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プロローグ

続編開始します!



俺は最近、とても酷い目に遭った。


長い夏休みの全てを、妹の恋愛シュミレーションゲーム攻略に付き合わされ、昼ドラの様な……いや、一昔前の韓流ドラマのようなトンデモ設定と展開にげんなりさせられた。

そんな苦行の日々ともおさらばだと、少々浮かれた様な気分で夏休み明けの朝、大学へ向かっている途中にトラックに撥ね飛ばされた。「あ、これ死んだな」なんて思っていたら、休みの間ウンザリするほど妹に付き合わされた乙女ゲーム『君の為に全てを賭けて』の世界に転生してしまったのだ。


今ネットで流行りの『乙女ゲー転生』ってやつだな。


あ、今『死なずに人生コンティニューできてラッキーじゃねぇか』とか思っただろ?

でも実際にゲーム世界に転生なんてしたら、とんでもねぇぞ?


ゲームの世界なんて、どれもこれも元々の世界設定が『とんでも』な物ばっかりだし、現代日本の常識なんて全く通用しない事の方が多い。

しかも『乙女ゲーム』なんてものは、ヒロインの気持ち・行動一つでいく人もの未来が簡単に変わる、凄く不安定なものだろ?

まあ、ゲームの“シナリオ”としてある程度の未来が解っている分、自分の望まない未来を回避する為に行動できるって所は助かるんだけど、な。


それでも、RPGならエンディングまでのシナリオが決まっているけれど、恋愛シミュレーションだと其々のキャラクターに合わせて、数種類のシナリオが存在するのが普通だ。

ヒロインがどのルートを選んで、どのエンディングに進むかで、登場人物の未来が大きく変わってしまう。ヒロインは、攻略対象の誰を選んでも選択肢さえ間違えなければ幸せになれるんだろうけど、こんな貴族社会を舞台としている世界でそれなりに有力な貴族の子息に婚約者が居ない訳がない。

ヒロインが選んだ攻略対象に婚約者が居た場合、ヒロインの幸せは、その婚約者であった令嬢の不幸の上に成り立つって事だ。場合によっては、それぞれの家を巻き込む事態になるんだから、生じる面倒事はとんでもなかったりする。


そして俺は、そんな世界に“神が建国した”と伝えられている宗教国の『皇子』として転生してしまったわけだ……。しかも、攻略対象として、だ。


この時点で、ヒロインによって人生振り回される事が決定だろ?


さらに、子供時代に転生するならまだしも、最悪な事に俺は、ゲーム開始の前日に転生してしまったんだぞ?

俗に言われている『憑依転生』ってやつ。


あれにはホンキで参った。ゲーム開始前日に転生って、何の準備もできず、今一世界にも馴染んでいない状態で、何が出来るって言うんだ?

あまりの事態に混乱しているからか、ゲームの内容も詳しく思い出せていないんだぞ?


どれだけ鬼仕様なんだよ?


って、思ったね。

そしてその思いは、攻略対象達の詳しい経歴を思い出すほどに強くなっていった。


だって、ゲームを見ている頃から思っていた事なんだが、このゲームの攻略対象はバk……残念な奴ばかりなんだ。

しかも、そんな奴らの中に、将来の側近候補が3人もいたからさぁ大変。

俺は必死で、奴らに高位貴族としての立場を理解させようと、頑張った!

俺の努力の甲斐あって、何とか1人は更生に成功したけど、後の2人はどうにもダメだった……。


まあ、1人の更生に成功しただけでも奇跡的! 良としないとな!

っていうか、あとの2人はゲームとか関係なく、国の中枢に据えちゃダメなタイプの人間だったから、結果オーライって言えばそうなんだけどね。


でもまぁ、そんな風に俺がゲームシナリオから逸脱した行動を取っていたせいか、それとも変なゲーム補正が働いたのか、俺たちは何度も危険な目に遭う事になったんだ。


俺ってば、乙女ゲーム世界の筈なのに、何故かホモよりの変態に次々と目を付けられてしまうという、とんでもない目に遭った。

あの時の事を思い出すと、今でも尻を隠したくなってしまうぐらいだ。今、こうして平和な学園生活を送っているのが、奇跡だと思ってしまう。


俺がこんな目に遭っているというのに、未だにこの世界でめげずに頑張れているのは、ひとえに婚約者であるアンジェリカがいるからだ。彼女はゲームの設定上で言えば、ヒロインのライバル兼お邪魔キャラ――悪役令嬢と呼ばれる立場の存在で、尚且つ俺の婚約者なのだ。

確かに気が強くて貴族としての矜持をもつ彼女は、その見た目もあってヒロインにとっては疎ましい存在だと思う。でも、ゲームの中で彼女がヒロインに言っていた事っていうのは、「婚約者のいる男性との付き合い方をもう少し考えろ」という様なことや「貴族としての立ち居振る舞いを身につけろ」という様な事を、少々のイヤミを交えたようなものばかりだった。彼女の言っていることは、どれも正論ばかりでありこの世界の常識に合わせたものばかりだったんだ。

そりゃあ、確かにキツめの美人がイヤミを交えて攻略対象との親密度を上げるイベントに水を差すような事ばっかり言ってくるわけだから、ヒロイン目線に立てば嫌われるのも理解できるよ? でも、“悪役令嬢”っていうのは違うだろ。


まぁ……、ようするに俺は、ゲームを見ている時から彼女に対して好感を持っていた訳だ。そんな俺がこの世界に来て、直接彼女と接したら…………。

あまりにも好みドストライクな見た目と中身に、すっかりやられてしまった。

うん、一目惚れみたいなもの?

そんな訳でアンジェリカに本気で惚れてしまった俺は、彼女との幸せな未来の為に、この世界で生一杯生きて行こうと決めたんだ。


まぁ、俺の知っているゲームの方は、ヒロインがルートを確定させてくれた事で、終了したと思っている。

後はこのまま卒業まで、のんびりとした学園生活を楽しめれば良いと思っているんだが……。

一体、どうなることやら……。


本日はもう一話投稿。


2月中は、毎日投稿致します!

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