予兆
年も明け数ヵ月、春めいた陽気の縁側では産まれたばかりの秀鬼と妃鬼の子、雅鬼を俺はびひりながら抱っこしていた。
お腹に赤ちゃんの居る彼女たちも可愛い赤ちゃんにメロメロで有る。
産まれた赤ちゃんにはまだ角は無く、乳歯が生える頃一緒に生えてくるそうだ、今は人間の赤ちゃんと代わらない姿で愛嬌を振り撒いている。
その頃、勇者一行は勇者裕美の地元盛岡で一緒に過ごしていたが、次第に日本との環境の違いに戸惑いより不満を募らせていた。
なにが不満かというと宗教感だ、元々唯一の神を信仰していたところ、日本ではクリスマスはキリストの誕生を祝い、お正月は神社で別の神に祈る節操の無さを受け入れられないでいた。
しかも何故か自分たちが信じる唯一の宗教マウリカ教は受け入れられない、異世界の女性の勧める宗教ということで、最初は人も集まり日本でマウリカ教の布教をしていた。
しかし、一部の熱心な者以外ほとんどが教義より、自分たちを偶像崇拝するマウリカ教の教えとは程遠い状態で頭を抱えていた。
次第に帰れないならいっそ自分たちで日本にマウリカ教の国を造りだそうと動き出すので有った。
しかも、日本で育った勇者裕美には、勝手に異世界に拉致した国の宗教など信じるはずも無く次第に勇者との溝は広がるばかりだ。
政府も異世界からの訪問者をただ黙って放置するはずも無く、公安をマークさせていた。
「奴さんは日本で大人しくしていてくれたら歓迎するが、今の日本は面倒ごとに構って居る暇は無いからな」
「確かにもう2度と宗教で失敗できないですからね」
それでも日本は徐々に人間が住めるエリアを拡大させ、元の生活とまでいかないまでも普通に食事もできるようになり、市民から笑顔が見えるようになった頃、またもや世界に新たな異変が忍び寄っていた。
自衛隊の哨戒機が緊急事態に陥っていた。
「機長、GPSも無線も繋がりません」
「観測員はなんでもいいから、なにか無いか観測してくれ。コンパスを使い基地に戻るぞ」
機長はなんとかコンパスを使い飛んでいた。
「前方2時の方向に陸地です」
「無線は復旧したか?」
「まだです」
「観測員は地形からここがどこなのか確定してくれ」
海岸沿いに飛行して居ると、地上に街が見える。
しかしその街は地球で見るどの街とも違い、城壁に囲まれた街だった。
観測員は写真に撮り、隊員たちは次第に異世界に来てしまったと思い始め、機長は着陸できる場所を探していた。
しかし、急にエアポケットにように高度が下がる、慌てて機長は機体を安定させると、観測員が叫んだ。
「地面が消えて海に」
「機長、GPSが回復しました」
乗員たちは夢でも観ていたのか、しかし写真には城壁の有る街が写っていた。
同時期世界中で重力異常が発生していた。
自衛隊は偶然帰ってこれたが、アメリカでも潜水艦が行方不明になったり、日本でもオーストラリアから鉄鉱を運ぶ船が行方不明になる事件が起きていた。
事件が起きてから12日後、更なる重力異常が起きた。
重力異常がおさまると、地球上の3ヵ所で次元の裂目が現れた。




