37 初恋ってやっぱ忘れられないよね。でも、だからヤンデレ化するのは、話が違う
泣きそう……。またやってしまった!
3000文字が一瞬で消えた…。油断してた…。
一時間がも掛ったのに…。あと、見直してアップするだけだったのに!!
書き直しても、何か忘れてるみたいで文字数減ってるし…。へこむ。
まずは、俺が気になってしょうがないヒューイのあの目つきについて、ルイスに相談してみた。するとルイスは「あ、あぁー……。もしかしたら……。」と、なんだかとても言いにくそうにヒューイの初恋がアンジェリカだと教えてくれた。
は?なにそれ?何、その新事実……。
じゃあ、あの瞳は俺とアンジェリカがラブラブしてる事に嫉妬して、なの?ビッチの頃のミシェルと、見せつけるようにイチャついてたのも、アンジェリカの気を引きたかったから、とか?
え?どこの小学生??
「いや、まさか……。流石にそこまで子供じゃないだろう」
ハハハハハハ。と乾いた笑いでルイスに返したが、ルイスはどこか遠くを見ている……。
「うん、普通に考えればそうだよね。ミシェルに対する態度は、恋愛感情ダダ漏れの上、独占欲丸出しだったもんね……」
言葉は俺の意見を肯定しているが、ルイスの態度は……。
「そういえば時々、殿下とアンジェリカ様がデートしているのを覗き見て、ギリギリと歯を鳴らしているのをお見かけしましたね。初めて中庭でデートされていた時も、あの乱入の後にお一人で戻ってこられて、お二人の様子を凄い目でご覧になっていましたよ?このままでは、嫉妬で何をするか解らないですねぇ。実際に、何度か仕掛けてきていますし……?まぁ、他愛なさすぎる事ばかりなので、皆に放置されておりますが……」
飄々とダニエルが発言する。
「それに、ヒューイ様の意中の相手は、アンジェリカ様だけではありませんよ?ジェシカ様にも懸想しているらしいです。」
さらに、ダニエルが優雅にお茶を淹れながら、ダメ押しの爆弾発言を投下してくる!
俺の隣では、ルイスが物凄い驚愕の表情でダニエルを見つめてるし。
ダニエル!?気付いてたなら教えてくれよ!ってか、色々と報告されてないよ!?
「殿下は、お尻の危機で手一杯だった様なので、敢えて報告は致しませんでした」
報告してない事を、悪びれる様子も無いダニエル。
わざとか?わざとなのか!?
って言うか、このゲーム。蓋を開けたら攻略対象の殆どが“ヤンデレ”ってどういう事なんだよ!このゲームのシナリオライターにとって、男は皆“犯罪者予備軍”なのか!?それとも、『強過ぎる独占欲で、私を縛って』的な乙女の妄想がそうさせるのか!?
なんにしても、攻略対象の病んでる率が高すぎる!まあ、だからこそ落としやすいのかもしれないが!!
……でも、それならヒューイの事は、ココで切り捨てるべきなのか……?今、不安要素は、一つでも減らしておきたい。
しかし……、だ。家に引き取らせるとしても、そうすればヒューイは学園を中退ということになり、貴族としての人生が終わってしまう……。
何も起こって無い段階で、一人の未来を潰すというのはどうなんだ?相手は、子供の頃から知っている、弟みたいな奴だぞ?
じゃあ、どうする?アンジェリカに頼んで、情け容赦なくコテンパンに振ってもらうのか?
いや、それをすれば100%ヤンデレがパワーアップして、更に厄介な存在になるだろう……。
はぁ。めんどくせぇな!いったいどうすりゃいいんだよ!?
「ねぇ、カイル……。君のその優しさってさ、僕は好きだし、君の長所だと思ってるよ?けど、必要な時に決断ができないなら、それは只の優柔不断。皇子としては、致命的な短所になってしまうよ?」
答えを出せない事にいら立つ俺に気付いたルイスが、耳に痛い意見をくれる。
確かに、必要な時に切り捨てられないのは、只、自分が悪者になりたくないと逃げているだけだ。自分のせいで、人の人生を歪めてしまう重さに耐えられないだけ……。
でも、国を背負う事を考えれば、それ位耐えるのは当然の事なんだよな。「出来ない」なんて言ってられない。
俺は覚悟を決めて、口を開こうとしたのだが……。
「では、ヒューイ様には隣国に留学して戴く、というのはどうでしょうか?」
ダニエルの穏やかな声に、先を越された。
「隣国も此方に厄介者を押しつけているのですから、此方が厄介者を押しつけても、何の問題もないでしょう。それなら、貴族としての体面も守れるのでは?」
静かに微笑って、切り捨てる以外の提案をしてくれる。
流石、ダニエルだ。そんな事、考えもしなかった!
