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39 彼女はツンデレ属性だけど、俺はツンな彼女を知らないんだよな

ちょっと糖分補給。

ロバートってばもしかしたら、自分が学園に戻ったら、何事もなかったかの様に以前と同じ生活が戻ってくると思ってたんじゃないだろうか?


今までも、貴族としてはなかなかな失敗を繰り返してきたけど、そのせいでジェシカに愛想を尽かされるなんて事もなかったし、影でルイスが暗躍してくれてたお陰で大きな問題になった事はなかった。

だから今回の事も『婚約破棄』とはなったものの、ジェシカは当然の様に自分を受け入れてくれて、元に戻ると思ってたんじゃないかな……。ひょっとすると、後継から外された事さえも、『一時的な事』と捉えていた可能性もある。

だとすれば学園に戻ってきたのも、侯爵夫人がロバートに対して荒療治的に、自分の立場を解らせようとしたのかもしれないな……。


俺はそんな事をかんがえながら、ロバートの哀愁漂う背中を見送っていた。

すると、やけに攻撃的な視線が向けられている事に気付いてしまった。

視線の元をチラリと盗み見れば、予想通りそこにはヒューイとヘンリーが。


うん。解ってたよ。

そして、そこにいるなら、ミシェルの取り巻き仲間として、ロバートに声位かけてやれよ……。

ヒューイなんて特に。幼馴染なんだしさぁ……。


ヒューイは単純で、うるさい事を言わないロバートの事を気に入っていて、兄の様に慕っていた筈だよな。

昔は良く、俺やルイスも一緒に4人で剣の稽古をしたりしていた。脳筋バカなロバートに俺たちが勝てる筈もなく、何時も負けてばかりの俺とルイスに「そんな事じゃ将来、ロバート兄様に守ってもらうしか無いですよ!」なんて生意気な事をほざいて、ロバートに懐き倒していたくせに……。

今のその、横を通り過ぎるロバートを見る、ゴミでも見る様な視線は何なんだ?

絵に描いたような、見事な手のひら返しだな。


まあ、ヒューイには俺から最後の嫌がらせ(プレゼント)を、今から送りたいと思ってる。なので、俺たちやロバートにどんな態度を取ろうと、別に構わないんだけどな。


ヒューイにギャフンと言わせてやりたくて、ウキウキと彼女たちのテーブルに近寄っていけば、嫌がらせ(プレゼント)の一部となるアンジェリカは、少し羨ましそうな表情で、兄と親友がイチャイチャしている姿を見ていた。


アンジェリカってば、ホントに可愛いよな。

最近気付いたんだけど、彼女は結構“甘えた”だ。抱きしめると、恐る恐る縋りついてきたり、胸に額を擦りつけたりと甘えてくる。

焦らして煽るようなキスを耳元や肩口に贈るより、甘やかしてあやす様なキスを旋毛や額に贈る方が、直ぐにトロトロに蕩けてくれる。

彼女のそういう初で素直な所が、最高に可愛いと思うんだよな。ついつい“アンジェリカをこんな風にするのが誰なのか”を、皆に見せて自慢したくなってしまう。


では、存分に見せつけてやろうかな。


俺は爽やかに見える様に笑って、アンジェリカに近付いて行った。

先ずは、ルイスがジェシカにしているように、椅子に座っているアンジェリカを後ろから抱きしめ、旋毛にキス。


「アンジェリカ。そんな顔しなくても、君が望む事は俺がしてあげるよ?」

「べ、別に、羨ましくて見てたわけでは……!は、離してください、皆様が見ている前で……」


俺が、アンジェリカだけにしか聞こえない様に耳元で囁くと、彼女は顔を真っ赤にして焦ったように普段よりも大きめの声で、ツンデレ発言をかましてくれる。

言葉では「離して」と言っているくせに、彼女の両手はしがみつく様に俺の腕を掴んでいるし、身体を預ける様に体重を掛けてきている。

全身で「離さないで!」と訴えているアンジェリカが、可愛くて仕方ない。

俺に対してはこんな風に、ツンを出し切れずに普段からデレているアンジェリカだけど、それ以外の奴らに対しての彼女は常にツン属性だ。

案の定、カフェテリアにいる学生達は、見事なデレを披露しているアンジェリカを、驚いたような目でみている。勿論、ヒューイもその中の一人だ。


「ねえ、この間みたいに、そこにあるクッキー食べさせてくれるかい?」


後ろから抱きしめたまま、アンジェリカの肩に顎を乗せて、口を開けて強請る。


「え……?こ、こんな所で、ですか……?」


アンジェリカは恥ずかしそうにそう言いながらも、俺の口にクッキーを入れてくれる。俺も手を伸ばして、クッキーを一つ摘まむと「じゃあ、お返し。あーんして?」と、アンジェリカの口に入れてあげる。

