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41 え?俺えぇぇぇぇぇえええ!?

新展開です。

きっと予想してた方もいる筈。

翌朝には、ヒューイは学園からいなくなっていた。


伯爵家としても、ヒューイが俺に敵対している様な現状には困っていたのだろう。俺からの提案に、直様飛びつき、昨夜の内にヒューイを迎えに来たのだ。


入学してまだそれ程時間も経っていないというのに、格下の男爵令嬢に入れあげて婚約を破棄したあげく、皇子に敵対するグループに所属しているなんて、ウッドロイド伯爵家にとっては、今後の自分達の立場が危うくなる。

本来なら伯爵家は、家名を守るためにヒューイを伯爵家の籍から外し、社交界からその存在を消す位の対応が必要だった。しかし、俺がそれを望まず、再教育のチャンスを示したのだ。

ヒューイがあんな風になる迄、甘やかして可愛がっていた伯爵夫妻は、一も二もなくそのチャンスに縋り付いてきたわけだ。あいつを甘やかす両親から離す事も、今回の計画の一部なのだ。


しばらくアイツの顔を見ることも無くなる訳だが、その間にアイツは自分の立場とか態度を見直す事が出来るのだろうか?

甘えを許される環境から離れる事で、少しは成長できれば良いんだけどな……。




食堂に行くと、ヘンリーが近付いて来た。

その歩き方は優雅さを演出しているようで、ゆったりしたものだけど、表情は夜叉の様になってる。


こっわ。

朝からブチ切れって、ある意味元気だよな。


ここって、アミティー島だったけ?

バックでパニック映画のテーマソングが聞こえる気がする。突然噛みついてきたりしないだろうな?


「やあ、カイル殿。君は本当に卑劣な人間だね」


パニック映画も真っ青な位の迫力で近付いて来たヘンリーは、若干肩透かしな程チンケな言葉をぶつけてきた。

やっぱり、漂う小物臭がハンパ無い。

何だろうね。一体何がしたいんだ?

意図が読めなくて、ヤツの顔を見つめたまま首をかしげてしまう。

何か返事した方が良いのか?無視するわけにはいかないよな……。

じゃあ、挨拶で良いか。


「やあ、おはよう、ヘンリー。今朝も最高に不機嫌そうだね」


余裕のある所をアピールするためにも、笑顔はしっかり装着。ジャブ程度の嫌味をトッピングして、「君は朝食はもう済んだのかな?それなら、紅茶でも入れようか?」なんて社交辞令も返しておく。

まあ、間違いなく怒って断るだろ事も、見越して誘った訳だが………。


「では、頂こうか。卑劣な君の手口を知る、良い機会だからな!」


なんて言って、俺の正面の席にドッカリと座ってしまったのだ。

席に着いたと同時に、ダニエルが紅茶を淹れてヘンリーの前に置く。

……なんか、ヘンリーの耳、赤くなってない?俺の気のせいか?


ん?

何、この状況。

思わずダニエルに目をやると、何とも楽しそうに微笑わらってらっしゃる……。


嫌な予感満載ですよ?

え?ウソでしょ!?

きっと、俺の考えすぎの筈。うん、間違いない。


「やあ、カイル、おはよう。今朝は珍しい組み合わせだね。僕も一緒に朝食を摂らせてもらっても、良いかな?」


俺が密かに挙動キョドってると、救いの神が現れた!

ルイスお前、魔王様のくせに神としての活動もしてるとか、中々アクティブだな!!


「モチロン!一緒に食べよう。直ぐにダニエルにお茶を淹れさせるよ」


俺は内心の動揺は押し隠して、優雅な頬笑みを浮かべてルイスを朝食に誘う。

ルイスは、チラリと不審な者を見る様な視線をヘンリーに向け、俺の左隣の席に座った。昨日のヘンリーの暴挙を考慮して、ヤツの利き手側に座ってくれた訳だ。ホントに抜かりの無いヤツ。

ルイスが席に着くと同時にダニエルがお茶を出し、ルイスがそれに口をつけている間にドガーが朝食を並べていく。


ルイスの俺に対する気遣いが嬉しくて、ありがとうの気持ちを込めてお茶を楽しむ彼に、笑顔を向ける。

ルイスも「解ってる」ってな感じに、軽く肩を竦めて答えてくれた。

幼馴染で親友ってな立場なだけあって、俺達ってあんまり言葉にしなくても、そこそこ意志疎通できるんだよな。

だから、他の人がいる時は結構気を使う。目の前で、空気で会話されたりすると、疎外感を感じるだろ?

今回も「やっちまった!」と思って、そっとヘンリーの様子を覗ってみたら、睨み殺しそうな瞳で、ルイスを見てた。


………………。

確定、か……。

自分が睨まれている事に気付いたルイスも、気の毒そうな表情で俺を見る。


やめろ!同情はいらん!!

本当に気の毒と思うなら、代ってくれ!!!


なんで、ブラッドもミシェルもいなくなったのに、BLルート発生してんだよ!!

あれか?ミシェルを逃がしたせいで、代りに俺の監禁凌辱ルートに突入したのか!?

それとも、『ミシェルがヘンリーの前から姿を消す』という行動が、俺とヘンリーをカップルとして成立させるためのBLルートのシナリオだったのか?


マジで、何が切っ掛けだったんだ?

あんなに俺の事嫌ってたじゃないか!?

殴りかかる勢いで迫って来たのとか、つい昨日だぞ!?

ヘンリーの行動が不可解すぎる……。



今朝の朝食は、何も味がしなかった。取り敢えず、何とか咀嚼して飲み込んで、逃げる様にその場を離れた。

……その日の講義は、殆ど頭に入ってこなかった。


放課後、いつも通りにカフェテリアへ行くと、アンジェリカ達はまだ来ていなかった。

いつものテーブルで待つつもりで、移動していると、ふと視界に気になるシルエットが入ってきた。

それは3人がけのソファーに座るヘンリーだったのだが、その格好が……。

片腕をソファーの背もたれに掛け、もう片手でシャツの襟元をくつろがせて、足を組んでいる……。


俺、あれ知ってる……。

前世でネットサーフィンしてる時に、何回か見かけたやつだ。服装は違うけど、もう、それにしか見えない!

なんか、幻聴も聞こえる。


あれはダメだ!マジでダメなやつだ!!


見なかった事にしよう。そんで、アンジェリカ達が来たら直ぐにここを出て、久しぶりに中庭デートをするんだ!

薔薇園がある方の中庭に行こう!!

あそこには、確か、カップルのための素晴らしいジンクスがあった筈だ!!

少し4人でお茶を楽しんだら、その後二手に分かれてイチャイチャしよう!!!


た、楽しみだなぁ!!

この後のデートの事だけ考えようぜ!

胸の悪くなるような事は、想像するな、俺!!

アンジェリカの可愛い姿と仕草を思い出すんだ!あのデートの時に見せた、アンジェリカのキス待ち顔を思い出せ!!

次にあの顔をされたら、どうするのか。今はその事を考えるんだ!!



俺はあまりにもうろたえ過ぎて、アンジェリカ達がやって来るまでに、3回も紅茶を零してしまい、


「殿下、落ち着いて下さい。あまりに怯え過ぎるのも、却って相手の気持ちを煽ってしまいますよ?」


と、更に挙動不審になるような苦言を、ダニエルから頂いてしまった……。



でも、やっぱり俺はホモに狙われるのは、スゲー怖い……(ガクブル)

すいません。調子に乗りました…。


ネタ元の解らない人にも、ホントにスミマセン。

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