彼は、いつも俺達が盲目的になっている所で、視野を広げてくれる。
一歩離れて、物事を見つめる事の大切さと難しさを、気付かせてくれるんだ……。
確かに隣国への留学なら、奴の貴族としての未来は何とか残るだろう。学園内でとはいえ、二度も俺に対して失態を犯してるんだ。要職に着く可能性はなくなるが、大きな問題を起こす可能性もなくなるだろうし、丁度良いよな。
「ダニエル。直ぐに伯爵家に連絡をして、ヒューイを引き取るか留学をさせるか、選択して貰ってくれ。それに合わせて、隣国に留学の手配を。今回の事をチラつかせて、最速で話を進めてくれるか?」
「承知致しました……」
2人からの提案で、直ぐに答えを出した俺に、ダニエルは「よくできました」ってな感じで微笑んで、直ぐに動き出してくれた。
「君のその、問題に対して慎重に対応しようとする姿勢も、最適な提案が出た時の決断の早さも、僕は素晴らしいものだと思っているよ」
ルイスも満足そうに、俺を見て笑ってそう言ってくれた。
「あ、そういえば、ルイス。」
「なんだい?」
「そろそろ、ロバートが帰ってくるらしいんだが……。その……、大丈夫か?」
ルイスとジェシカの婚約はもう整っていて、ロバートが帰って来ようが何の問題もない。……表向きは。
ジェシカの気持ちが、ルイスに向かい始めているのは解っている。しかし、今って結構、微妙な時期なんじゃないかと思うんだよ。ジェシカの気持ちがまだ、少しでもロバートに残っているとすれば、波風が立つ可能性がある訳で……。
俺が言葉には出さなかった心配を、的確に読み取ったルイスはチョット嫌な顔をしたが、直ぐに涼しい表情に戻る。
「何も問題ないよ。僕は、ジェシカの今の気持ちを信じてるし、何があっても、彼女を手放す気も、渡す気もない。次に何かあれば……。あんな奴、今度は僕がこの手で叩き潰してあげるよ……」
魔王様の頬笑みで、宣言して下さいましたよ。
な、何も問題、なさそう、だな……。うん。
それにしても、ロバート……。少しは空気が読めるようになってれば良いんだが……。
レッドフォード侯爵夫人が『学園に戻しても問題ない』と判断したのだろうから、大きな問題が起こる事は無いと思いたいが……。
さて、そろそろ本題であるヘンリーについて、話を始めようか。
まず、あいつはきっと今、ミシェルとジャッキーを俺に掻っ攫われて、キリキリしてる筈だ。しかし、この国の最高権力に盾突くほどのバカではないだろう。その分、建前だけでも『学園内では身分など関係なく、皆平等である』となっている、手の届きやすい俺に、攻撃目標を絞ってくると予想される。
ヒューイがいれば、奴を焚きつけて俺の弱点であるアンジェリカに何か仕掛けてきたかもしれないが、明日にはヒューイはこの学園から居なくなる予定だ。即ち、奴が使える手駒が居なくなるという訳だ。
小物臭い癖にラスボスであろう奴は、今までの事から考えても自分の手を汚してまで、何かを仕掛けてくるとは思えない。
まぁ、完全に手の内が無くなる訳では無いだろうから、注意は必要なのだろう。しかし、俺はもう、早く決着を付けたいと思っている。
その為には、自分を囮にしてでもヤツを煽って、罠に嵌めるのが、一番手っ取り早いと思うんだよ。まあ、ルイスには反対されそうだけどな。
しかし、今後をどういう作戦で行くにしても、絶対的な情報が足りない。
なので今日一日をあいつの観察にあて、更に挑発とかしてみようと思うんだ。その時の反応と、その後の行動で今後のあいつの動きが予測できないかと考えている。
これらの事をルイスに話したら、案の定、俺が囮になる事は反対されたが、今日の動き自体は賛成してくれた。
ダニエルは何も言わず空気になっているので、この行動に対して、特に問題に思っていないのだろう。
そしてもう一つの不安要素、アンジェリカのトラブル体質だが……。これに関しては、全てを話しても黙っていても、結果は変わらないだろうという事で意見が一致した。
それなら俺は、全てを話して、一緒に悩んで欲しいと思っている。だから、彼女に対しては、いつも通りで対応する事にした。ルイスもそれで納得してくれたしな。
では、今日も一日頑張るか!
サブタイトル考えるの、結構苦痛です。
銀○のアニメタイトルを意識して、いつも考えてるんですが、難しい……。