
刀士の足をガシガシ椿さんが蹴っていたが、俺は見ないことに。
それから、俺たちは刀を打ち、11本の刀を作り、刀匠が鞘と柄を作ってくれた。
俺は刀匠の3人にここに残ってくれないかと頼むも、彼らは自分たちにも守る家族や弟子が居ると言って帰っていった。
勿論、材料を渡し、向こうでも作ることにすると誓い別れた。
それから、作った刀を新撰組に見せると、鉄パイプを試し切りしだして、終いには建築現場用の単管パイプまで切り刻み、職人を怒らせた。
(本当に脳筋どもに斬鉄刀を持たせて大丈夫か?)
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