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ストロベリームーン  作者: 杏樹かおり
2/2

ストロベリームーン(2)

酒を数本とつまみもカゴに入れ、レジのホットフードコーナーでから揚げを頼む。

無表情で「いらっしゃいませ。」も言わない化粧もせず眉毛もない明るい髪の女の子が、けだるそうにピッピとバーコードに機械を当てていると雑誌を手に取った瞬間、私の顔をちらりと見た。

上から下まで素早く見て、黙って酒とから揚げと同じ袋に雑誌を入れる。

「ちょっと!冷たいものと熱いものを一緒の袋に入れるのもどうかと思うけど、お酒の水滴で濡れちゃうじゃない!そんなことも分からないの?」

そういうと、けだるそうな顔の眉間にしわが寄り、黙って袋を飲み物とつまみとから揚げと雑誌すべて別に入れ替え「ありがとうございました。」と投げ出された。

どうしてこんなことが分からないのか。どういう教育受けてきたのかしら。とイライラしながらさっきより早足で帰る。

あー、もういや。ついていない時はなぜかとことんついていないものだ。

こういうときは早く酒を飲んでブルーレイ(優馬)を観て寝るに限る。

そういえば、雑誌のテーマは何だったんだろう。あの小娘が私のことを少なからず興味を持ったテーマだ。

立ち止まり袋から出して見てみると、可愛い優馬のほほ笑みのそばに「男の子が好きな女の子!夏本番ダイエット特集!」大きく目立つように書いてあった。

そりゃ、あの小娘も私のことをじろーと見るはずだ。

ダイエットもするような食生活でもなければ、女の子という歳でもない。最近老眼にもなり目が見えにくいので眼鏡もかけている。

結局自分が自分のことを一番よくわかっている。45でもまだ女を捨てていない人はたくさんいる。もともと老け気味の顔だからって体型や化粧も雑にするのはなにもかも私の言い訳だ。それでももう自分を高めるきっかけはないのだ

ふんッとため息をつきゆっくりと歩く。

緑が綺麗なイチョウの木が並んでいる歩道を歩き、家の前に着いた。

一応、女性の一人暮らしなのでオートロックの完備のマンションに住んでいる。一体これがどれほど犯罪への効果があるのかは知らないが、住んでいる側の安心感はあるだろう。

入り口のホールでエレベーターを降りて来るのを雑誌をめくりながら待ち、KOTAのライブの日にちを思い出しながら優馬のほほ笑みを見ていると、ポンっと音が鳴りエレベータの到着を知らせた。

そそくさと雑誌をレジ袋に直し乗り込もうとするとギョッとした。

「人が座ってる・・・。」


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