ついでに可愛い唇を、2本の指で摘まむように撫でておいた。


「ね?自分で食べるより、ずっと美味しく感じるだろ?」


俺が声を掛けると、蕩けた表情のアンジェリカが言葉を発する事も出来ずに、コクリと頷いた。

抱きしめていた腕を解き、彼女の横にある椅子に彼女の方を向くように座り、テーブルに片肘をつく。もう片方の腕をアンジェリカの顔へ伸ばし、頬を撫でそのまま親指の腹で唇をなぞる。

もうアンジェリカは、すっかりトロトロに蕩けてしまっている。きっとココが何処かも、今の彼女には理解できなくなっているのだろう。


ああぁ~!今すぐ、抱っこしたい!!

膝の上に乗せて、抱きしめて、良い香りのする髪に顔を埋めたい!!


俺自身も内心、悶えて暴れ回りたい衝動を何とか抑えつけて、そっとヒューイの様子を窺ってみた。

思った通り、凄い目で俺を睨んでたよ。視線で人が殺せるなら、俺は今頃死んでるって位の眼差しだ。

ヘンリーも、「何故、お前だけ!」とでも言いたそうな視線を俺に向けている。


本物の男の嫉妬って、凄いな……。

もう少し煽ったら、どうなるんだろう?目からビームとか出る様になるんだろうか?

やっぱ、気になったら、即、実行だよな。


「ジャッキーとミシェルには感謝しないといけないよな。あの2人のおかげで、俺達の絆がさらに深まったんだしな。……今頃、2人も睦まじく過ごしているかな?」


奴らにも十分聞こえる音量で、ルイスに話しかける。モチロン、アンジェリカに触れている手はそのままだ。

ルイスもジェシカから離れ、彼女のすぐ隣に椅子を動かし座っていた。片手は、朝、俺とアンジェリカがしていた恋人繋ぎで手を繋ぎ、もう片手で紅茶を楽しんでいる。

ルイスは俺に顔を向けると、


「そうだねぇ。2人を一緒の部屋で過ごせるように、手配してるんだろう?じゃあ、今頃は僕達以上に、睦まじくしてるんじゃないかなぁ」


魔王様の微笑みで、奴らに聞こえる様に答えてくれる。


その途端、ヘンリーが大きな音を立てて椅子から立ち上がり、ツカツカと此方にやって来るのが見えた。


「ミシェルの事、お前が企んだんだな!?この……、卑怯者が!!」


ヘンリーは感情的に大声を出して、勢いのままに俺に掴みかかって来そうになる。


「それ以上殿下の側に近付く事は、許可できません。」


しかし、俺にたどり着く前に、俺の前に立ちはだかるダニエルに止められてしまった。ダニエルは、特にヘンリーに触れているわけでは無いのだが、奴はまるで金縛りにでも掛ったかのように、動けないみたいだった。


「ウチの王子が、大変失礼致しました。どうかお許し下さい……」


それまで存在も感じられなかったヘンリーの執事が、慌てたように主の回収の為に現れた。


今までにも何度か見た事あるけど、やっぱりこの人『ヘンリーの執事』って感じがしないよなぁ……。

ダニエルだったら、俺がこんな行動を起こす前に絶対に止める。それは、ルイスの執事、ドガーだって同じだろう。

執事としての能力の問題なのか、無理やりヘンリーに付けられたせいで、職務意識が低いのか……。

どっちにしても、王族の執事としては色々問題があるんじゃないのか?


そんな事を考えている俺の隣で、ダニエルはヘンリーの執事に向かって


「君も執事として、主の行きすぎた行動はしっかり諌める様に。」


冷やかな眼差しを向け、厳しい口調で説教していた。

アンジェリカって、ツンデレなんだけど、カイルの前ではツンが全くでない。

常にデレてる。

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