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6 貴族は、スマートな根回しができて一人前だろ?

ふと、目に付いた評価とブクマ数に「いつの間に!!」とガクブルしております。

皆様の反応を気にすると何も書けなくなりそうなので、完結までは評価・感想を見ない事にしました(笑)


説明会の会場では、一番に俺から新入生へ歓迎の挨拶をする事になっている。

壇上から見渡すと、ピンクや紫、赤青黄色と色とりどりの髪が見え、さながらパンクバンドのライブコンサートのようだった。


これって、「行くぜ!オラ!!」とか言ったら皆、ヘッドバンキングやってくれそうだよな……


挨拶の言葉を述べながら、そんなどうでもいい事を考えていたら、ビッチを見つけちまった。

その存在に気付いただけで、無意識に眉が寄ってしまう。

出来るだけ視界に入れない様にしなければ……て、言うか俺にはアレは見えない。うん、何も見えない。


必死で自己催眠を掛けて、精神の安定を図ろうと思うのだが、さっきの事を思い出すと、どうしても腹が立ってしまう。

あの時、もしアンジェリカが怪我でもしていたら、タダじゃ済まさないところだ!

しかも、かなりいい雰囲気の時に降ってきやがって! わざとじゃねえだろうな?


………まあ、ダニエルがあの場にいたんだから、わざと俺の上に降ってくる事が100%無いのは、わかってるんだけど、な……

ダニエルのスペックは、あの“あ◯まで執事”に通じる所があるしな。


頭の中ではくだらない事をグダグダと考えながら、表情はにこやかに挨拶の言葉もそつなく述べていく。

何とか笑顔で挨拶を終えた俺は、一旦自室へ戻る事にした。

ダニエルに確認する事と頼みたい事が、山程あるんだよ。


「ダニエル、チョット頼みがあるんだが」

「どう致しましたか、殿下?」


自室に入って直ぐにどこへともなく声をかけると、ダニエルが音もなく背後に現れる。

うん、もう慣れたよ?


「アンジェリカ様は、特に傷も痣も一つも無かった様でございますよ。唯、殿下の気持ちを考えて、本日はお部屋で過ごして頂いております。」

「そうか……」


流石ダニエル。

何も聞かずとも、俺が一番知りたい事はわかっている様だ。

アンジェリカに怪我が無かったと聞いて、俺はかなりホッとした。目視で見える範囲の確認はしてたけど、それでもヤッパリ心配だったんだよ。

大きなため息を吐きながら、ソファーセットにドサリと腰を落とし、伸びをするように背中を伸ばしながら両手を組んで目の上に乗せる。

すると、ソファーに座った俺の前に、ダニエルが何処から出してきたのか、紅茶を差し出してくれた。


……手品ですか?


まあ、これもダニエルクオリティだなと思いながら、出された紅茶を飲む。

そうして一息ついてから、脇に控えているダニエルに視線をやった。


「小さめのブーケをピンクのチューリップとかすみ草で作って、届けておいてくれないか?今日は、お見舞いに行けそうにないから、その代わりにって伝えておいてくれ」


現在の最重要任務をダニエルに依頼しておく!


「承知致しました。」

「それから、ローン男爵の所を探ってくれないか?男爵が、どうしてしてあんな躾もなっていない様な令嬢を急に手許に引き取って、学園に入学させたのかが気になる。」

「承知致しました。」

「後だな……」


従順に返事を返してくれるダニエルに、耳を寄せる様に指で合図を送ると、スッと俺の口元に耳を近付けてくる。


「近々、……………ってな事になると思うから、その積りで対応しておいて欲しい。それから十五日後位には、…………………で、その後…………………だと思うから、関係各所に伝えて準備を進めておいてくれ。」

「承知致しました。……しかし殿下、まるで預言者の様ですね?」


ゲーム内容からの予測で、今後起こる事への対処を根回しをしておくことにする。その為、未来に起こるだろう事をダニエルに簡単に伝えたんだが……。

ダニエルは俺を見て、何か含みのある瞳を細めて艶然と微笑んでいた。


こわっ!!





今日1日は、新入生のための特別カリキュラムとなっている為、俺たちには講義が組まれていない。

2・3年生は、休日扱いになっているのだ。

なので俺は、校舎内に用意してもらっている執務室で公務を行う事にした。


例え全寮制の学園にいても、公務からは逃れられない。視察などに行けない分、鬼の様な量の書類が週4で学園に届けられる。

机の上に積み上げられている書類にうんざりするが、出来る時に片付けておかないと、ドンドン書類が増えてくる。逃げられないなら、早急に片付けておくべきだ。


俺は、書類に目を通しながら、ゲームの出会いイベントを思い出してみた。

確か、今日は後3つイベントが起こるはずだ。ヒロインと攻略対象達の出会いイベント。

今年、入学してくる伯爵家次男ヒューイと、俺の一つ年上の伯爵家長男のダグラス。あとは、この学園の教師ブラッド。

明日が隣国の第5王子ヘンリーと、同じく隣国の公爵家次男ジャッキー。合間でロバートとの、今後、他の対象者の攻略難易度を左右させるミニイベントが入るうえ、さらに数日かけて各攻略対象と偶然の逢瀬を重ねながら、親密度を上げていく。

この逢瀬の中ではラッキーすけべも多発し、その効果で親密度が爆上がりするキャラもいるのだ。

そう、ロバートのように……。


こうやって思い出してみると……。

……どこの大企業社長のスケジュールだよ? って感じだよな。


ほんっと、ビッチは努力家だ。それだけは間違いない!


俺も明日、2回程会うはずだよな、確か。しかも一回はアンジェリカが一緒にいる時にだ。

なら俺の明日の目標は、『アンジェリカを不安にさせない』と『ビッチに合う場所には近付かない』だな!


アンジェリカの方は、今日の薔薇とブーケに託した思いを読み取ってくれていれば、俺の気持ちは解ってもらえるはずなんだが……。

薔薇は俺にとっての彼女そのもの、ブーケは彼女に対する今の気持ち。

彼女の中で俺の存在が育って行く毎に、花を送ろう。ドンドン重くなる気持ちを背負い、俺から逃げられなくなるように……



俺は、昼食もソコソコに馬車馬の様に仕事を全て終わらせると、早々に自室に戻った。

これで2日は仕事もなく、空いた時間の全てを彼女に使うことが出来る!


ゲームでのカイルは「書類なんかより君と過ごす時間を大切にする方が、必要な事なんだよ」なんてアレなセリフを吐いていたけど、俺には無能な奴の言い訳に見えたね。

だって自分の立場を考えたら、そんな事絶対に言えないだろう?

ビッチならあのセリフでときめいても、アンジェリカなら愛想を尽かされるだろう。

俺は、彼女の前ではいつもカッコよくありたいと思っているんだ。その為の努力は惜しまない! 惜しむつもりもない!!


……何時迄も彼女の憧れであり続けたい。そして、それ以上に愛されたい。

そう思うから、自分に出来る最大限の努力を自分に科すつもりでいるのだ。





彼女の愛を確実に手にする為、俺は一人、明日の計画を考えるのだった。

セバスチャンってそっちかよ(笑)

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