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世界って難しい  作者: villa
第一章 始まり編
2/4

1話 新しい世界に送りました

 ・・・ここが、新しい世界?


 彼女のいる世界。それは何もない空間だった。

 動物も植物も物質も。命の息吹どころか、地面すらない。

 それでも彼女は落ち着いている。

 長く眠っていた彼女は、他の世界の姿を知らないからだ。


《あー、あー聞こえる?》


 ふと、彼女に語り掛ける声が聞こえた。

 声の主はベルベット・アーネス。この世界の創造神である。


(聞こえていますよ)

《そうか、よし。今から君がこの世界ですることを教えるよ。

 前にも言ったように君にはこの世界の管理をしてほしい。》


 ベルベット様は、一体どこにいるんだろう・・・?

 不思議な感覚だなぁ。


《なぁに、50億年ほどした世界にいる生き物でもできることだ。君なら余裕だろう。やることはたったの二つ。一つ目はこの世界を見守ること。二つ目は世界に要素を追加すること。必要最低限のものは君のカバンの中に入っているはずだから、確認しておいてね。》

(わかりました)

《それでは、また3か月後に会おう》


 その言葉を残して、通信は途絶えた。


 さてと、まずはカバンを確認しなくちゃ。

 カバンを開いてと。中身は・・・ノート?

 何に使うんだろう?中は・・・ん、何か書いてる。

 とりあえず読んでみよう。最初のページは、と。


 パラパラ


【Вочтовдолжны делать и о вс. Сачаа вы должны проитать до 2 страниц】


 読めないや。ベルベット様、ご自身で編み出した言葉で書いてる・・・どうしよう?

 読めるようにならないかな?


 縦向きや横向きに読んでみたり、逆さまにしてみたり。ベルベット様に助けを求めたりもした。

 ベルベット様こないし・・・やっぱり文字が読めない!

 うーん、どうしよう。初めからつまずいちゃったなぁ。

 

 少女は悩んだ。5秒くらい悩んだ。


 考えても始まらない!とにかくやるだけやってみよう!



 5分後


 彼女は荒い息を立て、汗だくになっていた。


 あれから本を叩いたり蹴ったり投げたり、凝視してみたり、心の目で見ようとしたりした。それでもやっぱり本は読めなかった。


 パタン


 なんでベルベット様はこんなものを与えられたのだろうか?

 ここまで何もできないと、もう何もできないんですけど。


「ベルベットサマーーー!!!」


 叫んでみたけど・・やっぱりだめか。

 ええい、読めろ!読めるようになってよ!本さん!


「ヨメルヨウニナレェェェ!」


 カァァ──────


 え、なに、光った?

 本は無事?


 恐る恐る本を手に取り中を確認した。

 すると、本には先ほどとは違う文字が浮かんでいた。


【つまり、君はこの世界を・・・】


 やったー!読める。読めるよ!

 ばんざーいばんざーい。

 早速読んでみよう。


【ここには、君のするべき事と君自身についてが記してある。最初は2ページまで読んでくれたらいい。】


 ペラ


【まず初めに、君の初めの役割についてだ。資料1を見てくれ。】


 ─資料1───────────────────

 ・ダンジョンを作る

 1、地形作成

 2、エネルギー作成

 3、ダンジョンコアの設置

     ・

     ・

     ・

 10、村を作成

 ──────────────────────────


【おそらく、これだけでわかるはずだ。世界を見たことはないといえ知識としては頭に入っているはずだ。】


 なるほど、それを作っていけばいいんだね。これが、"要素の追加"と。

 でも、どうやって作っていけばいいんだろう?

 次のページを見ればわかるかな?


 ペラ


【次は君の能力についてだ。まず、右の資料2を見てほしい。】


 ─資料2───────────────────

 ・創造

 ・破壊

 ・(空白)

 ──────────────────────────


【これが、君の能力だ。まず"創造"についてだ。次の言葉を声に出してほしい。】

 ・私はスマートに喋れる


 私は声に出してみる。


「ワタシハスマートニシャベレル。」




 なにか、変わった?

 ええと続き続き・・・


【どうだろうか、おそらく君の体が一瞬光ったことと思う。心配しなくても何ともないはずだ。それに初めだけだから、気にしないでいい。早速だが、私を呼んでみてくれ。】


 彼女は言ってみた。


「ベルベット様ー」


 あれ、声、変わってる?

 なんだか、滑らかに喋れたような・・・

 もう一回。


「ベルベット様ー!」


 おお、カタコトじゃない!すごい。

 ベルベット様は来ないけど。

 それはそれとして、続き、、


【どうだい?喋り方が変わっただろう?これが、創造の力。口にしたこと全て・・を創り出す力だ】


 なるほど、本が光ったのは、最初に読める文字を創造したからだったんだね。

 それにしても便利な力!あとで、色々試してみよう。

 続きは、


【次に破壊の能力だが、2ページはここまでだ。破壊の能力は今すぐ知らなくてもいいだろう。】


 なるほど、じゃあいいか。

 さて、どうしようかな。

 うーん

 特にやっちゃいけないことって無かったはずだし、まずはやりたいことをやっちゃおう!


 まず一つ!自分の姿の確認!

 得体のしれない自分の体っていやじゃん?

 えーとどうしたらいいかな・・・そうだ。


「鏡をここに設置」


 でんっ

 

 一瞬で鏡が彼女の目の前に現れた。


 おふ、ノーモーションでいきなり出るのか。なんか心臓に悪いな。

 んじゃあ早速確認。


 ほほぅ・・・人の姿をしているね。身長は100cmより少し低いかな。


 鏡には、ぶかぶかなローブを羽織った少女の姿があった。

 とてもかわいらしい姿である。まだ幼いが、このかわいらしさは反則級だ。

 でも、なぜだろう。まったく愛しさを感じない。

 

 「イエーイ!」


 元気な声を上げて、鏡の前でポーズをとってみる。

 ・・・ただぼーっとしているときと比べていくつか良くなっただろうか。

 

 だめだ、変わらない。なんだろう、何か人として一番大切なものが抜けている気がする。


 


 「まあいっか♪」

 

 そう楽し気に呟く少女の顔には、全く表情がなかったことに彼女はまだ気づいていない。






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